97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座、四月大歌舞伎夜の部
土曜日は、歌舞伎座、四月大歌舞伎夜の部に。一階七列目だったのだが、前の席とその右がずっと来ないという実に見やすい環境。前の昼の部は、右前にとんでもなく座高が高い和装女性が座って往生したから、観劇の神様も帳尻合わせてくれたか(笑)

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最初は、近松門左衛門作の時代物人形浄瑠璃から由来の演目。「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」土佐将監閑居の場。傾城も反魂香も出て来ない段だけを切り取って上演するのだが、題名はケロっと「傾城反魂香」というのが歌舞伎独特の豪快さ。

吃音者の絵師又平が主人公で、通称「吃又(どもまた)」。舞台の台詞でも「吃り(どもり)」という言葉が普通に使われるのも、古い芸能である歌舞伎独特の大らかさであり、また豪快さでもあるのだが、放送禁止用語なので、NHK「にっぽんの芸能」では放映できないよなあ(笑) イヤホンガイドでも、さすがに憚ったか、「吃り」という言葉は使われてはいなかった。

絵から外に出た虎を「書き消す」。手水鉢の後ろに描いた絵が石を貫通して表に「抜ける」など、絵画の持つ独特の呪術性を活かした演出。あの手水鉢は、いったいどんな仕組みになっていたのだろうか。なかなか興味がある。

浮世又平後に土佐又平光起を吉右衛門、その女房おとくを義理の息子である菊之助。筋書きでは吉右衛門が「若い女房が持てて幸せです」と冗談を言って居る。

吉右衛門は、弟弟子に先を越された無念と断腸の思い、言葉が思う通りに出ない苦悶や焦燥を、重みはあるが実に自然に演じている。菊之助の女房おとくは、亭主の吃音と対照的なポンポン良く回る台詞廻しで鮮やかな印象を残す。歌六の土佐将監は堂々たる貫禄。注進役の又五郎、狩野雅楽之助は短い出だが切れ良く演じて印象的。最後の大団円は、絵筆の持つ奇跡の力でハッピーエンド。

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ここで30分の幕間。花篭で「さくら御膳」で一杯。

次の演目は、山城屋、成駒屋三代が共演する「桂川連理柵(かつらがわれんりのしがらみ)」。いわゆる「帯屋」。

18世紀に実際に京都で起こった、親子ほど年の離れた男女の心中事件に題材を取った「桂川物」。この世話物浄瑠璃を歌舞伎に移した作品。帯屋の主人、長右衛門を藤十郎、恋仲になる14歳の信濃屋娘お半を孫の壱太郎が演じる。

藤十郎は最近、置物のような出演しか見たことがなかったが、花道から普通に出て来るし、舞台でも演技しているのに感心。座の中心に座ると、ちゃんと上方の柔らか味と存在感がある。夫をかばう女房お絹の健気さを、扇雀が印象的に演じる。憎々しげに義兄を追い出す算段をする弟儀兵衛は染五郎。上方役者の中で勝手分からぬままに孤軍奮闘という形であるが、軽妙さはあまり感じないものの、こんな役も立派に演じている。

死を覚悟して出てゆくお半を、自らも死を選ぶために長右衛門が追って花道を去る。長右衛門と心中の約束をしながら裏切られた藝妓が、あの世から若い女にとり憑いて呼んだのだという、和事風味の一種のスリラー的ラスト。

切りの演目は、三代猿之助四十八撰の内、「奴道成寺(やっこどうじょうじ)」

道成寺物は人気舞踊劇なだけに種々のバリエーションあり、これは白拍子花子が、実は狂言師左近という奴であったという趣向。最初に所化坊主が大勢出て、白拍子が求めに応じて次々と舞を披露するという趣向はどの作品にも共通する骨格。手ぬぐい撒きもあったが近くに飛んで来なくてよかった(笑) 

猿之助は舞踊が達者で、この演目のしどころである三面の舞も賑やかに演じる。ただ、まあ、簡単そうに演じるが大変だなと思うものの、やんややんやの喝采を送るほど面白いとは思わないなあ。まあこれは私に舞踊を理解する素養が無いからだと思うのだが。

引き抜きやぶっかえしなどの派手な演出も印象的。紀伊の国、豪華な満面の桜を背景に、猿之助が鐘の上から舞台を睥睨して極まって賑やかにかつ盛大に打出し。

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コメント
この記事へのコメント
久しぶりにおじゃまします。
遡ってみると、2年前の3月にコメントしてましたが、今回も16日私も昼夜歌舞伎座観劇でした。
そして17日赤坂。私が思ったこと全て書いて下さっていて驚きました(笑)。
歌舞伎座も赤坂もなかなか満足な2daysでした。猿之助さんの踊りと段一郎さんの後見、息ぴったりで、私はかなり好きです( ´艸`)w。
2017/04/23(日) 20:36:21 | URL | ふぅ。 #bGf9qjkw[ 編集]
ふぅ様

どうもこんにちは。以前にもコメント頂いた由、誠にありがとうございます。

歌舞伎昼夜通しは結構体力必要で大変ですよね。私は集中力が続かないので、二日に分けて(笑)

まだまだ初心者ですが、歌舞伎は実に面白いです。赤坂歌舞伎はまるでSFでしたが、それさえも内包するのが歌舞伎だと感心したことでした。

最近は更新速度が大分落ちておりますが、またお時間ある時にお立ち寄りください。
2017/04/24(月) 21:55:17 | URL | Y. Horiuchi #-[ 編集]
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