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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「二月大歌舞伎」昼の部。高麗屋三代同時襲名披露公演
土曜日は歌舞伎座で、「二月大歌舞伎」昼の部。

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歌舞伎座百三十年記念公演であると共に、先月に続いて高麗屋三代同時襲名披露公演でもある。

松本幸四郎改め 二代目 松本白 鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
松本金太郎改め 八代目 市川染五郎

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襲名祝い幕も先月とは変わり、草間彌生作、生の息吹を感じる大胆奇抜で力のあるデザイン。襲名披露役者の名前が入らない祝幕も珍しいが、確かにこのデザインは自己完結しており、作者の名前以外を入れる余地は無いかな。

仮花道が設定されている。昼の部では、最初の舞踊で一瞬使っただけ。夜の演目に使うのかな。熊谷陣屋や七段目で両花道使わないか。だとすると、襲名披露の挨拶演目? 今月も綺羅星の如き大物俳優総出演である。

この日、昼の部は団体客が多く、あまり歌舞伎座に慣れていない様子の人々が連れ立っている場面多数。三階花篭食堂は貸し切り状態のようで予約できなかった。

夜の部は、奇数の日が仁左衛門、玉三郎の組、偶数の日が、海老蔵と菊之助の組と交互に役を演じる。奇数日のほうが先に完売で人気あり。2月の歌舞伎座は、寸前まで予約を忘れており、チケット松竹にアクセスした際、奇数日と偶数日の意味が分からず、リンクも訳が分からなかったので、奇数日を昼の部、偶数日に夜の部という、なんだか妙な観劇予定になってしまった(笑) 奇数日の週末夜はなかなか戻らない。

最初の演目は、「春駒祝高麗(はるこまいわいのこうらい)」。新春の祝に江戸時代からよく演じられた曽我物。襲名を祝う祝祭の賑やかな舞踊。いつか討たれてやろうと、敵役が敵討ちの若者に将来自分が討たれる場所の通行手形を渡し、再会を約しての大団円。如何にも歌舞伎のお約束で様式的なストーリーだが、それが型にはまって良いのだよなあ。

梅玉の工藤祐経、又五郎の小林朝比奈が舞踊の力点となり、芝翫、梅枝、米吉、錦之助と華やかにかつ目出度く踊る。

二番目の演目は、新幸四郎が一條大蔵長成を演じる襲名披露演目、「一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)」。檜垣、奥殿の場。

イヤホンガイドを聞き、再度筋書きをチェックして気づいたが、この演目は高麗屋は殆ど演じていない。初代の吉右衛門が当たり役として、新白鴎の弟にして新幸四郎の叔父、二代目吉右衛門に継承された演目。

一條大蔵卿を演じる俳優になりたいというのは、新幸四郎の叔父さんへの尊敬と配慮であろうか。染五郎時代に最初に演じた際、当代吉右衛門は、最後の作り阿呆の場面で、「一條大蔵卿は、この先二度と本心を現す事なく生きてゆくのだ」と教えたという。確かに以前見た吉右衛門の大蔵卿には、討った首を弄ぶ中に、哀しき狂気の萌芽さえ見えている気がした。

新幸四郎も、作り阿呆の部分と本心を現す部分のコントラストはきちんと演じて端正に成立している。時蔵は流石に大物で、凛として堂々たる常盤御前。

秀太郎が成瀬、孝太郎がお京、松緑が鬼次郎、歌六が八剣勘解由と、芸達者が揃う襲名披露演目らしい堂々たる布陣。ただ、座った場所が悪かったのか、奥の御簾から長刀がゾワワと出て来る所は見落としたな。

30分の幕間は食事予約できなかったので、館内をブラブラと。

三番目の演目は、「歌舞伎十八番の内 暫(しばらく)」

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成田屋、家の芸。DVDで見た事はあるのだが、舞台で観るのは初めて。ストーリーは殆ど無く、ただただ派手で賑やかで痛快な荒事。祝祭劇としても実に目出度いのだが、近年の上演は殆ど成田屋によるもの。歌舞伎座での前の上演は平成21年の海老蔵。それは観ていない。

海老蔵演じる鎌倉権五郎。花道での雄弁な台詞術を用いた「つらね」には、高麗屋三代襲名を寿ぐ台詞を巧みに埋め込んで客席を沸かせる。派手でサイケデリックで、江戸の小屋で大衆が熱狂した呪術性のある「荒事」が眼前に繰り広げられるのは、やはり圧巻というしかない。型がどうのとか鹿爪らしい仔細を気にするのが野暮の骨頂に思える。

