97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
西大島「與兵衛」訪問
遅ればせながら追加の寿司日記を。昨年12月最後の日曜に訪問。以前、ここを訪問するのは日曜日が多かったから、なんだか懐かしい。西大島の駅からブラブラと歩いて。前回からほぼ1年か。

海外から帰国するたびに寄る馴染みのお客さんも多いと親方が。日本国内でも、ずいぶん遠方から頻繁に来ている人もいる人気店である。

今回も、カウンタはほとんど常連客の模様。一見でも別に居心地は決して悪くない店だが、慣れた人ばかりだと、雰囲気が最初からほぐれて、親方の駄洒落と、奥さんとの掛け合い漫才のような会話が懐かしくも居心地よい。

いつもなら日本酒で始めるが、この日はまずビールを一杯。最初に供されるのは温かい牡蠣のスープ。魚のアラをずっと炊き込んで、継ぎ足した煮汁がベースになってるそうで、魚の旨みが実に複雑に溶け込んでいる。牡蠣も実に肉厚の立派なもの。

今般、隣の飲食店が廃業し、このスペースを借り増しして、店の拡張改装をするのだとか。もっとも、現在別に借りている仕込みスペースを統合するので、カウンタ部分は、さほど広くならず、若干ゆったりと取った8席になるそうである。

微妙に手元が見えないような、珍しい構造の今のカウンタは、改装後も踏襲する予定とか。「この、見えそうで見えないところがいい」とは親方の弁。そうかなあ(笑) 白木に赤ビロードの椅子で氷蔵庫にしたらどうかとか、まったく余計なお世話のカウンタ談義もひとしきり。

冷酒に切り替えて、「松の司」大吟醸。とろりとした米の旨みを感じる酒。お通しの一皿は、海老頭、ホタテ煮浸し、煮含めた青柳のヒモ、イカゲソ、アナゴ肝、タラ白子、マグロ炙りヅケが賑やかに並ぶ。 酒が進むなあ(笑)

従来だと、この後、更にツマミを追加するか握りに行くかの選択があったのだが、若干スタイルが変わっており、お通しが終わると全員揃っておまかせの握りということになってるようだ。ヒラメの胡麻醤油ヅケなど追加で貰って更に一杯やるのもよかったのだがなあ。

お茶にしてもよかったが、もう一杯だけ飲むかと、「十四代 本丸」に切り替え。松の司から切り替えてみると、こちらにはフルーティーな香りと若干の酸味を感じる。

握りはいつもの順で供される。酢飯は硬めに炊かれ、他店と比べると若干温度が低く感じるが、仕事を施した種にはこれがまた合う。握りの所作だけ見ると、握りの具合も一見ずいぶん固いように思えるが、種と同時に口中で酢飯が心地よく崩れて行く。

マグロ赤身ヅケ、ヒラメは甘酢ヅケ、胡麻醤油ヅケの両方を。スミイカのヅケ。シマアジは皮目を炙ったもの。この香ばしいさがよい。甘酢につけた海老もこの店独特。本日は珍しく青柳がある。甘酢につけた北寄貝も、素材の甘味を十分に引き出した、この店でしか味わえない仕事。

さて、ここからは、この店の握りのひとつのクライマックスでもある光り物に。常に何種類か用意された光り物は、旨味と脂と〆具合がグラデーションを描くように、段々と濃くなる順に供される。

サヨリは、真っ白に脂が乗る素晴らしい物。コハダの〆は若干軽いが、肉厚で旨みがある。〆たイワシは薄切りにして3枚つけて握る。最高の時は光り物の最後を飾るのだが、今回はサバにその座を譲って。親方は、切り口を見せてくれて、「このサバはいい」と。確かに十分に脂が乗った素晴らしいもの。

漬け込みのハマグリも、この店独特の濃厚かつ風味豊かなツメをつけて。ネットリかつふっくらと炊き上げたアナゴも、他の店ではお目にかからないもの。最後は小柱をすりこんで焼いた玉子で〆。

全部古典的江戸前の仕事かと言われると、いささか違うかもしれないが、「素材に仕事を施して美味くする」という心意気において、ここより江戸前を感じる店はそんなにない。1年ぶりに與兵衛の、他のどこにもない、オンリーワンの魅力を堪能。

お土産に煎餅と年賀の手ぬぐい頂いてホテルまで戻る。西大島という場所が少々不便ではあるのだが、やはりわざわざ行く価値のある店であると確認。
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