97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
西大島「與兵衛」、一人で貸し切り営業の夜
日曜の夜は、久々に西大島「與兵衛」。7時ちょうどに到着するとカウンタはまだ私のみ。あと2席セットされているが、取りあえず私一人で始まる。今日は静かだねと問うと、親方は「與兵衛も、もうお終いです」とすかさず冗談を。

親方や女将さんと、豊洲の市場移転の話などしながら。本当なら来週が引っ越しだったのに大混乱。

お酒はまず「澤屋まつもと 大吟醸原酒 うるとら純米大吟醸」。爽やかな口当たり、静かで清冽な旨み。外が寒かったのでチェイサーにお茶を(笑)

まず牡蠣のスープ。わさびを溶かし小口ネギを散らす。実に芳醇で濃厚な旨み。お通しの皿。海老頭ヅケ、ホタテ煮浸し、漬け込みシャコ、イカ耳とゲソのヅケ、牡蠣煮浸し、中トロ炙りヅケ。お酒は「十四代 本丸」「醸し人九平次」とお代わり。

携帯の番号を聞かれたので答えると、奥さんが台帳見て合ってるわねえと。前日に電話して、土曜が一杯だから日曜と言われたのだが、その直後に当日キャンセルが出て、ひょっとして早いほうがよいかと携帯に返信するも、「パケット通信中です」とか何かのアナウンスが流れて電話が通じなかったと親方が。自宅にいる時のiPhone7 Plusは自宅にいる時はずっとWiFiに接続しているのだが、時にそんな事もあるのかね。電話として機能しない時間があると困るけどな。

この日は結局最後まで他の客が来ずに貸し切り状態。もしも他の予約が全く無かったとしたら、私一人の為に営業させてちょっと申し訳なかったなあ。

他のお客さんがいないので、親方と奥さんといい調子であれこれ雑談しながら。山梨から毎月何度も来訪していたが、突然に来なくなった大常連M氏の話やら、閉めてしまった築地「鮨つかさ」の話なども親方と。しかし世の中に常なるものは無い。私だって急に倒れたらそれで通っている店とはおさらば。花に嵐のたとえもあるぞ、サヨナラだけが人生だ、か。

M氏は東京に出てくるたび、「與兵衛」以外にも行きつけの天婦羅屋やフレンチを回っていたのだが、天婦羅屋では店に置いてあった自分専用のぐい呑みを「しばらく来れなくなるから」と3年前の年末に持ち帰り、それきりなのだとか。その日は特に体調悪そうだったと天麩羅屋から後で鈴木親方が聞いた由。ただ同じ夜に来た「與兵衛」では普段と変わらず、「来年もよろしく」と挨拶して帰って行き、それきりで時間が経ち、携帯に電話しても、「既に番号が使われていない」となるのだと。

握りは、まず赤身ヅケ。固めに炊きあげられた酢飯は砂糖を使っておらずさっぱりして、種が一緒に溶け崩れる。イカは軽くヅケにしてある。ヒラメの甘酢はアサツキを、胡麻ヅケは一味をかませて。細巻海老は甘酢に潜らせ、オボロと共に。シマアジもここのスペシャル。ヅケにした身の皮目を香ばしく焼き霜にして握る。これもまた素晴らしい。北寄貝はここでしか食したことのない旨味と甘味。

キスはサッパリした脂に旨みが軽やかに乗って食感良し。もう少ししたら冬のこの店のスペシャル、身肉真っ白く脂の乗った三陸のサヨリが出てくるのだとか。これがまた美味いのだ。コハダはネットリした〆。サバは脂よりも旨みと甘味が勝る〆具合。最後はこれは脂が乗ってますよとイワシを。削ぎ切りにした3枚の身は脂がまさに蜜蝋のように固まって舌の上でネットリと溶ける。供する順番について親方に確認すると、やはり脂が軽いほうから段々と脂が濃くなるように選んでいるとのこと。そうだよなあ。

ハマグリは深いコクを感じる古式を残すツメと共に。爽煮風に白く煮上げた肉厚でフックラしたアナゴもここ独特。ツメともよく合って旨い。最後は玉子焼きをつまみで貰って〆。

7時に入店して8時10分には勘定。カウンタが他の客で満席で、親方のジョークにあちこちで掛け合いしていると終了が9時過ぎる場合もあるのだが、この店でたまにはこんな短い時間の滞在も実に良い。與兵衛にしかない唯一無二の寿司を堪能した。

勘定を済ませて帰りの挨拶をすると、「そういえば、どこに勤めてるかも聞いたことなかったよねえ」と親方に言われて、「Mさんみたいに急に来なくなるかもよ」と冗談を返しつつ、折角なので会社の名刺を。もしも急に来なくなったら、会社に電話してもらえば生存確認はできるはず(笑)まあ個人の携帯の番号も知ってるのだからそっちに掛けて貰えればよいのだが。

名刺の名前を見て「與兵衛」の女将さんが、「え! 長男なんだ。すっかり次男だと思っていた」と。私自身は典型的な長男性格だと思うのだが、いったいなんでそんな印象が(笑)

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昨夜頂いた「與兵衛」の名刺。トラウマと間違う人が多くて困るのだが、トラウムとはドイツ語で「夢」を意味するのだと親方。一人で貸し切り状態だった店を満ち足りた気分と共に出て、ホロ酔いでタクシー帰宅。


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