97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
新橋演舞場で、歌舞伎NEXT「阿弖流爲(あてるい)」を観た
先々週末の三連休最終日に、新橋演舞場で歌舞伎NEXT「阿弖流爲(あてるい)」を観た。新橋演舞場に来るのは二回目か。

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坂上田村麻呂の東方征伐の話だという以外は何も予備知識なく行って、筋書きも購入しなかったが、普通に観てなかなか面白かった。

あとから調べたら、「阿弖流爲(あてるい)」というのは、続日本紀などに見える、坂上田村麻呂に敗れて降伏し処刑された蝦夷の大将の名前で、ちゃんと歴史書にある史実を踏まえた設定なのですな。

2002年に今回と同じ市川染五郎と劇団☆新感線のコラボ公演として公開された「アテルイ」の脚色に若干歌舞伎テイストを加えて「歌舞伎NEXT」として新たに上映したのが今回の公演ということらしい。これも実は観た後で知った(笑)

主役の阿弖流為に染五郎、ライバルとなる坂上田村麻呂に勘九郎、立烏帽子に七之助という高麗屋、中村屋の花形が揃う座組み。 7列目だったのだが両花道を劇場一杯に使うアクションで、もう少し後ろでもよかったかも。

「歌舞伎NEXT」と称するが、立ち回りも全体にゆったりした歌舞伎の様式美ではなく、もっと写実的でテンポも実に目まぐるしく早い。しかしそれをきっちりとこなす歌舞伎役者の身体能力には驚く。音楽も下座音楽では無くドラムも電子音も入り、一部では俳優もマイクも使用している。

歌舞伎の雰囲気やケレン味がある演出も随所に組み込まれている。神の化身である龍との戦いの様式美やら、一部立ち回りでトンボを切る部分。あきらかに「だんまり」を模した部分もあり。

祟り神と化した染五郎の阿弖流爲が大和の都を灰燼とするため花道を去る。この引込みは「飛び六法」なのだが、実にデーモニッシュかつ異様な雰囲気を持って成立していた。花道の出入りは全般に歌舞伎の速度よりもスピード感あり。

逆にやり過ぎとも思えるのが、最初から最後まで多用される「ツケ打ち」。これは若干うるさく感じるくらいで、裏方さんは獅子奮迅で大変。あまり歌舞伎を見慣れなてない観客もいるだろうと「今、見得切ってますよ! ココ! ココ!」と教える感じでやってるのだろうか(笑)

御霊御前は、えらく真に迫ってるので、歌舞伎役者ではなく本当に婆さまの女優がやってるんだなあと思っていたが、幕間でチラシ確認すると女形の市村萬次郎であった。歌舞伎座で何度も婆さんの役で見たが、まさしく婆さんにしか見えない。凄い(笑) 片岡亀蔵の蛮甲も一種の狂言回しとして印象的。坂東彌十郎も実に怪異で大きかった。

染五郎が見得を切ると、悪役が「気持ちよさそうに大見得切りやがって」と楽屋落ちを言うので客席爆笑。さらにふざけて見得を切り「高麗屋!」と自分で言うと、対面する勘九郎も笑って自分も見得を切り「中村屋!」と言う。煙たい大名題がいない、本格歌舞伎とは違う若手中心の自由な舞台。伝統の歌舞伎ではないけれども、歌舞伎独特のケレンを巧く使い、舞台転換も立ち回りも歌舞伎の何倍かのスピードでめまぐるしくストーリーが展開する。現代の演劇としてカタルシスを持って成立しており、実に面白かった。

入場する時に観客全員に配られるリストバンドは最後の場面で光る。全員が手拍子して大盛り上がり。まあ、あそこで北島三郎が出て来て「祭」を唄っても盛り上がったろうけども(笑)

しまいには全員立ちあがってスタンディング・オベーションに。何度もカーテンコール。なかなか拍手が止まないので、最後は染五郎がいったん上手にはけ、自分で定式幕を客席に手を振りながら閉めて行った。さすがにこれで終わり。


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