97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「新ばし 笹田」訪問。
木曜の夜は「新ばし 笹田」訪問。

入店すると部屋のほうにはもう客が揃っており宴会を始める所。この客達は全員声が大きくて煩かったが、まあ12月は宴会シーズンですからな(笑)笹田氏によると店も今月は結構忙しいのだとか。年内は28日まで営業。

お酒は「羽前白梅」純米吟醸を。サラリとした癖のない淡麗な酒。最近飲み過ぎなのでお水も一緒に。

まず最初は鯛にゅうめん。熱々が小さな塗りの器で供されて身体が暖まる。実に濃厚な旨味が溶け込んだ出汁。丼一杯でも食せる気がするが、ほんの少しというのも程が良い。

香箱ガニ。昨今は禁漁期が厳しくなり、漁は年内でもう終わりなんだとか。外子を敷いた上に綺麗に掃除された身肉が乗り、オレンジの内子とカニ味噌が乗る。冬の宝石箱のような旨味。蟹酢も効いている。

この店の定番、壬生菜と油揚げの煮物。ふっくらとした揚げに上品な出汁をたっぷり吸っている。胡麻の香りもよし。

自家製のカラスミとあん肝。プリン体満載(笑)今年のカラスミは質にバラつきがあり、お土産用に良い物を揃えるのが大変だとのこと。炙ったカラスミは皮が香ばしく、生のものはネットリと発酵した旨味がある。あん肝は脂が乗るが癖が全くなく、濃厚な旨味だけが口中に広がる実に上質なもの。

お造りは、ヒラメ、天然ホタテ、青森のウニに生海苔を添えて。ヒラメはなかなか寿司屋でも出会えない上質な旨味。ホタテはサラリとした旨味。生海苔は市場でおっつけられたのだそうだが、ウニに合うのではと薄味で炊いてみたのだとか。確かにウニは生海苔ともよく合う。軍艦巻きだって合うものなあ。

お椀は、粟麩と甘鯛。上品で澄んだ出汁は最初軽く感じるが、甘鯛が淡雪のように椀の中に溶け崩れ、身肉からの出汁が混然一体となって旨味が完成する。

焼き物は、まながつおの幽庵焼き。遠火で焼き上げたふっくらした身肉の旨味。

煮物は、京野菜のおでん。このサイトにも書かれているが、おでんと称するものの、これは実に手のかかった京野菜主体の煮物。

九条ネギが一杯に入ったさつま揚げ、うずらの卵も自前で丹念に半熟に茹でている。出汁を一杯に吸った聖護院大根、京人参、ネットリした海老芋、鶏皮。全てが別々に出汁を煮含めて最後に合わせる仕事。家庭料理ではまず出せない味。いや、おでん屋でだって無理かもしれない。冬にこの店に来る至福のひとつ。

最後は何時も通り、炊飯土鍋で炊きたてのご飯。艶々した炊きたてのご飯に勝るものなし。お新香ひとつ取っても供する寸前に主人の笹田氏自ら切りつける。小さな赤出汁、ちりめん山椒、ワサビ漬けに、今回はイカの塩辛も添えて。この塩辛が実に濃厚でご飯との相性が最高。ワタの脂が実に乗っている。お替りを所望してお焦げと共に。最後は煎茶が供され、甘味は珍しくワラビ餅。一杯のきな粉を添えて。

全てが素晴らしかった。弟子の海老蔵も松山ケンイチも真面目に頑張っているが、弟子任せにした仕事など一品も無い。全て笹田氏の鋭い目が光り、一品出すと必ずそれとなく感想を聞きに来る実に真摯な仕事ぶり。ケレン味のある派手な食材を、これでもかと見せつけるような仕事ではない。実に真面目に美味さのみを追求した仕事を堪能。

最終の営業日にカラスミを取りに来る予約をして勘定を。笹田夫妻の見送りを受け、実に満ち足りた気分で店を後にした。たまの贅沢だが、払ったお金以上の価値をきちんと与えてくれる素晴らしい店。


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