97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「ミケランジェロの暗号」
日本で購入して持ち帰った、「ミケランジェロの暗号~システィーナ礼拝堂に隠された禁断のメッセージ」読了。「謎」とか「暗号」とかが題名にあると、ついフラフラ購入してしまう(笑)

システィーナ礼拝堂は、ミケランジェロの絢爛な天井画、そして壁面の「最後の審判」で有名。しかし、ミケランジェロがこの礼拝堂に描いたフレスコ画には、よく見ると実に奇妙な点が多々存在する。

天井画に、旧約聖書のエピソードしか描かれておらず、救い主イエスがどこにも存在しないのはなぜか。楽園追放に登場する奇妙なモチーフ。登場する人物にも奇妙な偏りがあり、背景に描かれた人物達は、実に不思議な仕草を繰り返す。そしてあちこちに隠された異教的なシンボル。後年に製作した「最後の審判」にも、謎めいた奇妙な人物達があちこちに描かれている。これはなぜか。

著者達は、これらの奇妙な謎は、ユダヤの神秘思想カバラや新プラトン主義的な考えに影響され、反教会的な思想を持っていたミケランジェロが、後世に託すためにフレスコ画に隠したメッセージであることを、丹念に解読してゆく。

システィーナ礼拝堂のフレスコ画は、近年大規模な洗浄修復が行われ、ミケランジェロが描いた当時の色彩を取り戻しているのだが、当時の美術に秘められ、そしていつしか歴史の闇に沈み込んでいった隠されたメッセージを、丹念に洗浄して、再び明らかにするかのような興味深い力作。

一部解読には、果たしてそこまで深読みするべきだろうかと疑問に思う点も若干あるが、ミケランジェロの生きた時代と、そして当時のイタリア思想を俯瞰する点でも、実に興味深い示唆に満ちた本。著者の一人は、タルムードに詳しいユダヤ教のラビ。やはり、日本人にはこのあたりの話は書けないように思われる。

本文中にも図版が多数収録されているが、何重にも折られたカバーがまた面白い。本から外して広げると、システィーナ礼拝堂の天井画全てが、縮小カラー図版で掲載されている。座右に置いて、時折読み返すことにしよう。
関連記事
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック