97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「新ばし 笹田」訪問。
月曜の夜は久々に「新ばし 笹田」。

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台風は気にせずに先週予約したのだが、この日は入店してみると私が最初の客。笹田氏によると、もうちょっとしたらあと1組。そして、8時過ぎに「しみづ」の親方夫妻から予約が入っているだけとのこと。店は笹田ご夫妻に弟子3名で回しているので、少なくとも8時までは客のほうが少ない。いつも部屋まで満員の大盛況なのに、実に珍しい出来事である。台風の影響か。

しかし店が暇だと笹田氏にあれこれ料理や素材の事など聞いたりの雑談ができてこれはこれで楽しい。仕入れの方は信頼関係のある仲卸に先週からずっと頼んでいたので大丈夫とのこと。

最近「しみづ」さん行ってますかと問われたが、当日ではあまり予約が入らないからなあ。「新橋鶴八分店」の話もすると、「笹田」のお客さんでも結構「分店」に行ってる人が多いようだ。

松茸の季節を吹っ飛ばしてしまったなと残念がると、韓国産ですが後でちょっと出ますよと。

日本産松茸は今年はダメで、長野産はほとんど市場に出回らず、しかも高い物が多く、キロ10万円以上した時もあったとか。反面、鱧は今シーズン脂が乗って良いものが多かった。ただ年々、魚の旬や質のバラツキが大きくなってきているようだ。

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カラスミの仕込み状況など見せてもらう。冷蔵庫でも水分は抜けるのだが、やはり外で感想させるほうが早いのだとか。去年の物はあまり質が良くなかったが、今年は良い。ただ出始めを外すと、どんどんと質が悪くなる為、早く仕入れるのが肝心。カラスミだけは支払は年明けにしてもらっているのだとか興味深い話も。

お酒はまず、醸し人九平次大吟醸。しっかりした米の旨みに爽やかな酸味あり。

まず、アジなめろう。アジは肉厚で脂が乗っており、しっかりした味噌の味付けに酒が進む。小さな器で供されるすっぽん出汁の茶碗蒸し。上質のすっぽん出汁の澄み切ってキラキラ光るような旨さに感嘆。

押し寿司は、焼き鱧と鯖と一切れずつ。鱧の香ばしさ、脂の乗った鯖のネットリした旨みが関西風のやや甘く柔らかい酢飯に溶け崩れる。握り寿司とはまた違った旨さ。

万願寺唐辛子とじゃこの煮物。定番の壬生菜と油揚げの煮物は、ほっこりと優しい出汁の味に炊き上がっている。

お酒は、伯楽星純米吟醸に切り替え。くどくないすっきりした旨み。

お造りは、ブリ、ヒラメ、ツブ貝。ツブ貝は癖のない甘み。塩と酢橘で。青森のヒラメは塩で食しても身の充実した旨みが良く分かる。ブリは北海道余市。天然独特の爽やかな旨み。

椀物は、松茸、しめじ、鱧の土瓶蒸し。岩手の天然しめじからは秋の野趣にあふれた出汁が出る。鱧の上品な脂も旨い。

焼き物はかますの幽庵焼。ふっくらして脂も乗った分厚い身肉にはしっかり火が入り、皮目との間にまた旨みが凝縮している。むかご 栗などあしらいにも秋の雰囲気。むかごは蒸して皮を剥いてから、もう一度味を含ませるために炊くのだとか。何の仕込みを聞いても、きちんと手がかかっている。

煮物は、炊いた小蕪に、銀杏 エビ 松茸の吹き寄せ葛餡をかけて。これまた秋の香り。ここで食事の準備となる。

一番最初に、ご飯の時に秋刀魚出しましょうかと聞かれたので所望。私自身はこの店で秋刀魚を食するのは初めてだが、何年か前からこの時期だけ、試しに出したら評判が良いので、質の良い秋刀魚が入った時だけご飯と一緒に供するのだとか。

お新香に赤出汁、ちりめん山椒にイクラ醤油漬けが出て、これだけでも炊飯土釜で炊いた炊き立てつやつやのご飯のおかずには十分過ぎるのだが、ここに秋刀魚登場。

今年は不良で目黒の秋刀魚祭りでも気仙沼に秋刀魚が揚がらず、去年の冷凍を使ったらしいが、この秋刀魚は勿論生で、上質で結構高い物なのだとか。強火の遠火で22~23分以上火を通し、腹骨を焼き切りワタはホクホクに。笹田氏は「僕がよく焼いた秋刀魚が好きなので」と焼き方を解説。確かに腹の骨はまったく当たらない。炊きたてのご飯と食すると、まさに至福。秋刀魚は西新橋に限るな(笑)今まで食べた秋刀魚定食の中で一番旨かったといっても過言ではない。

2500円くらい取ってランチで秋刀魚定食出したらと勧めたが、夜の仕込みで手一杯で、本来はまかない用の一品なんだそうである。こんなまかないなら毎日でも良いなあ。

最後は定番、番茶から煎茶に切り替えて、冷製の白玉ぜんざい。

海老蔵も松山ケンイチも元気に頑張っている。春に入った新人も真面目に、全員が競うように仕事しているのが素晴らしい。笹田氏の指導が行き届いているのだろう。海老蔵に聞くと、彼の兄貴はまだ銀座「鮨竹」で弟子をしているとのこと。

気をてらう目立つ素材や料理は無いが、笹田氏の人柄がしのばれる、素材を選び抜いた真面目な仕事。どれも素晴らしい。のんびりと一夕の素晴らしい食事を楽しんだ。ご夫妻の見送りを受けて満ち足りた気分で家路へと。


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