97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座「三月大歌舞伎」夜の部を観た
歌舞伎座三月大歌舞伎は、「菅原伝授手習鑑」の通し上演。20日の金曜にまず昼の部を観たので、筋を忘れないうちに夜の部を観るためその後、日曜の夜の部を予約していた。

「菅原伝授」は、「仮名手本忠臣蔵」「義経千本桜」と並ぶ歌舞伎の三大名作。元々は人形浄瑠璃。権力争いに巻き込まれる悲劇の菅原道真と三つ子舎人を巡る物語。運命に翻弄される人間の「別れ」と「情愛」が印象的に描かれる。

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昼の部は片岡仁左衛門が扇の要となる大役を演じるのだが、夜の部は若手花形中心の座組。席は7列目の中心部分。

最初の演目「車引(くるまびき)」は通しでは四幕目に当たる。筋らしい筋はあんまり無いが三兄弟が派手に見得を切って暴れる荒事。

悪玉の時平に仕える松王丸と、敵対する主人に仕える梅王丸、桜丸との葛藤と対立を様式的に描き、牛車から出てきた悪玉の藤原時平がカッと口を開けると口中は真っ赤。「時平は恐ろしい悪い奴だ」という事を現す見得。時平はこの場面しか出てこないのだが、彌十郎は背丈があるからこのような悪玉は映える。梅王丸が染五郎、桜丸が菊之助という配役が昼の部から続いているのも分かりやすい。

次の「賀の祝(がのいわい)」は通し上演では五幕目。「桜丸切腹の場」としても知られる。三兄弟の親である白太夫の七十歳の祝いが舞台。

昼の部で観た通し上演の冒頭、「加茂堤」の光溢れる早春に燃えあがった、道真の娘苅屋姫と斎世親王との若き恋が、時平の政略に利用され、菅原道真の失脚へと繋がる。その恋の仲立ちをした桜丸が責任を取って切腹する悲劇。この悲哀は最初から通しで観ないと染み染みと来ない。

不吉な凶兆。折れた桜の枝。何度引いても桜丸の死が暗示される神託。運命の輪は更にめぐり、菊乃助演じる桜丸は切腹し、この悲劇は「寺子屋」の松王丸の慟哭へともつながって行く。これもまた通し上演ならではの醍醐味。

最後は通しで六幕目に当たる大団円、「寺子屋(てらこや)」。 これは同じ片岡仁左衛門の松王丸で昨年大阪松竹座と歌舞伎座で二度観た。

首実検で自らの息子の首を菅秀才と偽り、死に際が立派だったと春藤玄蕃に聞いてうれし涙を流す松王丸。

今回は、染五郎が松王丸、松緑が武部源蔵。染五郎は昼も夜も出ずっぱり。松緑の武部源蔵も印象的に成立している。松緑長男左近が菅秀才を演じる。通しで観ると、武部源蔵の忠義や、松王丸がなぜ菅丞相の一子を助けるために大変な犠牲を払ったかが腑に落ちる幕。通し上演を観れて実によかった。

観劇してからずいぶんと間が空いて、三月大歌舞伎は終了してしまったが、記録のために更新。

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先週、ブラっと歌舞伎座の前を通りかかると、既に四月大歌舞伎「四代目中村鴈治郎襲名披露」公演の「ガンジロはん」巨大看板。鴈治郎名籍地元の大阪襲名披露公演を終えて、東京に逆凱旋上陸。 江戸の荒事、上方の和事というが、誠に福々しい体型。弁慶やら花川戸助六はちょっとできないと思うが、上方の和事には映える役者なんだなあ。


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