97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座七月大歌舞伎、昼の部を観た
この前の日曜に、歌舞伎座七月大歌舞伎、昼の部。

kbk14072701.jpg

今回の席は二階席の一番前一列34番。左隣がずっと来なかったので、なんだかゆったり快適だった。しかし舞台はそれなりに遠い。六月に座った三階席で超絶に座高高い男が前に来たトラウマからまだ逃れられていないが、本来は初心者には一階席前方がよいと思う次第。あの座高男が前に来さえしなければ(笑)

最初の演目は長唄舞踏、 「正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)」

父の仇を討つ為、工藤の館へ駆け付けようと乱暴者の曽我五郎を、妹舞鶴が引き留めるという演目。力自慢の二人は鎧の草摺を引き合って舞う。長唄連中のひな壇が、中央から左右に分かれて、それまで後ろに隠れていたセリが後ろから登場。歌舞伎の舞台演出もあれこれあるなあ。市川右近の四角い顔は、夜の部「悪太郎」もそうだったが、荒事味のある舞踊に映える。舞鶴 笑三郎と息の合った華やかな舞。

次は、 「通し狂言 夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」

いつも事前に演目を予習して行くのだが、「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」は、上演時間も幕間を挟んで長い上に、エピソードがあれこれあり、なんだか何に注目してよいのかピンと来なかった。実際に観ても、玉三郎、海老蔵、左團次、澤瀉屋の面々と豪華に出演しているのだが、ストーリーに一本筋の通ったカタルシスが無いというか。しかし何度も上演されてる古典なんだが。

大阪の夏の風俗を描いたというのだが、そこがよくわからない。私も元は神戸生まれで関西人だが、コテコテの大阪は知らないので、もう住んで長い関東の夏祭りのほうがピンとくるようになってしまった。

最初の段、御鯛茶屋は、猿弥の一寸徳兵衛も、門之助の玉島磯之丞 もなんだか芝居の段取りに追われる感じでイマイチ印象が薄い。尾上右近の琴浦は、なかなかよいと思ったが。

住吉鳥居前の場、三婦を演じる左團次に関西の香りはまったくしないが、ベテランの風格ある堂々たる演技。団七九郎兵衛、海老蔵はこの段から出てくるのだが、最後まであまり格好良くない気が。台詞に関西味が無いのは関西人ではないから当然だが。最初の場面では、御赦免されて髭面でヨレヨレになって出てくるので格好良くなくて当然だが、パリっと着替えて出てきてからも、なぜか全体にパッとしない。

団七に殺される義父、義平次を演じた市川「大和田常務」中車は逆に印象的。実に憎々しげで金に汚く強欲なジジイを演じて余すところがない。時代物で舞踊が入った歌舞伎歌舞伎した役だとお手上げだろうが、世話物の「殺され」の場の演技なら、今の本人の演技力の枠内に十分収まり、観客にも納得のゆく芝居が伝わってくる。

不惑を超えて歌舞伎界に入った市川中車は歌舞伎経験無いものの一応、猿翁の実子とあって、相撲で言えば幕下上位付け出しの特別待遇。義平次役にまで終生たどり着かない「三階さん」もいるはず。しかし、中車も、弁慶・富樫や助六などの古典的主役を張れる訳ではない。無視はできないが、とりあえず汚い爺様役を演じとけやという、そこはかとない「気遣い」というか「意地悪」みたいなものも感じないでもないなあ(笑) まあ無理なく出来る役からこなして行くしかなかろう。市川右近が演じるような舞踊は、いくらなんでも今のところは無理なんだから。

玉三郎演じるお辰は、侠客の妻の心意気を見せてきちんと成立している。いわば特別出演のようなもんだが、これが大阪の侠客の妻の女伊達なんですかと聞かれるとか、まあどうなんだろうという気が。

団七内の段では、義父殺しという大罪になる団七を助けるために徳兵衛があれこれ画策するのだが、ここがあまりよく分からない。尊属殺人は昔は大罪であったが、離縁させることにより罪一等を減じようと言う事らしいのだが、それぞれの人物の思いがイマイチ伝わって来ないんだなあ。

最後の団七屋根上。舞台一杯に広がった屋根上での立ち回りはなかなか壮大だが、先月「蘭平物狂」を観ているので、それに比べるとなんとなくスピード感に欠け、人数かけた迫力も見劣りする。まあそれはしかたないことではあるが。

海老蔵は良い時は実に良いと思うが、今回の昼の部「夏祭浪花鑑」の役は、あんまり印象に残らなかった。あとは通し狂言で延々とやられると、やはり集中力が途切れる。途中で30分の幕間があり食事して酒も飲んだからではとも思うが、昔はひとつの演目を一日中やっており、行楽気分で桟敷席で飲食しながら楽しんだのが歌舞伎であって、背筋正してずっと芸術を鑑賞するような態度で観なければ分からないものでもないと思うけれども。

そういえば、最初の幕間で三階に上がり、スパークリングワイン頼んで飲んでると、ほぼ日刊イトイ新聞 大向こうの堀越さんに出た堀越さんそっくりの人を発見。本人かな(笑)今夜は、「大向うの人々 歌舞伎座三階人情ばなし」を読み返そう。

打ち出し後は帰ってTV桟敷で大相撲千秋楽を観戦。昔の江戸では同じ日に両方は見物できなかったと思うが、今ではいくらでもできるこの贅沢。世の中は便利になった。白鵬が30回目の優勝。終盤に取りこぼしてどうなることやと思ったが、実に立派。ほどなく大鵬も抜くだろう。これは正義漢面して、朝青龍をバッシングし、相撲界から追い出した、内舘牧子とやくみつるのおかげでもあるのだが。

関連記事
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック