97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
雪の日に「二月花形歌舞伎」を観た
先週末、雪の土曜日に、歌舞伎座新開場柿葺落「二月花形歌舞伎」を観に行った。前夜半から都内でも雪が降り続いており迷ったのだが予約した席は一切キャンセルが効かない。幸い昼の部なのでまだそれほど積もっていないので、大丈夫だろうと判断して地下鉄で。銀座から東銀座までは地下を歩けるのでまあ大したことはなかった。

入場してみると、着物姿の女性が結構いるのにびっくり。まあ着物来て行こうと前から準備してて、今さら変える気にならなかったのかもしれませんな。ところどころ空席が目立つも、以外に何事もなかったように来てる観客多いのには感心。まあ自分だって来てる訳だが(笑)

ただ、一等席1万8千円もする割に、劇場のどこにも傘立てが無いというのはどうよw まあ折りたたみ傘で来るべきなんですな。今回は地下にコインロッカーがあるのを発見してコート、マフラー、カバンと最初に全部入れてしまったので身体ひとつで気楽な観劇。コインロッカーは100円と安いのはエライ(笑)

今回歌舞伎Webで取った席は、7列27番。中央よりもほんの少し上手側に寄っており舞台中央を観るには若干左を向く事になるが、左側が通路なので、前に座る人間の頭を心配しないでよい。歌舞伎座でのよい席に「とちりの席」というのがあり、これは昔、「1列、2列」ではなく、「い列、ろ列」と「いろは順」に列を読んでた名残り。前から「7列から9列」がよいということ。最前列が一番見やすいかと思ったが、役者の足元が見えないのだそうである。

まあどこの席が好きかは人それぞれだろうけれども。2階席最前列というのも見やすそう。1等席でも傾斜のない前のほうで前に座高の高いのが来ると災難。Webでは座席を指定して購入できるのだが、直前でも1席であれば意外によい席がポコンと空いている場合あり。普通キャンセル不可と書いてあるのだが、後援会などが事前に押さえている席で埋まらなかったのが「戻ってくる」場合があるともいう。ただ出演俳優と演目により人気もだいぶ違うようだ。

「花形歌舞伎」というのはどちらかというと若手中心、「大歌舞伎」というのは年寄りの大物が出るということらしいが、今回の「花形歌舞伎」昼の部の出し物は、通し狂言「心謎解色糸(こころのなぞとけたいろいと)」。幕間を3回挟んだ通し狂言。

1810年に初演された四世鶴屋南北の世話物で、実に41年ぶり、歌舞伎座では初めての上演だとか。「世話物」というのは、江戸の人にとっての「現代劇」。染五郎が、「お祭左七」と「半時九郎兵衛」の二役。菊之助が芸者小糸を演じる。

物語は、3組の男女が織りなす奇妙な縁で繋がれた恋愛模様を横糸に、赤城家の宝「小倉の色紙」盗難を巡るサスペンスを縦糸に、毒殺や墓暴き、愛と嫉妬、痴情のもつれや子供殺しなど、エログロ満載でつづられる。作者の鶴屋南北は江戸の町を騒がした実際の猟奇的な事件を歌舞伎の台本に取り入れるのに優れていたという。この演目は、週刊新潮でいうと「黒い報告書」、TVで言うと「火曜サスペンス劇場」なんですな。TVも映画も無い時代は歌舞伎の舞台でみんな大興奮したのだ。そして今見てもちゃんと面白い。

深川や富岡八幡、隅田川のたもとが舞台というのも親しみやすい。柔らかな音で太鼓が一定のリズムでドンドンドンドンとずーっと打たれる鳴り物が、深々と降る雪を表す様式美。なにしろ実際に劇場の外が雪だけに、舞台の雪も実に印象的。そして降りしきる雪の中の殺人。

Wikiで歴史をひもとくと、歌舞伎というのは、17世紀の大衆が熱狂した人気の芸能だった事がよく分かる。伴奏に使われる三味線も当時は最新鋭の楽器。女歌舞伎は今で言うAKB、若衆歌舞伎は若いジャニーズの公演みたいなものだったんですな。野郎歌舞伎はスマップか(笑)

能楽のほうがある意味芸術で、歌舞伎は下世話な芸能。しかしそうであっても、代々歴史が続き、役者や芸が枯れてくると、世間はその「枯れ」を「枯れ」としてまた愛でるようになる。朱色に塗られ金ピカだった奈良の都の仏教建築の大伽藍が、風雨で全ての色が剥げ落ちた後で、なんともいえぬ詫び寂びを感じさせて屹立しているが如く。日本の文化は不思議でそして面白い。


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