97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「天麩羅 なかがわ」訪問
土曜日は、築地の「天麩羅なかがわ」。10月最初に「新ばし笹田」で松茸を食した際、東北、長野の松茸は盛りだがもう2週間もすれば姿を消すと聞き、そうだ「なかがわ」で松茸天ぷらを食さないとすぐさま思ったのだが先週末は予定が入っており、今週末に予約したのだった。

開店の5時丁度に入店するとカウンタには私以外全て着席済み。早いな(笑)もっとも酒だけ注文すれば、あとは何も言わずとも何時でもお任せのコースが出てくるから、別に慌てる事はない。

お酒は常温で。お通しは三つ葉のおひたし。

まず最初は海老。甘味とプリプリした食感を芯に残した絶妙な揚げ。一本目は塩で。二本目のほうが少しだけ火の通りが強く、こちらは天つゆが合うかな。

鬼殻を取った海老頭は、身よりもしっかり揚げて濃厚な旨味を引き出す。キスはしっかりと揚げて香ばしい衣。ホロホロと崩れる身肉は水分が飛んで旨味が凝縮されている。

カウンタ満席で一斉に始まるとはいえ、それぞれ頼んだコースが違い、揚げる種数も違うのだが、サラダ油とゴマ油を継ぎ足しつつ、微妙に温度をコントロールして行くのは難しいだろうなあ。もっとも中川氏は真剣な目つきで熟練の技の冴えを見せる。

ここで待ちかねた、宮城県気仙沼産の松茸、一本揚げが登場。酢橘を絞って塩で。香りと歯応えが素晴らしい。焼いた物もよいのだが天ぷらには天ぷらにしかない旨味あり。腹の中まで松茸の香り。「今年は間に合った」と中川氏に声をかけると、東北産は来週にはもう入荷するかどうか危ないのだと。去年はここで国産松茸を食するシーズンを外してしまったのだが、盛りは年々短くなると。困ったもんですな。

銀杏も秋の味。結構長く揚げているのだなと新たな発見。スミイカは肉厚なものを中心に生の部分を残してサッと揚げる。衣は香ばしくスミイカの甘味とスカッとした歯切れを残して揚げるのが技術。

走りのハゼ。キスよりも軽めの揚げだがもっと繊細で風味のある身肉。これも冬場にかけてもっと味が乗るだろう。ウニの大葉巻きもウニの濃厚な旨味を大葉の香りが包む。なんでも塩という人もいるようだが、個人的には天ぷらは天つゆが好きな種のほうが多いかな。白子の天ぷらなどは塩と酢橘だけども。

メゴチは皮目を香ばしく焼き切って、ゴマ油の風味も高く旨味が濃縮されている。コハダが寿司の為の魚なら、これは天ぷらの為にあるような魚。ギンポウなんかもそうだ。

穴子は実に立派な身。一本丸ごとじっくりと熱を通して、皮目は香ばしく身肉はふっくらと。寿司種の穴子とはまったく違う仕事だけれども、穴子そのものの奥底に流れる旨味は同じなのだ。

この辺りで野菜系に。アスパラは熱を通すと独特の風味が増す。茄子も秋の風味。椎茸は実に肉厚でモッチリ、ネットリした歯応えと旨味が素晴らしい。じっくりと揚げて水分を甘味に変えたサツマイモも実に旨い。カロリーと糖質は過多になる気がするけれども、旨いから良いのだ(笑)

最後の〆は天丼。何回も今度こそ天茶にしようかと思うけれども、最後の最後に保守的に何時もとおりになってしまう。しかし天茶ってそんなに旨いかな ←だったら頼んで試してみろっての(笑)

カウンタに、この店が取り上げられた「今でしょ!」先生の「すし、うなぎ、てんぷら ~林 修が語る食の美学」が並べられていたので、「今日、ここに来る前も読み返して来ましたよ」と中川氏に声をかけると、林先生は今日のお昼にも来店したとのこと。

TVでお笑いタレントまがいの仕事しているのを見ると、どうかと思うけれども、この本は、中川氏がいかに真剣に仕事しているかを実に克明に取材している。さすがに取材能力に優れた頭の良い人なのだろう。

中川氏は実に寡黙に見えるのだが、立て込んでいない時などに話しかけると、食材やら仕事の事など、幾らでも気さくに答えてくれる。そして黙って任せれば、いつだって何一つ間違いなく旨い物を出してくれる素晴らしい腕の職人。季節の折々には必ず訪問したい天麩羅の名店だ。


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