97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな」
通勤時に聞いている、宇多丸の「ウィークエンド・シャッフル」Podcastで、ジェーン・スーなる女性がゲストに来て自著の紹介をしてたのだが、これが実に面白かった。ジェーン・スーは筆名で、実際は日本人。目下売り出し中で、「たまむすび」Podcastにも出演していたので、Amazonで本を発注。

「私たちがプロポーズされないのには、101の理由があってだな 」がその本だが、到着して読んだら番組での語り同様に面白い。題名の最後についた、或る意味余計な「あってだな」が、この本で扱われる女性達の心性を何ともいえず凝縮しているような気がする(笑)

「未婚のプロ」、「自分ジャンキー」と自称し、「独身は麻薬(シングル・イズ・ドラッグ)!」と唱える著者が、「同族の友人達」と、「なぜ私達は結婚できないのか」を語り合い、リストに書き出していった時の体験が元だというが、自分達の恋愛がいかにして失敗したか、「それをやっちゃいかんよ」と自虐ツッコミを入れながら語る趣向が面白い。女性が読んで、「あるある」ネタとして笑えるような「話芸」になっているのだ。

例えば「発言小町」に「私は悪くないですよね?」と書いてる女は、「100%お前が悪い」と断言しても過言ではない愚かさだが、自分達のしでかした間違いを振り返って笑い飛ばすこの著者のレトリックは、軽やかな知性を感じさせてなかなかよい。

「101の理由」に並んでいるのは例えばこんな項目。

・彼が連れて行ってくれるレストランで、必ず空調や店員の態度にケチをつける。
・誕生日やクリスマスに、彼の好みを変えようとするプレゼントを贈ったことがある。
・車、ゲーム、スポーツなど男の領域に詳しすぎる。
・彼の方が稼ぎが少ないことをあなたはなんとも思っていないが、買い物に一緒に行くとあなただけ大人買いをする。
・『アルマゲドン』を観て泣いている彼を、馬鹿にした。
・正直に言えば、ひとりで生きていける自信がある。
・そろそろ「初めて経験すること」が仏門に入ることだけぐらいになってきた。
・病めるときも健やかなるときも、バカ笑いができる女友達に囲まれている。
Amazonの書評でも総じて大好評。この手の本は、女性に嫌われては終りであるから、同性には嫌われないように、ずいぶん気を使って書いてる気がするな。もちろん男性として読んでも面白い。若干居心地悪いのは、この著者の頭のよいレトリックは巧みで、男をも怒らせないように注意深く書いており、この本をくさすと、極めて器の狭い男と思われるのではないかという危惧が頭をかすめるところか(笑)

ただ、この本を読み進めると感じられるのは、この本が、「わたしたちのような未婚のプロにならないで」という女性への親切な警鐘を鳴らしているのではない事。

むしろ、この本に書かれた自虐は「メタな構造」になっている。この未婚のプロ達は、自分達のことを「私達って馬鹿でしょ」と自虐をこめて笑い飛ばす。この部分は、女性にとって共感できるよう、面白おかしく書かれているのだが、しかしその自虐の森に更に分け入って行くなら、そこに見え隠れするのは、「ヘタな男達よりもこっちのほうが稼ぎも教養も上なんだよ」というどこか男を閉口させる女達の身も蓋もないプライド。それこそ、ジェーン・スーの持ち味であり、自分ジャンキーたる所以でもあるのだが。

まあしかし、仲良しの女友達のことは馬鹿にしないのに彼氏を馬鹿にしたら、それは彼氏もよい気持ちしませんわなあ(笑)

ひとつ言えるのは、因習深く頑迷固陋なイスラム諸国に比べたら、日本は、いったん社会に場所を見つけた独身女性には、まさに天国のような国だという事。この本の著者をうらやむ女性達も多いことだろう。

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