97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座、八月納涼歌舞伎第二部を観た
夏休みの最後の週末。土曜日は、歌舞伎座八月納涼歌舞伎第二部を観に行った。

201408171610410c2.jpg

二階の西桟敷は結構空いている。三階と幕見席はほぼ満杯だが他の二階席も結構空席あり。一階席はほぼ満杯か。前席を気にせず飲み物もテーブルに置けるし実によい席なんだが、やはり舞台を斜めに見るところが初心者には難だなあ。

「輝虎配膳」では、橋之助が演じる輝虎が実に堂々としている。戦国の猛将が知謀に満ちた軍師を迎えるため、自ら平服して膳を持ち、その母親の歓心を買おうとするが、膳をひっくり返された屈辱に打ち震えながら、諌められてなんとかその怒りを沈める。

萬次郎演じる越路は「三婆」と呼ばれる歌舞伎老女形の代表的役だそうだが、腹の座った堂々たる老婆を演じて見事に成立している。唐衣役の児太郎はあまり印象はない。荒れ狂う輝虎が越路を切り捨てんとする時に琴の演奏でそれを押しとどめ助命嘆願するお勝は、実際に琴も演奏し難しい役だと思うが、扇雀は健闘したのでは。琴の音と三味線の音がきちんと合うのだね。伝統楽器のチューニングというのは何使ってやってるのだろうか。興味深い。

男勝りに、息子とその主君への筋を通して生還する越路の花道の堂々たる引込み。七三の位置で萬次郎は、客席中を睨め回すように視線を送るのだが、西二階桟敷から覗きこんでると、他の客が少ないからか、眼が合ってびっくり(笑)

第二の演目「たぬき」は、三津五郎が棺桶から復活する主役金兵衛を、分厚く演じて実によかった。そのまま死んだことにして養子になった商家から逃げ出し、妾と一緒に第二の人生を送ろうとするが、その妾お染(七之助)は金兵衛の死などそっちのけで既に別の愛人、獅童演じる狭山三五郎とよろしくやっている。この寝屋のシーンは影と声だけなのだが、なかなか、なまめかしい。老隠亡の山左衛門は、大きな名前ではないのだが、熟練の味があって上手い。

太鼓持ちを演じる勘九郎は、くすぐりを連発するこの軽妙な役だからというのも勿論あるだろうが、亡き親父勘三郎と実によく似ており観客の笑いを随所で誘う。八月納涼歌舞伎では、どの部にも出演して大活躍だが、どの役でも勘三郎を思い出させる。親父とも関わりあいの多い納涼歌舞伎であるから、勿論それでよいのだ。ずっとそれでゆくのかどうかは別の問題だろう。終盤で、落ちぶれたお染を演じた七之助の風情はなかなか印象に残った。

「たぬき」はなかなか面白かったが、脚本としては途中で若干モタモタしてダレる感も。大佛次郎が書いた新歌舞伎だが上演回数も少なく、屈指の名作とは思わないなあ。古典は確固たる台本がないだけ、役者が上演ごとに演出を変えて磨き込んで来た長い歴史があるが、逆に昭和の大先生が書いた作品だと本人の目の黒いうちは迂闊に手を入れられないし、脚本が固定されてしまうからではないかな。

幕間では、ドリンクコーナーでスパークリングワインを。先月までは三階限定となってたように思ったが、今月は生ビールがラインアップに加わり、スパークリング・ワインは二階でしか売ってないようだ。あれこれ入れ替えがあるのか。

この日の大向うでは、例の鶏を絞める悲鳴のような声を上げる爺様は健在。消え入るような声で、他の大向うよりも先んじて「ェヤァ~」というのだが、何の屋号を言ってるのか分からない。まああれはあれで歌舞伎座名物なんでしょうな。

関連記事
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック