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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
歌舞伎座、「吉例顔見世大歌舞伎」夜の部
先週土曜日は、歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」夜の部。松之助や脇役陣に、所々台詞が入っていないアーウーがあるのがいかにも開幕二日目だなあという感じ。

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最初の演目は、「鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)」いわゆる「菊畑」

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一般家庭の出身で梅玉の部屋子であった中村梅丸が、梅玉の養子となり、初代中村莟玉となった事を披露する狂言。「奴寅蔵実は源牛若丸」という、普通は御曹司でないとできない役に梅丸が抜擢。その従者である「奴智恵内実は吉岡鬼三太」を養父となる梅玉が。皆鶴姫を魁春、吉岡鬼一法眼を芝翫、笠原湛海を鴈治郎が付き合い、劇中で襲名披露の口上が述べられる。

歌右衛門家は元々血縁が薄く、梅玉も魁春もどちらも六世歌右衛門の養子。彼らにも後継ぎの実子は無し。役者の地位が向上するまでは、実子に継がせるのが当然ではなく、顔の良い子を連れてきて跡取りにする事も普通にあったと聞くが。

梅丸は、爽やかで甘いマスクの二枚目。女形が多いが、今回演じる「実は美少年牛若丸」は大変ニンにあった役とも言える。

「ほうおう」の巻頭インタビューでは、養父となる師匠梅玉の指導について述べている。師匠は「こうしろ」という部分と「やりやすい方でよい」という部分が自在にあるのだとか。自らの芝居も、風情で構えているだけではなく、肚の中は大変に細かく「お客に分からない程度に相手のセリフを受けて演じるのだ」と教える事もあるとか。そうか、梅玉は、いつも殿様を機嫌よくやってるだけではなく、計算もきちんとあるのは流石に歌右衛門の指導を受けただけある。梅丸にも、寅造と牛若丸は分けて演じなければいけないが、牛若丸になった途端急に大人になっても駄目なのだと教えたとのこと。。

幕間のイヤホンガイドのインタビューも梅玉、梅丸の師弟コンビで、師匠がこの弟子を可愛がっている事がよく分かる微笑ましいもの。「浅草花形歌舞伎にも、部屋子なのにお坊ちゃん方に仲間に入れて頂いてありがたかった」と親心。芸でつながっているだけに、どの話題も冗談を入れながら和気あいあいとしている。逆に実の親子でも共通の話題が無いとギクシャクするものなのかもしれない。

一面の紅葉と菊の花。賑やかな襲名披露演目であった。ここで35分の幕間。花篭食堂で「芝居御膳」を。

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次の演目は、「連獅子(れんじし)」

幸四郎と染五郎、高麗屋親子の競演。これから何度となく演じられるだろうが、ファンは染五郎の成長を確認しながら、何度も見物するのだろうなあ。幸四郎は結構一杯一杯に激しい毛振りを見せていた。


切りの演目は、「市松小僧の女(いちまつこぞうのおんな)」。池波正太郎が、梅幸と先代又五郎にあて書きした新作歌舞伎が42年ぶりに歌舞伎座にかかる。

剣術の稽古に打ち込み男勝りのお千代に、父親は婿を取らせて身代を継がそうとするが、なさぬぬ仲の継母に気を使うお千代は家を出て乳母の家で暮らす。

剣術稽古に打ち込む袴で登場した時蔵は、こんなにデカかったのかと驚嘆する印象。しかし、鴈治郎演じる年下の市松小僧の又吉と恋に落ち、可愛い女となって行くにつれて、だんだんと身体が丸みを帯び小さくなってゆくかのよう。衣装もあろうが、これがやはり芸の力なんだねえ。鴈治郎は美少年というには無理があるが(笑)可愛げがあり、時蔵との息の合った仲良しぶりを見せて印象的に成立している。

掏り上がりで手癖の悪さを改める事ができない市松小僧を厳しく諫める南町奉行同心永井与五郎は、お千代の剣術修業の兄弟子でもある。お縄を打とうとするが、必ず更生させますと、掏摸ができぬように市松小僧の指を包丁で落とそうとするお千代の必死さにほだされ、これを見逃してやる。

新歌舞伎べらんめえ調のこの人情にあふれた粋な役は、芝翫が実に印象的に演じる。まさにはまり役だ。芝翫で感心したのは初めてかもしれない(笑)こんな役をもっとやればよいと思うが。 大番頭を齊入が演じるのだが、出てすぐの場面は、まだしぐさが婆さんに見えたが、だんだんと番頭に見えてきた(笑)

江戸の人情と粋を描いた池波正太郎らしい新歌舞伎。42年も歌舞伎としては埋もれていたなんで勿体ないなと感じるほどの見ご
たえがあった。

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