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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座、「吉例顔見世大歌舞伎」昼の部
中国出張から帰国したのが先週の土曜日夜。次の日曜は、歌舞伎座、「吉例顔見世大歌舞伎」昼の部。顔見世興行の時だけ建てられる櫓が歌舞伎座の玄関に。さすがに出張疲れがありどうも調子悪し。

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最初の演目は「お江戸みやげ」。川口松太郎作、昭和36年初演の新作歌舞伎。湯島天神に隣接した芝居小屋と芝居茶屋が舞台。行商を終えて郷里に帰ろうとやってきた女商人二人が、江戸のみやげに芝居見物をする。

酒好きで陽気なおゆうを又五郎が演じる。又五郎の女形は、あまり見た記憶がないが、芸達者だけに、時蔵演じるお辻との滑稽で軽妙なやりとりは板についている。尾上右近のお紺もよい。

細かい性格だが酒を飲むと気が大きくなる酒乱のお辻が、芝居の女形、市川紋吉に一目惚れし、寡婦の淡い恋心も相まって、酒の勢いで行商で得た全ての金をはたいて紋吉の恋を成就させてやる。滑稽さの中にもほろ苦い、役者への叶わぬ恋がからむ。軽い演目だが、時蔵と又五郎の存在感で成立している。

30分の幕間は花篭で芝居御膳。

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次の演目は、「新歌舞伎十八番の内 素襖落(すおうおとし)」

茂山千五郎家の「お豆腐狂言」がYouTubeに上がっており、見た事がある。歌舞伎では松羽目物にして、那須与一の物語を「入れ事」として全体を舞踊劇に。




滑稽な表情で太郎冠者を演じる松緑はさすがに踊りが達者で軽妙に舞う。しかし歌舞伎版は長い舞踊劇だけに、途中でダレる感あり。中国出張疲れもあり、ところどころ意識不明に(笑) 演目自体の滑稽さ、面白さとしては狂言のほうに軍配が上がるだろうか。

最後の演目は、「花街模様薊色縫 十六夜清心(いざよいせいしん)」

鎌倉が舞台とはなっているが、濃厚なまでの江戸の雰囲気。朧月夜に白魚漁は隅田川の風情。七五調の名セリフ。懐に手を入れてふと気づいた金のために女犯坊主が相手を殺し、殺人者の闇へと堕ちてゆく。「しかし待てよ」からの転換も実に鮮やか。「三人吉三」も思い出す河竹黙阿弥の世界。

菊五郎の清心に時蔵の十六夜。大ベテラン同士の揃い踏みで実に安定している。身投げした十六夜を助ける俳諧師白蓮は、世を忍ぶ仮の姿に隠れた悪党の重さを吉右衛門が大きく演じる。大幹部の共演だけあって安定した、江戸の香りが濃厚かつ鮮やかな仕上がり。

清元の浄瑠璃方の名跡を襲名した尾上右近が、親父の横で、清元栄寿太夫として初お目見得。清元だけの本職と比しても見劣りしない。昼の部は「お江戸みやげ」の女形に清元。歌舞伎でもMLBの大谷同様に二刀流が出現。




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