97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「ホドロフスキーのDUNE」 DVD
「ホドロフスキーのDUNE」 。 DVDは届いてしばらく観る時間なかったのだが、土曜日の昼に視聴。

カルト映画「エル・トポ」で有名な、アレハンドロ・ホドロフスキー監督は、フランク・ハーバートのSF大河小説「デューン」の映画化を構想。1975年に制作プロジェクトは進行したが、配給会社が決まらず結局制作できないまま幻の作品に。本作はホドロフスキー自身と周囲の関係者が、幻に終わったホドロフスキー版「DUNE」の制作過程について語るというドキュメンタリー。

映画は総合芸術とも言われるが、漫画や小説が家内制手工業のようなものだとしたら、大工場での受注生産品に近い。しかし完成しなかった映画は世に出なかった訳で、それは映画とは呼べないだろう。そう考えていたが、この「DUNE」を観てだいぶ考えが変わった。

ホドロフスキーは、映画監督だけではなく、タロット占いやパントマイムも手掛ける、総合芸術家、あるいはパフォーマーでもあり、ちょっと宗教かかったところもある芸術家。この映画の製作に集まった仲間を「魂の戦士」と呼ぶ。映画の画コンテを作り、デザインを決定し、キャスティングを行って行くその工程そのものが魂の彷徨であり、まさに一種の社会的なパフォーミングアートを見るかのよう。

宇宙皇帝には画家のサルバトール・ダリ、ハルコネン男爵には映画監督オーソン・ウェルズを起用しようという奇抜な発想も凄い。ミック・ジャガーにもパーティーで出会い出演を承諾させている。当時はネットもメールも無いから大変なんだとホドロフスキーは語る。ダリを捕まえるために、パリの定宿であったホテルのレストランに乗りこんで行き、取り巻きに囲まれたダリに直談判する。ダリが相手を試す即興の質問を切り抜けると、「バルセロナに来たまえ」とダリは去る。この辺りの語りは、まるでホドロフスキー自身が謎を追う映画の主人公を演じているかのよう。

メカデザインに起用したSF画家のクリス・フォス、キャラクター・デザインのメビウス、城のデザインにH・R・ギーガーを起用するなど、後に他の映画でも活躍した稀有な才能が既にこの映画の企画段階で参集している。

観る人間の意識を変容させる「観るドラッグ」を作るのだというホドロフスキーの誇大妄想ともいえる一大プロジェクトは、メカやキャラクタ、建物のデザイン、画コンテなどが収載された分厚いデータブックを完成させるところまでいったが、ホドロフスキーに映画を制作させようという配給会社は現れなかった。

しかし膨大なイメージが掲載されたこのデータ・ブックは出資を募るため多くの映画会社に送付されており、その後に制作されたSF映画には、明らかにこのホドロフスキー版「DUNE」のイメージを拝借したものが数多く見られる。このDVDではその比較がされており、これが実に興味深い。

普通に人々の記憶にあるのは、ディノ・デ・ローレンティスがプロデュースし、デヴィッド・リンチ監督した1984年制作の「デューン/砂の惑星」だろう。興業的には大コケにコケたのだが、実に奇妙なディテイルに凝った映画。

個人的に不思議なテイストが妙に印象に残っておりDVDも持っているが、今回この「ホドロフスキーのDUNE」を観て、そのかなりの部分をホドロフスキーのデータブックから拝借していることを発見。スティングを配役したり、TOTOを音楽で起用したりしたのも、ホドロフスキーの着想に影響されたのだなと感じられるのだった。しかし当時この映画が完成されていたら、どうなってただろうなあ。

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