97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座五月團菊祭、夜の部。
土曜日は、歌舞伎座五月團菊祭、夜の部に。

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開演前には係員が「携帯は主電源からお切り下さい」と案内して回るが、直前までスマホをいじってそのままバッグに入れる女性を何人見たことか。むしろ切ってない者のほうが多いのではないかと思うくらい。しかし、この日歌舞伎座で隣にいた杖ついた婆様は、開演前の係員の呼びかけに思い出したか、巾着袋からガラケーを取り出してちゃんと電源を切って居た。偉い! 電子音が鳴るのは電話かかって来た時だけじゃないからなあ。

渋い和風の祝幕。

最初の演目は「壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん )」

初代坂東楽善、九代目坂東彦三郎、三代目坂東亀の 蔵襲名披露狂言であり、新彦三郎の長男、六代目坂東亀三郎の初舞台。江戸庶民が愛好した曽我物のうち、新年慶賀の演目として有名。大した筋書きは無く、派手で目出度い場面を寿ぐ狂言。

菊五郎の工藤祐経は初役なのだそうだが、懐が深く、兄弟の真剣さを見て取り、狩場の通行手形を渡し、お役目が終わったなら討たれてやろうと再会を約する大人物を堂々たる風格で演じる。

小林朝比奈を楽善、曽我五郎を彦三郎、近江小藤太を亀蔵と親子二代で演じる。この一家は皆声が良い。楽善も年齢に似合わぬ太いしっかりした声。彦三郎はもともとキッパリした口跡にもってきて、声が大音声で歌舞伎座隅々にまで響き渡るかのよう。ちょっとセーブしないとあの声では楽まで持たないのでは。

萬次郎は婆様という印象しかなかったが、大磯の虎で中心に来ると、これはこれで成立している。女形の凄み。梅枝も美しい。曽我対面はあれよあれよと大団円に。大詰めで全員が絵のように決まる場面は無く、そのまま移動して襲名披露口上に。俳優があちこちに散っている月でもあるし、襲名名籍の格ということもあるのだろうが、居並ぶのは菊五郎劇団中心の控え目なもの。しかし真情溢れる挨拶でキッチリまとまった。六代目坂東亀三郎は4歳なのだそうだが立派に同座。観客席からは温かい拍手が沸く。

ここで30分の幕間。いつも通り花篭で「お祝い御膳」。

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次の演目は、「伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)」。御殿、床下、対決、刃傷。

今回は御殿での「飯炊き」無し。この後亀蔵襲名披露の舞踊もあるから時間短縮の意味もあるか。菊之助の政岡は9年ぶり2度目とか。貫目のある立ち女形の役であるから健闘なるも大変だろう。

乳人として仕える若君を護るために、自らの子供が殺され悲鳴を上げている時にも一切表情に表さずに耐えた気丈な政岡のドラマは原作が良く出来ているから実に印象的に成立しているのだが、玉三郎がやる時と比べると、何かサラサラとして八汐の歌六だけが目立ったなあという気が。

海老蔵の仁木弾正は、床下、すっぽんからの出などでは妖気漂い、凄みのある眼力もあって立派に成立しているのだが、対決で梅玉と一緒に出ると、急に軽量な気がする。梅玉が泰然自若として大きいのもある。まあストーリー上でもやり込められる役だから、そう見せているのかもしれないが。刃傷ではかなり迫力が復活するのだが。

以前の歌舞伎座、吉右衛門の仁木弾正を観た時に、「床下」花道の引っ込みは雲に乗っているが如く去るのだとイヤホンガイドで解説があり、観ていると本当にそう見えてオオと感心した。身体の微妙な上下動を、同じリズムでなくランダムに繰り返すような動き。書くと簡単だが実際に花道でやるのはとてつもなく難しい。ただ、本日の海老蔵はそんな風ではなく、ただゆっくりと花道を下がるようにしか見えなかった。まあ色々型があるのだろうか。

途中の休憩と次の演目との休憩がそれぞれ10分しかないので女性化粧室は混雑して大変だったのでは。ただ横の婆様は杖ついてヨロヨロと席を立つのだが、開演前にはキッチリと余裕を持って席に戻っている。手練である(笑)

最後の演目は、「四変化 弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり )」

新亀蔵が松緑と共に早変わりで設定を変えて踊る舞踊。恥ずかしながら亀蔵を認識したのは「らくだ」からだが、身体能力が高く舞踊がきっちりしているのには感心。通人の軽やかな風情もよろしい。そしてこの舞踊劇を牽引するのは、松緑が実に楽しそうに踊っていること。最後の「石橋」毛振りでは、松緑は鬼神が乗り移ったかの如き奮闘。亀蔵も、観客が拍手に疲れるほど毛を振り続ける。45分の舞踊の最後に毛振りなんだから歌舞伎役者の体力には驚かされる。

一階席前方では、亀蔵のファンなのか、時折、「よいしょ~!」と女性の声。横綱土俵入りかと思った(笑)あんな掛け声もあるんだ。この女性は屋号以外にも、「待ってました」「大当たり」と好き放題に声を出していたが、ま、しかし色々規格外のような(笑)

夜の部打ち出しは9時を若干過ぎる。襲名披露も初舞台も團菊揃い踏みの大作もあるから盛り沢山でお得な気がする興行。

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