97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
お弟子さんが握る「新ばし しみづ」特別営業の夜
日曜夜は「新ばし しみづ」。金曜日に訪問した際、親方から「日曜にうちの弟子が握って営業するのですが試しに如何ですか」と誘われ、では実験台になるかと訪問。今の一番弟子の摩宙君(字はこれで合ってるかなw)は修行に入ってもう8年目か。

神保町鶴八の師岡親方が柳橋美家古で修業したのは6年。そこから雇われの職人としていくつか他の店を経験してから独立したのだから、就業経験として不足ということはないだろうが、雇われでやるのと自分で店やるのとはまた違う。これから客の相手をする修行も必要なのだ。

入店してみると本当に清水親方は不在で、お弟子さん二名での営業。親方は、知り合いの披露宴出席だとか。勿論、店の暖簾は下げてあり、飛び込みの客はいない。昼の営業までは親方がいたので、仕入れも種も仕込みの仕事もいつもと全て同じだから安定感あり。

最多来店記録保持者F氏の隣に座って、あれこれ雑談。F氏はお弟子さんに握ってもらうのは二回目とのこと。握りをつまようじで刺して食うかとか、客が口々に注文しないと練習にならないなとか、余計な話題で盛り上がる(笑)。

お客は我々入れて6名だったか。一斉にスタート。「ではおまかせでお願いします」という優しくも紳士なお客ばかりなので対応は楽だろう。それでもやはりつけ台の中は緊張しているのが窺える。

本当に実戦形式で予行演習するなら、カップルの男性が「おまかせで」と言い「お嫌いなものはありませんか」と確認すると女性が「マグロと光り物と貝類は全部ダメなんです」と言い放つとか(この修羅場は実際別の寿司屋で見たことがある。つけ台を拭く親方の手がピタリと止まったねw)、おまかせで出したら「これ嫌いなんだよ」と言い放つ客などをワザと配置しないと勉強にならない訳であるが、あまりに真に迫った予行演習してドタバタになるとこちらも困る訳で、まあ穏便にやらねばなりませんな(笑)。

お酒は冷たいのを所望して、つまみはおまかせで。まずヒラメ。F氏がわざと「このヒラメはどこの?」と聞くと「海です」と一応無難なスタート(笑)

牡蠣塩辛、カツオは薬味醤油で。山葵をするなど、いつも自分がやってる仕事は入口近くの自分の定位置に戻ってこなし、握る段になってまた中央の場所に復帰するので、なかなか忙しい。まあ自分の店じゃないから仕方ないか。

カスゴは軽く炙ったものが供される。何時の頃からかいつも炙って出すのはF氏仕様で、私にはそのまま出される事になっている。「一緒でどうもすみません」と。わざわざ出し分ける余裕はない。まあ、私自身はどちらでもまったく構わないのだが(笑)。

ブリも表面を軽く炙って辛子を添える。これはなかなか珍しい。トリ貝も供される。全員一緒にスタートすると、やはり段どりは楽だろう。スタートがバラバラで、最初から握ったりつまみだったり、おまかせではなくお好みだったりすると大変なのだろうなあ。

独立するなら場所はどこにするのとか、店の名前は「ニューしみづ」にしたらどうかとか、F氏と一緒に余計な事ばかりしゃべっていたら結構時間が経つ。適当なところで握ってもらうことに。寿司はもっぱら食べる方専門だから、握る技術の事など分からないが、鶴八系のトロトロのアナゴを握るのは難しいとは前に「新橋鶴八」の親方に直接聞いた話。ウニの握りと同様上から押さえると潰れてしまう。後は、生アワビやアオリイカなどの酢飯に添わない種もやはり難しいだろう。

私はせっかくなのでその都度お好みで注文することにしてみた。他のお客さんはおまかせで握りを一通りとのこと。おまかせを出しながら、お好みの注文も気にして「次は何にしましょうか」と適当な間で聞きながら、全部の客の相手をするのは、やはり虚心に見ると難しいよね。

キス、スミイカ、中トロ、ブリ、コハダ、ハマグリ、イクラ、アナゴ、カンピョウ巻と、間を置いて1貫ずつ注文。

「しみづ」一番弟子君の握りは、左手親指はあんまり使わないのだが、形は整っている。あくまで柔らかくふんわりと握ろうという意図も分かるし、確かにそうなっている。

ただ、ハマグリを頼んだ時に、ハマグリは初めて握るなあ、とつい頼りない本音が(笑) 私は寿司は箸で食べるのだが、下からそっと持ったものの口に運ぶまでに酢飯が崩れた(笑)

私も箸使いは決してヘタなほうではないのだが、手でつかむより箸のほうが崩れやすいのは事実。箸で食べる人と手で食べる人によって調整が必要なのかもしれない。

寿司出す順番だが、F氏は長い年月通って編み出した微妙な好みが反映して独特の順番がちゃんとある。普通のおまかせとはちょっと違うので、これを同時並行するのはちょっと手間。どうするのかと思っていたら、一番弟子君は、私を含む他のお客の握りを先に出して、F氏のほうはずっと待たせるという豪快な荒技に。「こっちは何も出てこないんだけど」と問われても、「はいはい、ちょっとお待ちください」と無視して他の客の握りのほうを先に出すというオペレーション。面白いなあ。

清水親方なら慣れてるから、私に出すのと、F氏に出すのと、他のお客さんのおまかせに出すのと、融通無碍に順番を変えて同時進行させるのだが、それにはやはりちゃんとした年季が要るのだった。

まあ、しかし、これからの職人が真剣に客の前で種を切り、握るのを見るのは、自分も寿司屋に通い出して真剣に握り手の手つきなど見ていた頃を思い出して、なんだか懐かしい気が。そんな場を弟子に与える「しみづ」の親方の度量というのも素晴らしい。


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