97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「やくざと芸能と 私の愛した日本人」
「やくざと芸能と 私の愛した日本人」読了。

俳優でありコメディアンでもある、なべおさみがその半生を語る本。パッと見はおとなしく柔和な風貌だが、この本で自ら語る本性はとんでもない。生まれもったすぐ頭に血が上る鉄火な所と、上には絶対服従で仕えて筋を通す性格は、義理と人情の任侠世界とピッタリの親和性。若い頃からヤクザと芸能の世界にどっぷり。付き人として芸能界の大物に重用されるのと、ヤクザ者として親分に認められるのとは結構似ているのだなあ。

芸能人、文化人、ヤクザ、政治家と、誰でも知っている人間に、いかに可愛がられたかという、いわゆる自慢話が延々と続くのだが、出てくる名前が凄い。

水原弘、勝新太郎、石原裕次郎、石津謙介、白洲次郎、花形敬、司忍、安倍晋太郎、小針暦二、鈴木宗男などなど、超大物との呆気にとられるエピソードが満載。天下の奇書だ。

歌舞伎の役者も江戸時代は「士農工商」という身分制度の枠外の存在だった事は歌舞伎の歴史を語る本にはどれにも書いてあること。芸能者と河原者と言われる被差別民の関係というのは昔は根強く深かったし、そして同じく疎外された民であるヤクザとの関連も深かっただろう。そしてもうひとつ厳然とあるのが政治家とヤクザとの関連。

被差別民の歴史から、眉つばの日本・ユダヤ同祖説まで、「です、ます」と「だ、である」が同じ章の中でも混在する奇妙で縦横無尽な文体で語り尽くす圧巻の自叙伝。年寄りの自慢話をゴースト・ライターが聞き書きしたのかもとも思うが、仮にもライターが、「常体」と「敬体」がこんなにゴチャまぜの破格な文章を書くかな。だとするとやはり本人が書いたのかもしれないが、それなりに異様な迫力を持って読ませる文章になっている。

政治の世界との関係を書いた後半部分は、いくらなんでも話を盛り過ぎではという気さえするもの。ただ、鈴木宗男を当選させたのは自分だという自慢話等はあけすけに語るのだが、実の息子であるなべやかんの替え玉受験問題については、若干トーンダウンというか、割とぼやかしてあり、しゃべると本当にマズい事が実際にあるのではという印象が残る。芸能もヤクザも政治も、堅気ではない商売はやはり怖いねえ(笑)

まあそれにしても、久々に面白い本だった。もちろん全部を鵜呑みにはしがたいのだが。

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