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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「シェイプ・オブ・ウォーター」を観た。
土曜日は日比谷に出て「シェイプ・オブ・ウォーター」を観た。



原題は「The Shape of Water」。ギレルモ・デル・トロ監督独特の趣味が反映したダーク・ファンタジー。アカデミー作品・監督賞など複数受賞したのに、日本の興行はあまり当たっていないようで、大きなシネコンでは既に上映終了。土曜に見たのはTOHOシネマズシャンテ日比谷という小さな箱。

しかし、シャンテ日比谷はほぼ満席。ここが満席になるのなら、シネコンのもうちょっと大きめの箱で公開続けてもよかった気がするけれども。

満席で映画見た経験なんて久しく無い。前の客の頭で字幕が一部見えないと云うのも何十年ぶりという気が。昭和の昔の映画館ではそんな事もあったけど、いまや設備の整ったシネコンでは、前席が気になるなんてあり得ない。やはり映画見るならシネコンでやっている内だなあ。

映画の舞台は米ソの冷戦時代。人類とアマゾンの川で見つかった異種生物との遭遇、そして異種間に生まれた愛を描く。現地のインディオに神と崇められていたこの異形の生物は、昔の映画に出た、大アマゾンの半魚人がモチーフらしい。

軍事研究施設の掃除婦として働くイライザが、軍に捕獲され研究対象となった異形の半魚人と偶然遭遇し、彼に知性があることに気付き、意志を疎通させてゆく。サリー・ホーキンスは、言葉が喋れないという障害を持つこの主人公を、実に印象的な熱演で演じる。

出てくる人物は社会から疎外され心に傷を持つものばかり。差別され、生活も貧しいが、他者には思いやりがあって優しい。だから彼らは、捕獲されてアマゾンから運ばれ、生体解剖されようとしているこの異形の生物を助けるために奔走することになる。

言葉を喋れない人間の女性と、同じく言葉は発しない異形の生物との心が触れ合って行く過程は、若干性急だがよく描けている。

異種間の愛については、性愛まで踏み込まず、もう少しプラトニックに語っても物語は成立したものと思うけれども、逆に荒唐無稽さが増すかもしれない。監督の趣味もあるだろう。この辺りはまあ難しいところか。

冷戦時代のレトロな機械装置や暗い映像はスタイリッシュで美しい。半魚人の造型も見事。このままでも十分面白いが、若干筋書きが勧善懲悪に偏って単調なのは、軍事施設の警備責任者、ストリックランドがあまりにも単純な悪役だからというのもあるか。

実際には、彼も自己承認欲求に悩み、たった一度のヘマを咎める将軍に「私はいつまで自分を証明し続けなければならないのですか?」と問う。この辺りの人物描写をもっと深めて、彼の回心まで描いたならば(その場合は死ぬのは当然ながら将軍になるのだが)もっと物語に奥行きが増したかも。研究対象にのめりこみ、結局のところ、母国もアメリカも裏切ることになる、ロシア人の科学者ホフステトラーは鮮やかに印象的だった。

“If we do nothing, neither are we.” 喋れないイライザが、懸命に手話で伝えようとするメッセージも印象的。彼を見殺しにするなら、私達は居なかったのも同じだ。

映画を観終わって、さて銀座で飯でも食って帰るかなと思案していると、iPhoneにカレンダーから「與兵衛 19:00」のメッセージが。そうだ、與兵衛をちょっと前に予約してあったのだった。危うく忘れるところであった。


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