97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
平成中村座 陽春大歌舞伎、昼の部を観た
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土曜日は、平成中村座 陽春大歌舞伎昼の部に。ポスターには「十八世中村勘三郎を偲んで」とある。場所は浅草寺裏仮設劇場。銀座線の浅草駅で下りて雷門から行ったのは失敗で、参道は中国語を話す観光客でごった返している。しかし前からこんなに混雑していたっけ。

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椅子席の仮設の芝居小屋であるから、靴はビニール袋に入れて入る。一階の平場は座布団で床に座るスタイル。もともとチケット発売の直後に土日は全て売り切れで見物は諦めていたのだが、時折戻りが出るようで、たまたま空いた一階椅子席の左一列目をゲット。床に座る「ドブ」の一列を挟んで目の前が花道。臨場感のある昔の芝居小屋を彷彿とさせる環境。舞台と客席の近さと一体感は歌舞伎座では体験できないもの。二階席正面には一段高くなったひな壇のような「お大尽席」が用意されており、食事や飲み物の接待があるようだが、あそこはちょっと恥ずかしいよなあ(笑)

最初の幕「角力場」は獅童が「つっっころばし」のタニマチ山崎屋与五郎と力士の放駒長吉役を二役で活躍。彌十郎は下駄や衣装の詰め物の効果もあるが、威風堂々、まさに日の下開山大力士の風格。「勧進帳」弁慶は名門出の大名題立役しかやれないが、リアリズムで言うなら彌十郎のような巨漢がやるとまた凄いのでは。もっとも歌舞伎はリアリズム追求の場では無いからなあ(笑)

二幕目は「勧進帳」。橋之助は弁慶の衣装着るとやたらに顔が大きく、やはり代々の歌舞伎役者の出なんだと妙な事に感心。なかなかの熱演。ただ意外だったのは、勘九郎の富樫がさほど冴えなかった事。山伏問答は、お互いの知力と胆力を探りあい、ギリギリと凌ぎを削る火の出るような両者のせめぎ合いが見所なのだが、勘九郎富樫の追求はなんだか「段取り」に見えるのだった。七之助義経は花道の出から、気品高く成立している。若手修練の場でもあるから、あんまり細かい事もなんだが四天王は常陸坊以外は見よう見まねという印象。

席はちょうどスッポンが眼前にあるような位置。間には一列しかないので、幕外の弁慶引込みでは、スポットライトに浮かび上がる橋之助の顔に汗がしたたり息も乱れている事がはっきりと分かる。それほどの大役なのだ。小さな小屋の醍醐味。大音声で一声叫んでからの飛び六法の引込みは実に印象的だった。

最後は「魚屋宗五郎」。気楽な世話物で、宗五郎の酔態に観客席も沸く。 歌舞伎座追善公演の時にも感じたが、勘九郎は勘三郎に実によく似た軽妙さがある。七之助が演じる世話物女房がこれまた意外に良いのにも感心。生まれながらの歌舞伎一家ですからな。獅童の殿様も最後をしっかり締めていた。

平成中村座は現代に昔の小さな芝居小屋を再現したという点で実に素晴らしい観劇の場なのだが、やはり快適性という面では広い歌舞伎座のほうに分がある。ロッカーもないし、客席も座布団一枚で隣とも方が触れ合うほどの狭さ。しかし、それが微妙に小さな芝居小屋独特の一体感を醸し出すのだった。

ただ幕間の女性化粧室は二階まで列が並ぶほどの混雑。もともと劇場内は女性客がほとんど。女性が延々と並ぶあの列の先に果たして男性用化粧室があるのかどうかと気後れして(笑)結局そちら方面には行かなかった。入り口で弁当買って使うこともできるが、勝手が分からなかったし、荷物になるのでお昼はスキップ。幕間は小屋のあちこちを巡って見物。幕の中二階に設置された席はなかなか面白い。

小さい小屋の醍醐味というのは勿論あるのだが、後ろにいた関西弁のババアが最悪。娘と思しい連れと、上演中に一切声も潜めずに会話するのにはずっと悩まされた。世話物の最中ならなんだが、「勧進帳」の最中に後ろで、「あ、帰る前にアレ買っていかんとなあ」などと普通に会話してるというのはねえ(笑) 静かな場面でも、長いことガサゴソガサゴソと音たててカバンの中をひっくり返している。普通の幕間ではなく、場面転換で臨時に幕が引かれた際に、携帯で電話しているのにも驚愕。

このババア連は、幕間の会話を聞いていると、暇と金はあるようだが、知性と品性はゼロ。確かに関西弁ではあったが、あれを「大阪のオバハン」と呼ぶと「大阪のオバハン」全員から「うちらあんなひどないで! 一緒にせんといて!」と一斉に叱られるレベルだ(笑)

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筋書の「魚屋宗五郎」には、配役として今週亡くなった中村小山三さんの名前が。配役変更のお知らせも劇場内に貼られていたのだった。

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昼の部が終わり外に出ると、もう雨は上がっている。境内は中国人の団体だらけ。その後で駅前の浅草松屋屋上に。花川戸に住んでた時はよく来たが、その時はこんなタワーは影形もなかった。変わりつつある浅草と、昔を復元した芝居小屋が復活する古き良き浅草とが、奇妙に交錯する春の日。


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