97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座八月納涼歌舞伎、第三部を観に行った。
グアムから帰ってた翌日夜、歌舞伎座に、八月納涼歌舞伎第三部を観に行った。

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最初の演目、「勢獅子(きおいじし)」は、三津五郎、橋之助、勘九郎、扇雀、七之助など、座の出演者勢揃いの実に賑やかな舞踊。山王祭を舞台とした祝祭。最初に観客席にむかって「お手を拝借」と一本締めをやるのも歌舞伎らしい鮮やかな演出。明るい舞台に華やかな衣装で役者が勢揃いする舞台は圧巻。

舞踊については、こちらの素養がさっぱり無いために残念ながら分からないところが多々あるのであった。鳶頭が曽我兄弟の敵討を踊る場面もイヤホンガイド聞いて、なるほどとは思うものの、そう解説があったから分かっただけ。昔の人は常磐津聞いて分かったのかねえ。しかし次々と演者が交代し、夏祭の気分に満ちた誠に豪華な舞踊劇であった。そういえば富岡八幡宮のお祭りもこの週末だ。

この幕間に三階花篭で食事。

「怪談乳房榎(かいだんちぶさのえのき)」は、中村座「訪米歌舞伎凱旋記念」と題名に。NYリンカーン・センター・フェスティバルで公演した演目を日本でもそのまま演じるもの。勘九郎の三役早変わりと、本水を使ったスペクタクルにあふれた演出が面白い。

場面転換で定式幕が引かれると、狂言回しというか、前説というか、若手二人が幕外に現れて半分英語、半分日本語で掛け合い漫才のようなやりとりで場内を沸かせる。ジョーク満載でアメリカ用に導入した演出なのだそうだ。「Namie is a scumbag」など登場人物の名前を入れて途中で解説する趣向はアメリカの観客には親切だったろう。特に本水を使う最後の幕前は、前列に配られたビニールをどのように使うか念入りに説明して笑いを誘う。

「怪談乳房榎」の三役早変わりをどのように行うかは、グアムでKindle版で購入した、今は無き勘三郎の「勘九郎とはずがたり」で読んでいたので、初見だったがなおのこと興味深かった。

役に応じて衣装が変わるのももちろん、頭が変わるのが凄い。これはカツラをすぐには変えられないため、カツラ自体に仕掛けがある特殊なものをかぶってると、上記の「とはずがたり」で種明かしが。

この本は、勘三郎がサービス精神満点に、舞台の裏側や先代の思い出も含めて芸談を自由自在に語るというものだが、「乳房榎」の早変わりの失敗談も面白い。勘三郎が歌舞伎座で公演した際、花道で正助から三次へと傘に隠れて一瞬で早変わりして舞台に駆け上がり、弁天小僧よろしく見得を切ると、妙に観客の歓声が大きかった。「アッ! ひょっとして髪の毛が変わってないのでは」とあわてて頭を触ってしまったが、ちゃんと変わっていたのだとか(笑)。階段での早変わりでは、あまりにも早すぎて、相手役の橋之助が「三次」と呼ばねばならぬところを「正助」と呼んでしまって場内が爆笑だったとも。

勘九郎は親父の勘三郎に習い三役早変わりで、衣装も口跡も声も「腹」も変えるのだが、あれは大変だろう。愚直な下男正助役をやる時が軽妙で、声も演技も一番親父の勘三郎に似ているように感じる。地声が似ていて口跡も普通にやって似てるのなら楽なものだが、先代のコピーだと言われ続ける。意識して寄せようとしてるのなら、いずれ悩みは深くなるだろう。今はなき親父の勘三郎も、先代との間で同じ苦悩があったはず。偉大な父親を持つと跡継ぎは誰もが直面する問題ではあるのだが。

早変わりには、観客の勘違いを誘う手品のようなミス・ディレクションも使うが、物理的な移動もずいぶんある。しかし歌舞伎らしいケレンに満ちた面白い舞台。早変わりの見事さや最後の本水を使ったスペクタクルな演出も素晴らしい。滝の仕掛けや早変わりは二階や三階で見るとまた裏が見えて面白いだろうが、一階席では本寸法の面白さがある。芝居の中で日本エレキテル連合のギャグを軽妙に入れたりして笑いを誘う演出もまた歌舞伎だなあ。

大詰めでは落語の高座風の演出になり、勘九郎が落語家に扮してその後日譚を語る。そもそも落語から生まれた歌舞伎狂言。全編を通じて動きとスペクタクルと笑いに満ちた歌舞伎狂言。実に面白かった。

しかし、大向うは随分少なかった気がするなあ。中村屋と萬屋しか聞こえなかった。大向うもお盆休みか、八月納涼歌舞伎ではもともと少ないのか。しかし大向うも木戸御免なんだから、もっと精勤しないといけないのでは←オイ、怒られるぞ(笑) そういえば、女性が声をかけていた。大向うは男性のみと言うやかましい人もいるが、女性客が歌舞伎から去ったら、松竹も歌舞伎界も崩壊なのだが、これからどうするのだろうか。

歌舞伎座打出しはほぼ定刻の9時25分頃。明日も休みなのでのんびり帰宅したが、若干終わりとしては遅いよねえ。




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