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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「新ばし 笹田」訪問。
水曜の夜は「新ばし 笹田」。 月曜午後に電話したら水曜が空いていた。

「いや~、寒いですねえ」と女将さんに語りながら入店。 この日は朝から寒かったので、最初は開運の燗酒で始めてもらう。

まだお客はカウンタ奥に一組だけ。ちょっとだけ笹田氏と雑談。豊洲の市場通いは環状2号が開通して便利になったが、魚市場と青果市場、築地に残る場外も寄るので、バイクで店に戻るのは昼前頃になるとのこと。結構大変ですな。

カラスミが完成したとの事で、真空パックしたのを何本か見せてもらい、年末用に1本を取り置きしておいてもらう事に。年内の営業は27日までとのこと。新年の魚河岸初商いは例年通り5日なのだが、その日は開けてもしかたないので、週末開けから新年営業とのこと。

いつものようにまず酒肴の何品かが供される。小さな器でスッポン茶碗蒸し。癖が無く澄んだスッポンの旨味が口中に広がる。スッポンの玄妙な出汁というのも比類が無い。

今月から解禁となった香箱蟹。綺麗に身を解体してあり、内子と外子、脚の肉が殻の中に詰めてある。まさに宝石箱の如し。先週は上海で上海蟹も食したけれど、やはり海の蟹のほうが旨い気がする。

自家製のカラスミは、一片は炙り一片は生で。自然薯のムカゴを添えて。カラスミの熟成香と旨味も冬の至福。

小さな器で軽く湯通ししたフグの身と皮がポン酢で供される。細かく切ったネギと白菜を添えて。小さな器の何口かに、ふぐ刺しとふぐちりの記憶が脳裏をよぎる一品。ふぐの旨味を立たせるポン酢も実に良い出来。

この辺りでお酒は九平次純米大吟醸に。ふくよかな甘みがサラリと口中に溶けてゆく。壬生菜と油揚げの煮物はいつもの定番。しかし、何度食しても飽きない、ほっとする味。

お造りは、竜飛の本マグロ、淡路の鯛、福岡の剣先イカ。マグロは上質。鯛も身がしっかりして脂が乗り旨味が強い。剣先イカはネットリとした旨味。この店が入れる魚の上質さにはいつも感心する。

白甘鯛のお椀。椎茸を添えて。香り良い品格ある出汁が張られた椀の中に、艶やかに横たわる白甘鯛のふっくらした身肉を食するうちに、その濃厚な脂が出汁に溶け崩れ、お椀の出汁が複雑な旨味を増してゆく。これまた至福の一椀。

焼き物は、最近出始めたのでという、琵琶湖産のモロコの山椒焼き。青菜の白和えも添えて。モロコは独特の野趣あふれる香り。身肉には癖が無く、よく脂が乗っている。小さな魚だが、いったん背開きにして骨を取り去ってから焼き上げる丹念な仕事。

普段ならここで最後に煮物が出るのだが、番茶が出て食事の支度になったので不思議に思っていると、笹田氏が、「今、鯖がとても脂が乗っているので味噌煮にしてみました。ご飯のおかずに最適なので、食事と一緒にどうぞ」と。たまにはこんな趣向も楽しい。豊後水道の鯖だとか。

炊き立て艶々のご飯に赤出汁。ちりめん山椒、お新香、ワサビ漬け、イクラしょうゆ漬けを脇付けに。そしておかずメインは、鯖味噌煮大根添えと、お盆の上は至福の満艦飾。こんな定食を毎日食えたら最高だがなあ(笑)

勿論、鯖味噌煮といっても、定食屋で食する物とはまったく違う。人生で今まで食した中でも一番旨いと称してもおかしくない鯖味噌煮であった。下ごしらえもきちんとしてあって、小骨も鰭もまったく触らない。大根も素晴らしい旨味。そういえば、前にここで食した秋刀魚も、腹の小骨を強火の遠火でしっかり焼き切って、普通に居酒屋で食する秋刀魚とは異次元の出来であった。

何倍でもご飯が食べられる気がするが、我慢して、おかわりは軽目の一膳にして、お焦げを添えてもらう。人間、節制が肝心でござる(笑)

最後は、冷製の白玉ぜんざいに煎茶。甘いものは苦手だが、ここのは小豆の旨味がある。

年末取りに来るからすみの分も勘定済ませて、笹田夫妻の見送りを受けて帰路に。奇をてらったり、希少な素材の高価さで押し出してくるようなケレンのある料理は無いが、どんな小さな一品にも手を抜かない笹田氏の真面目な仕事が、質の良い素材の旨味をしっかりと引き出している。

何時もながら、旨いものを食べたという実感がしみじみこみあげてくる素晴らしい夜。


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