97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「ヤバい経済学 [DVD]」
以前、アメリカ国内線の機内で観たのだが、DVDが日本でも発売されていることを発見した、「ヤバい経済学 [DVD]」をAmazonで購入。

過去日記に感想を書いた、「ヤバい経済学」のエッセンスをドキュメンタリー風に描いているのだが、変わった経済学者、スティーブン・レヴィットが様々なテーマを取り上げ、見事な着想からデータを分析して、謎を解く論理がどれも実に面白い。

「Cheating」は「統一学力テストで教師がイカサマをしているのではないか」がテーマ。自らの評価に反映されるため児童の学力テストのマークシートを、教師が後で改ざんしている事が明らかになったデータ解析。最後まで回答していない児童のマークシートの後半部分だけ回答が再開されている、しかもその部分では問題の難易度に関係なく正解が連発されている。教師が短時間で不正するためにはどうするかを考えて行ったデータ分析。分析には何を取り上げて解析するかの着眼が重要であることを見事に語る。

「A Roshanda By Any Other Name」は、「親の人種や所得によって、子供につけられる名前には差があるか」の問題。やはり映像の持つ特性と力を十分に示したテーマ。様々な人種の男女がインタビューに応じて、白人の名前と黒人の名前には明らかに違いがあることを語る迫力が素晴らしい。

「Pure Curruption」は「大相撲には本当に八百長があるか」を扱うのだが、これも見ごたえ十分。八百長を告発した親方や元力士板井の証言が採録されているのも貴重。まあ日本人には恥ずかしい内容ではあるのだが。大相撲の番付編成手法から、勝ち越しか負け越しかは天と地の違いがあり、同じ千秋楽を迎えても、8勝6敗の力士とと7勝7敗の力士では、1勝の価値がまったく違うことに着目したデータ分析が優れていた。詳しい記述は書籍のほうにあるが、実に面白いデータ。

もっとも最近の大相撲はずいぶん改善されたはず。日馬富士が全勝優勝して横綱になったとたんに負け続けたのには、「借りを返してるのでは」とヒヤリとしたが、怪我の影響だったようで、その後の相撲を見るにやはり実力は図抜けている。もう一度レヴィットに最近の大相撲の結果を分析してもらいたいものだが。

「It's Not Always A Wonderful Life」は「過去10数年でアメリカの犯罪率が大幅に下がった真の理由」について解説。世間に衝撃を与え、中絶反対派の嵐のような反撃を呼んだ内容だが、分析はまあ納得のゆくもの。他の要因が証明されないかぎり、やはり中絶容認が犯罪者の増大にブレーキをかけたと考えるのが妥当では。

もうひとつ興味深かったのがルーマニアの例。ルーマニアの独裁者チャウシェスク大統領が人口増大政策を取り、女性の強制的受胎能力健診や中絶と離婚の禁止、出産しない女性に罰則を与えるなど、無茶苦茶な出産奨励策を取り、望まれぬ子供と犯罪率が増大して社会が混乱したことが語られる。そういえば、先日、ボランティアに行った女子大生が殺されたのもルーマニア。吉祥寺で女性刺殺したのもルーマニア人の少年。チャウシェスクが倒されたのは1989年だが、この東欧の国ではまだ混乱が続いているのだろうか。。

このDVDの特典映像も実に興味深い。本編ではごく限られた時間しか映らないスティーヴン・D・レヴィットと「ヤバい経済学」共著者のジャーナリスト、スティーヴン・J・ダブナーの未公開インタビューが収録されているのだが、レヴィットは、とてつもなく頭がよいが、かなり変わった人なんだなあ、と思う映像。まあ、学者というのはだいたいそんな部分ありますな。




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