97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌右衛門のDVD「伽羅先代萩」を観た。
歌舞伎座夜の部に行くのは来週だが、本日お昼に、事前の予習に以前買って放置してあった歌右衛門のDVD「歌舞伎名作撰 伽羅先代萩」を鑑賞。

このDVDは「御殿」の場から。歌舞伎の子役は常に甲高い一本調子で台詞を言う。これは、子供に余計な演技させず誰がやってもできる為にわざとそうしているのだと思うが、鶴千代と千松の台詞が続き義太夫に乗って「まま炊き」へと移る舞台は、どうしても見ていると眠くなって、何度もここで挫折していたのであった。

しかし、奥殿に不気味に迫る陰謀を基調低音に、乳母である政岡の鶴千代への忠義と、実の息子千松への情愛を丹念に描いているこの場面はその後に見事に活きる。

政岡の息子千松は主君鶴千代を守ろうと陰謀の毒菓子を自分が食べて残りを蹴散らかす。毒の露見を防ぐ為、陰謀方の八汐は不敬を咎に千松を刺す。政岡を睨みつけながら「これでもかえ」と更に刃を抉ると、断末魔の千松の声が響く。様式的に描かれてはいるが、目の前で実子をなぶり殺しにされるというまさに血も凍るスプラッタ・ホラーの如き設定であり、男勝りの政岡の恐ろしい克己と忠義心、そして母としての内なる慟哭がせめぎ合う場面。歌右衛門は堂々たる風格を持ってこの極限までの相剋を演じている。八汐の十七世勘三郎も圧巻。

「床下」の荒獅子男之助は初世尾上辰之助。仁木弾正は二世尾上松緑だが、これまた威風堂々たる迫力の円熟味あり。「対決」「刃傷」では細川勝元に後の團十郎である海老蔵、渡辺外記左衛門に市村羽左衛門と、大名題が揃った豪華な座組だが、考えてみると、このDVDに出演した主だった役者は、既に全員鬼籍の人だ。しかし実に面白かった。来週の歌舞伎座では、玉三郎の政岡と吉右衛門の仁木弾正を楽しみにしよう。相撲も今度の日曜から始まるので、九月はちょっと忙しいな。

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