97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」を観た
先週の休暇で行ったUAのNRT-HML。機体は古いB-747-400だが二階席は静かでよろしい。フルフラットになるシートも結構。

一度劇場でも観た「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)<Birdman: Or (The Unexpected Virtue of Ignorance)>」がオン・デマンドのリストにあったので早速観賞。



映画「バードマン」のスーパーヒーロー役で大スターになったが、その後でヒット作に恵まれず没落した初老の俳優リーガンをマイケル・キートンが演じる。勿論ここにはキートンが主演した「バットマン」が皮肉にも投影されている。家庭も崩壊し失意のリーガンは再起をかけてブロードウェーで自ら企画・演出した舞台劇の主役を演じようとしている。

映画冒頭、楽屋で空中浮揚するショットで映画は観客に目眩のような混乱を与える。執拗にワンショットで繋ぐ(と見える)カメラワークが、楽屋の登場人物を回り込む際、後ろの鏡に映り込まない。丹念にCGも使って作られた普通ではない映像。

狭い劇場ビル内部を胎内潜りのように縦横無尽に蛇行しながら、執拗に人物を追い続けるワンショット撮影。劇中劇を中心に、演技と素顔、男と女、父親と娘、映画と舞台、栄光と挫折の虚実を、時空を奇妙に超えて描き出す。どのショットにも独特の緊張感が溢れる。

キリキリと不穏な感情を掻き立てるような、乾いたドラム・ソロがまたよい。しかし映画のストーリーが進むにつれ、自由自在に音楽も弾み始める。

ナオミ・ワッツは、「マルホランド・ドライブ」を思い出す好演。あの映画も入れ子構造になった劇中の演技シーンが素晴らしかった。この人は売れない女優役やると本当に巧いな(笑)

基調低音として流れているのは、主人公を静かに蝕み、呑みこもうとしている狂気。現実と妄想との境目がやがて溶け崩れて行き、リーガンの強迫観念が具現化したバードマンが現れる場面で映画のテンションも頂点に。

ラストシーンについては、いかようにも解釈ができるだろうが、彼はついに全ての苦悩から解放され真の「鳥」になった。彼の娘はそれを喜びと共に感じ取ったということなのだろう。たとえ、物理的な彼の身体がどこに横たわっていようと。

副題の「The Unexpected Virtue of Ignorance」は、舞台批評家の女性が書いた舞台批評記事の見出し。「無知なのが予想外に良かった」という事だと思うけれども、「奇跡」とまで訳するのはどうかな。





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