97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座、「芸術祭十月大歌舞伎」、昼の部を観た
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先週の日曜は、芸術祭十月大歌舞伎、昼の部。「極付印度伝 マハーバーラタ戦記」を通しで。日印友好交流年記念と銘打った新作歌舞伎、芸術祭参加公演。開演前に二階をブラブラしているとサリーを着た本場の人も。インド大使館も後援となっており、館内のチラシ置き場には、歌舞伎座付近のインド料理屋地図が。

そういえば、歌舞伎座横、「ナイル・レストラン」は歌舞伎役者ご用達の店であるが、オーナーのナイルさんも、日印友好の為、インドの神々で出演すればよかったのにな(笑)

世界三大叙事詩であるインドの大作「マハーバーラタ」に題材を取って見事に歌舞伎化して、長い上映だがまったく飽きない。先月見た野田版「桜の森の満開の下」に歌舞伎感が大変薄かったのに比し、これは新作ながらよく出来た歌舞伎だという印象。構想にも長い時間をかけたらしいが、演出の宮城聰や脚本の青木豪に、歌舞伎へのリスペクトと歌舞伎の演出を活かす知恵がキチンとあったのだろう。そして荒唐無稽な物語でも歌舞伎に仕立ててしまう菊五郎劇団の力。

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仮花道が設置された両花道の壮大な舞台。一番最初の開幕、定式幕の引き方が尋常でなくゆっくりなのは悠久たる時間を流れるガンジスの流れの如し。幕が開くと、全て金ぴか、絢爛豪華たる衣装でインドの神々が鎮座しており、なかなかの圧巻。両花道を使った「渡り台詞」「言い立て」の演出も、物語に大きさを与えている。

太陽神、左團次は最初は花道から出て、その後もすっぽんから何度か出現するのだが、顔がなかなか独特で面白い。

神々や戦士の格好はやはりどこかインド風なのだが、赤姫や江戸町人風も大勢出てきて、インドと歌舞伎が違和感無く融合しながら舞台は進む。随所で歌舞伎独特の人物造形と、インド叙事詩の登場人物が違和感無く交錯する部分は、やはり歌舞伎という表現の包容力を感じさせる。

もっとも、芸能全般、演劇や舞踊、歌唱や楽器演奏と云った人を魅了するテクニックは、シルクロードの昔から「芸能者」「かぶき者」によって国境を越えて伝えられて居ただろうから、インドの舞踊や芸能と歌舞伎に不思議な親和性があっても納得できるところ。仏教だってはるばる日本にまで来ている。

下座音楽も歌舞伎らしく劇にマッチしているが、上手床のインド風パーカッション軍団も実に印象的にリズムを刻み、物語に異国情緒を与えている。

シリアスなテーマや所作事、舞踊も内包され、壮大な歌舞伎劇狂言として、そしてドラマとしてきちんと成立しているのも見所。七之助演じる鶴妖朶(づるようだ)王女は、原作では王子らしいが、七之助に当てて女性に変更。「阿弖流為」や「桜の森の満開の下」同様、ミステリアスで突き抜けた強く妖艶な女性を演じた時の七之助は素晴らしい。そして主人公である菊之助の迦楼奈(かるな)も凛々しく高貴で、真っ直ぐで約束を違えない気品ある善人を見事に造型。無垢な善人であるが故に陥った闇も鮮やかに演じてみせる。

彦三郎の百合守良王子(ゆりしゅらおうじ)、坂東亀蔵の風韋摩王子(びーまおうじ)は、口跡鮮やかで印象的。御大菊五郎が那羅延天(ならえんてん)/仙人久理修那(くりしゅな)で長丁場を随所でしっかりと絞める。

武道大会の演出、象やチャリオット戦車等の歌舞伎版ギミックもよく出来ていた。

昼の花篭御膳には、カレーとナン添え。やはりカレーが無くては。この一手間が偉い! 本当はナイル・レストランが出張して、ムルギランチを営業すれば日印友好にはもっと良かったのになあ(笑)

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大詰めで幕が降りた後、一度だけカーテンコールがあった。これもまた、普通の歌舞伎をちょっと逸脱するが違和感無し。素晴らしい歌舞伎公演であった。


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この記事へのコメント
ナイルさん。
助六に河東節で歌舞伎座ご出演されてますよぇ。日本のお生まれだそうですが、ほんと今回もスペシャルゲストでお出になればよかったのに。
ふと思い出して久しぶりにブログ拝見しました。相撲に歌舞伎にお寿司!いいですね。
2017/10/15(日) 03:38:32 | URL | ふぅ。 #bGf9qjkw[ 編集]
ふぅ。様

お久しぶりです。そうですそうです。ナイルさんは、河東節連中で「助六」出演されてましたね。私が観劇した日はお休みでしたが、筋書に名前がありました。

今回は、幕開きにインドの神様として座っていたら、観客席も随分と沸いたと思うのですが、残念でしたw

昨日は、新橋演舞場で「ワンピース」でしたが、猿之助大怪我による代演の尾上右近が獅子奮迅の頑張りで、素晴らしい舞台でした。

2017/10/15(日) 19:54:34 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
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