97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「グレート・ビューティー/追憶のローマ」を観た
「グレート・ビューティー 追憶のローマ」を観た。



ローマに住む作家、ジェップ・ガンバルデッラは65歳。過去にベストセラーを出して成功し何不自由ない生活。自ら「俗物の王」と自嘲しながら、毎夜毎夜セレブ達とのパーティーに明け暮れている。しかし初老に差し掛かり、自らの肉体の衰えを感じ始めた時、初恋の女性の逝去と彼女がずっと彼を愛していた事を知らされ、自らの人生の意味を追憶と共に見つめ直すことになる。 基調低音を響かせているのは、成功した人間の裏にどれだけ「虚栄」が見え隠れしているかということ。

ストーリー自体はあまり分かりやすく語られてはいない。映画は明確なストーリーを追わず、美しくも印象的な短いシークェンスを、鮮やかにシャッフルするが如く、目眩がする速度で観客の前に次々と提示する。奇妙だが印象的な語り口。

人生の黄昏を垣間見る初老の作家の追憶は、頽廃と背徳、そして美とエロスと聖性に満ちた魅惑の都市ローマを自在に放浪する。そして結局手に入れることのできなかった初恋の女性に辿り着いた苦い思い出。全ての画面と音楽が美しい。それは、ローマと言う神寂びた古き都市の持つ歴史と宗教のアイコニックな力。映像のテンションは実に高く保たれ、どの短いシーンにも実に異様な迫力がある。

歌って飲んで食べて踊って。イタリア人の宴会好きは「ゴッドファーザー」でも丹念に描写されておりアメリカ人にもお馴染だが、現代ローマの金持ち有閑階級が、コカインきめながら踊り狂う退廃的なパーティーは底知れぬ虚無を感じさせ、別格の迫力。

女優陣にも爛熟の魅力をたたえる個性派多し。ヨーロッパ映画の底光りする魅力。主演の男優、トニ・セルビッロも男の渋い哀愁を漂わせて見事に成立している。ファッションがまた実に格好よい。これまたまさにイタリアだなあ(笑)。映画の終盤、長年の女友達とゆったりとダンスしながら、「俺達は寝たことがあったっけ」と呟くシーンも実に印象的。人生は過ぎてしまえば、まさに一瞬の夢に過ぎない。

夕刻の川面をキャメラがゆっくり滑ってゆくエンドロールが、また素晴らしい。最後の最後まで席を立つことができなかった。

パオロ・ソレンティーノ監督による2013年のイタリア・フランス合作。予備知識無しに選んだのだが、第86回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞している。欧米と一口に言うけれども、アメリカとヨーロッパはまったく違う。この映画の背景として、夢幻の中に重く深い影を落とし、聖と俗が絡み合う煌びやかな魔都ローマの魅力を見たならば、アメリカ人は畏怖の念に打たれ賞を与えずにはいられなかったのでは。ま、映画冒頭では、キッチリおのぼりさんの日本人も馬鹿にされているのではあるが。でもあの俳優連中は日本人じゃないと思うけど(笑) 

ブルーレイ出たら必ず買わないと。あるいはもう一度映画館に観に行ってもよいなあ。同じ監督の、「イル・ディーヴォ ‐魔王と呼ばれた男」をつい発注してしまった。



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