鴈治郎、孝太郎、右團次、彦三郎、坂東亀蔵、尾上右近、九團次、男女蔵、左團次など、これまた襲名披露に相応しい豪華な布陣で。成田屋でなければ出来ない演目。海老蔵は途轍もない財産を承継している。

最後の演目は、「井伊大老(いいたいろう)」

新国劇から歌舞伎に移されてから、幸四郎と吉右衛門しか主演していない、まさに高麗屋と播磨屋の兄弟芸。吉右衛門演じる井伊大老は、流石に自家薬籠中の持ち役で、大老にまで登り詰めたが、貧しい彦根で暮らしを思い出し、お前だけが妻だとお静の方を労る情愛を情け深く演じる。死を覚悟して、時ならぬ雪を見ながら静かに酌み交わす故郷の酒が印象的な切り。二人きりの場面の時に上のほうから小さな声で「音羽屋」と大向うが聞こえた気がしたのだが空耳かな。時折、デタラメに「音羽屋」って言ってる人いない?(笑)

お静の方、雀右衛門も可憐で良い。井伊大老の書に死の運命を読み取り、風のように去ってゆく雲水、仙英禅師も、正に歌六の当たり役。梅玉の長野主膳も、腐ったものは深く抉り取らねばならぬと、安政の大獄を断行する鋼のような決意を語って要所を締めていた。自分の信じる正義のためには鬼にならんと言う台詞は、来世は決して大老にはならぬと言う、大詰めでの伊井大老の涙ながらの述懐と対称的に響きあう。本が良くできている。

打出しで外に出るとまだ明るい。銀座松屋上の鰻屋で一杯。うな丼も頼むと、「鰻は中国産ですが、よろしいですか?」と。4000円のうな丼で中国産。いよいよそんな事態になってきた。鰻絶滅を防ぐために食うなと言うのはたやすいが、本当は、スーパーの安売りや牛丼屋の鰻を規制して、良い物を昔からの仕事で供給する老舗の鰻屋を助けてほしいもの感あり。鰻は気軽に牛丼屋で食う物ではなく、4~5000円払って鰻職人のいる専門店で偶に食べるもので良いと思うけれども。

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メニューにも「中国産のため何時もと形が違う場合があります。ご了解ください」と書いてある。確かに身が分厚くて太い。これはかなり蒸して脂を落としているのではと思う仕事。それでも、そんなに悪くない。やはり蒸しや焼きの仕事で大分持ち上げているのだろうと、鰻職人の苦労が忍ばれる。夏場の土用の丑にかけて、果たして今年は大丈夫か。

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2018/02/06(火) 11:37:46 | | #[ 編集]
ご無沙汰しております。
2月の予約は開始直前まで忘れており、奇数日の夜を取り忘れました。事前の検討が大事ですねw

鰻は土用の丑に食すのを禁止すれば資源が回復するかもしれませんね。
2018/02/07(水) 10:31:45 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
「気分で殴る昔の近所の親父」
Y. Horiucc様、
時々ブログを拝見しております。以前、Y. Horiuccさまが書かれた記事にこのような内容のものがありました「昔の近所の親父は気分で若い子にゲンコツをくれていた。自分も(Y. Horiucc様も)もらったことがある」

その記事(本の紹介だったかもしれません)をもう一度読みたくて、ブログ検索、昔のHPの検索をかけてみましたが、検索結果に出て来ませんでした。もし、可能でしたら、その記事をお知らせいただくことをお願いできませんでしょうか。大変ご多忙と思いますので大変恐縮で申し訳なく思います。

私が検索した単語は
「オヤジ」「親父」「近所」「気分」「ゲンコツ」「げんこつ」「小突く」「殴る」「殴」です。

検索した範囲は
site:http://soitgoes.blog110.fc2.com/
site:www.wafu.ne.jp/~windtown/books
site:http://www.wafu.ne.jp/~windtown/life

です。
2018/02/07(水) 15:08:45 | URL | toto #ZwPAVBvI[ 編集]
う〜ん。そのような記事を書いた記憶が、実は無いんですねえ。近所のオヤジに殴られた事も無いし。何故なんでしょうか。読んだ本でもそんな事を書いてあったのがあったかなあ。申し訳ないですがちょっと思い出せません。お力になれず残念です。
2018/02/09(金) 13:53:21 | URL | Y. Horiucci #-[ 編集]
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