97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「絵本 夢の江戸歌舞伎 (歴史を旅する絵本)」
先日届いた「絵本 夢の江戸歌舞伎 (歴史を旅する絵本)」を座右に置いて何度も読んでいる。

江戸時代の庶民にとっては、歌舞伎観劇はまるで夢の世界。歌舞伎は芸能として一番の人気を誇った大興行であり、庶民にとっては歌舞伎を観に行くというのは、精一杯に着飾って晴れがましくも浮き立つような気分で出かける行楽のようなもの。

この絵本は、当時の中村座での絢爛たる興行を、漫画家の一ノ関圭が、千葉大学の学者と一緒に8年の歳月を費やして大型絵本として再現したもの。目が眩むほど大勢の人数が丹念に書き込まれている。観客から観た舞台だけではなく、座付き作者見習いの若者が体験した興行の一部始終という形態で、楽屋裏や奈落下などの舞台裏もたっぷり見せる趣向が素晴らしい。

隅田川にかかる大橋から大勢の観客の声がかかる役者達の船乗り込み。劇場の建込みと公演前に稽古が続く楽屋裏。初日木戸前の賑い。幕が開く時の目眩くような観客の興奮とどよめき。舞台の上に臨時にかかる橋や、仁木弾正すっぽんの出、野崎村で花道を去る船など、観客の度肝を抜いた歌舞伎のケレンも丹念な大画面で。読者は江戸時代の歌舞伎のワールドにタイムスリップすることになる。

巻末と付録でついた著者たちの対談も実に興味深いもの。江戸の歌舞伎を絵本で再現するにあたって、実に丹念に文献を当たった考証がなされていた事が分かる。

そういえばこの前の四月、平成中村座に行った際、近くに座った老齢の女性が連れの人に「待ち望んだ日がようやく来たね。本当に嬉しいわ」と話しかけていた。そうなんだ、江戸歌舞伎観劇の興奮は、今でもずっと生きているとなんだか感嘆した出来事。


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