97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「ハドソン川の奇跡」を観た
土曜日は予定がポッカリ空いたので、シネコンで「ハドソン川の奇跡」を鑑賞。観客の入りは良くなかった。不思議な気がする。



実際に起こったUSエアウェイズの不時着水事件を題材にした、クリント・イーストウッド監督作品。この事故が起こった時はアメリカに住んでおり、過去ログを検索すると、当日に「ハドソン川の奇跡」というBlogをアップしている。もう当日から、"Miracle on the Hudson" と呼ばれていたのだ。

但し映画の原題は「Sully」。実際のチェズレイ・サレンバーガー機長の愛称。動詞の「sully」には「人に汚名を着せる」という意味もあって「Sully was sullied」なんてジョークにされたのかもしれないと思わせるダブル・ミーニング・

アメリカの報道では、ハドソン川への不時着を選択して乗客全員を救った沈着冷静で技量の優れたヒーローというのが最初からの扱いで、オバマ大統領の就任披露式典にも招待された。ただ事故調査の過程で、実は空港に戻る事が可能で、乗客全員を無用な危機に晒したのではないかという疑惑が浮上して機長が巻き込まれていた事は全く知らなかった。Wikiによると、確かにフライト・シミュレーターによる解析も行われていたようだ。

映画では若干の脚色があるのかもしれないが、このNTSB公聴会の場面が緊迫感に溢れて実に良い。事故状況を再現したシミュレーションで別のテストパイロット達はラガーディア空港への帰還に成功する。しかし、サレンバーガー機長の冷静な反論が始まる。パイロット達が何度練習したのかを聞いた時の観客のどよめき。そして、35秒の「人的要素」を入れた後のフライト・シミュレーションがまた圧巻。実にカタルシスのあるドラマとして映画的に成立している。

そして公聴会の締めくくりは208秒のCVR(ボイス・レコーダー)の再生。観客もこの「ハドソン川の奇跡」全てを映画で追体験する。素晴らしい勇気と決断、それを支えた操縦士としての技量。まさに奇跡だ。

副操縦士が最後の質問をされて「I would do it in July.」とニヤリと笑うのは、いかにもアメリカ人が好きなジョーク。96分の小品だが爽快に映画は終わる。

主人公トム・ハンクスも、副操縦士役のアーロン・エッカートも実に印象的。FA役も実にリアル。墜落してゆく時の機内の様子も緊迫感を持って捉えられている。

エンド・クレジットを見ていると所々に「Himself」と出て来る。実際の事件に遭遇した本人達が出演しており、最初に救出に向かったフェリーの船長も本人なのだそうである。クレジット最後には、乗員とその当時の乗客が引き上げられた機体の横で「Reunion」をする実際の映像も挿入されており実に興味深い。

そういえばサレンバーガー機長は当時、サンフランシスコ・ベイエリアの小さな市に在住しており、名誉市民になったとか、社内でも話題になったっけ。今もご健在のようでなにより。

「アメリカン・スナイパー」同様に、大変有名な実話を元にしているので観客は結末を知っている。しかし、それでもなお映画がサスペンスとカタルシスを持って成立しているのは脚本と映画の語り口の妙。クリント・イーストウッド監督の素晴らしい仕事。実に面白い映画であった。



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