97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座、「團菊祭五月大歌舞伎」 夜の部
グアムから帰った翌日に、歌舞伎座、團菊祭五月大歌舞伎夜の部に。まだ頭が南洋モードになってるから環境激変にちょっと違和感を感じる(笑)

20150505094304fec.jpg 20150505094327fbf.jpg

祝日とあって歌舞伎座には国旗が。取った座席はかなり前列。なかなか迫力あり。

一幕目は「慶安太平記 丸橋忠弥」

松緑演じる丸橋忠弥、花道の出は酔態が見所だが、なかなか真に迫っている。ハマグリで一杯、鴨鍋でも一杯、更にキハダの良いのがあったので刺身でまた一杯などと語られると、ついこちらも飲みたくなる。現実の松緑も、ブログ読むとほぼ毎日大酒飲んでいるようだ。ただ、ブログには所々情緒不安定な記述があるが、大丈夫か。

松緑は、眼力鋭く口跡も良く、輪郭が太く鮮やかな人物を描き出す力がある。立ち回りは、さすがに菊五郎劇団で、大勢出てきて、戸板を使った屋根への駆け上がり、戸板倒しや、縄で受け止めるジャンプなど、様式美に溢れた見所多し。手傷を負った忠弥決死の立ち回りは、練り上げられた迫力あり、客席もどよめく。「蘭平物狂」も懐かしく思い出した。体力使うだろうなあ。梅枝のおせつは世話女房感がきちんとあって印象的。

30分の幕間に三階花篭で「ほうおう膳」。月が変わったので献立にも初夏を感じる若干の変化あり。食後にiPhoneでニュースなどチェックしていたら、急に「後5分です」とアナウンスがあり、慌てて一階に。

2つ目の演目は、「蛇柳」

市川家の芸、歌舞伎十八番に揚げられているがオリジナルの台本は散逸。わずかに残された資料で復活したもの。白木の所作板が敷かれ、背景は松羽目物の能かかりの舞台。

歌舞伎は、設定、演技、化粧、衣装、舞踊、楽曲など、全てに渡って伝統的な「型」が保存されており、逆に言えばそれぞれが「パーツ化」している。復元といっても、おおまかなフレームワークを借りて、ここは「アレ」で、あちらは「コレ」で、という調子で新作歌舞伎を作るような作劇なのでは。「勧進帳」などから拝借してきた「パーツ」も随分あって松羽目物の舞踊劇に仕立てた印象。

席は前のほうで迫力あるのだが、前過ぎると悪い面もあって、海老蔵最初のすっぽんの出は、しばらく気がつかなかった。

最後は花道の「押戻し」。これまた「歌舞伎十八番」にある一種の「場面」。派手な隈取りと衣装で出てきた役者が、市川宗家伝来、荒事の型で、ンガ~、ブルブルブルと唸り睨むので、一体誰かとよく見たらなんと海老蔵本人(笑) 予備知識無しに呑気に観たのですっかり作劇の術中に嵌ってしまったが、途中でのすり替わりは、もともと観客をアッと驚かせるための歌舞伎の手法であるから、アッと驚くほうが面白いのである(笑) 松緑は「丸橋忠弥」最後で獅子奮迅の立ち回りだったが、幕間挟むとはいえ続けての出演。大変ですな。

夜の部の海老蔵はこの演目のみ。「團菊祭」とは称するが、海老蔵はブログでも今月は時間に余裕あるような事を述べている。團十郎は既におらず、菊五郎がまだ現役のため、やはり興行のバランス的に難しい部分がある。親父が現役で上に控える菊之助は、海老蔵とは逆に昼の部も夜の部も出ずっぱり。海老蔵は、團十郎ではないので、菊五郎劇団の公演に客分でちょっとだけ出演という感じなのだろうか。そういえば館内に置いてあった七月大歌舞伎のチラシを見ると、猿之助と澤瀉屋一門に海老玉が合流という座組だ。

夜の部最後は、「神明恵和合取組(かみのめぐみわごうのとりくみ) め組の喧嘩」

菊五郎が粋で鉄火な鳶の親方を機嫌よく演じて、舞台に江戸の風が気持ちよく吹き過ぎる。火消し「め組」の分担は、今で言う新橋から浜松町あたり。ここの鳶と相撲取りの喧嘩は史実で、実際に死人が出る大騒ぎだったらしい。火事と喧嘩は江戸の華というからなあ。現代では、炎上とバトルがネットの華だ(笑)

世話物の人気演目でもあり、演出は練り上げられている。市村萬次郎が筋書きで語るところによると、昔はわざと力士役を客席に落としたり、梯子で小屋を壊したりしていたとのこと。江戸っ子特有の威勢の良さと突っ走るところで最後まで押し切る芝居だし、勢い余って無茶やった事もあるんでしょうな。菊五郎劇団は元気の良い者が大勢居て、大勢での派手な立ち回りも得意だが、とんぼ切るだけでなく、バク転やる若い者がいてビックリ。

粋な鳶の親方と力士というのは江戸の情緒だが、折しも五月場所が両国で始まろうという時期。現実世界では鳶はもう消えたも同然だが、歌舞伎と相撲はまだ隆盛なのがなにより。もっとも大相撲の横綱は、全員モンゴル人になってしまったが。左團次の力士姿はなかなか貫禄あり。

この演目でも大名召し抱えの力士というのが出てくるが、国技館館内のFM放送でもそのあたりは解説がある。江戸の昔は、贔屓筋の関係で、お互いに絶対に負ける訳にゆかない一番というのがある。土俵下には召抱えた藩の藩士が、負けたら力士を切らんと待ち構えている。行司もどちらに軍配上げる訳にもゆかず、延々とえっちらおっちらやって、結局勝負は預かりとなった一番もあったとのこと。この「め組の喧嘩」でも喧嘩の最後は仲裁役が「預かる」という大人の決着。梅玉演じる仲裁役、喜三郎の出も、梯子を倒したら舞台中心に降りてくるという印象的なもの。

舞台が近かったので立ち回りも実に迫力を感じた。時折風の具合で、舞台で菊五郎が吸う煙管の香りが漂ってくるほど。しかし全体を見通すには、本来はもう少し後ろのほうがよいのかもしれない。

関連記事
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2015/05/06(水) 23:48:32 | | #[ 編集]
YouTube検索しました、
いや~、俳優祭「奈落 歌舞伎座の怪人」は面白いですねえ。歌舞伎役者はみんな洒落っ気がありますね。

團十郎、勘三郎、三津五郎と最近亡くなった名優もまだ若くて、その他の俳優も皆若い!
2015/05/07(木) 20:20:05 | URL |  Y. Horiucci #-[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック