97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「IN THE SHADOW OF THE MOON 」
米国Amazonで購入した「IN THE SHADOW OF THE MOON 」を鑑賞。日本では「ザ・ムーン」としてちょうど劇場公開中ではなかったか。

人類を初めて月面に送り込んだアポロ計画を、当時の貴重な記録映像と、アポロ計画に参加した宇宙飛行士達への現在のインタビューで振り返るドキュメンタリー。

記録映像には、昔、ずいぶん見たようなものもあるが、それでもやはり懐かしい。月面から見た、ハーフムーン(半月)ならぬハーフ・アースの写真は、今でもその衝撃と美しさを失っていない。宇宙から見た地球は、まさに漆黒の宇宙空間に浮かぶ宝石だ。

プロジェクトから40年以上経ち、当時の宇宙飛行士達も70歳を超えている。しかし、時の年輪は感じるものの、まだまだ元気者が多いのには感嘆。アポロ11号の、コリンズとオルドリンが登場するのだが、初めて月面に立った男、アームストロング船長が出てこないのはちょっと意外であった。まだご健在のようなのだが。

コントロールルームでタバコを吸う男がいる場面など、やはり昔の映像。人類初の月面到達を祝福する世界という場面では、日本からの映像も紹介される。着物着たヘンなオッサンが扇子を持って、回りに大勢水着の女性をはべらせ(←これが意味不明)、バンザーイとやっているという場面。もっと他にマシな映像なかったのかとガックリくるが、高度成長期の能天気な日本を象徴するような映像ではある。

アポロ11号の月面着陸寸前、コンピュータがオーバーフローしてエラーが出ていたことや、あと数十秒で燃料が足りなくなるところだった場面など、昔、アポロ計画を扱った本で読んだ出来事だが、実際の映像と更新音声記録を交えて再び見ると、実にスリリング。アームストロング船長は、地球での月着陸船の操船訓練中、着陸モジュールが墜落。射出座席で脱出した経験があるのだが、事故を知った仲間が駆けつけると、ケロっとして次の打ち合わせをしていたという。

初期の宇宙飛行士は、軍隊のテストパイロットを中心に、ベスト&ブライテストな人材が選抜された。アポロ計画の黎明期と宇宙飛行士の誕生を扱った名著、トム・ウルフの「ザ・ライト・スタッフ」では、何事があっても動じず、沈着冷静に状況判断を行い、瞬時にして勇気ある正しい判断を下せる稀有な資質が、宇宙飛行士に必須の資質(The Right Stuff)であると述べられる。そういえば先般の「ハドソン川の奇跡」パイロットも、明らかにこの「ザ・ライト・スタッフ」の持ち主であった。パイロットには、実に偉いのがいるもんである。

月着陸船にはバックアップのエンジンはなく、故障が発生すると月面に到着した2人の飛行士は帰還できない。万一事故が起こった場合、ニクソン大統領がそれを国民へ告げるTVメッセージが、事前に収録されていたというのは初めて知った衝撃的事実。

「月面に残された2名を救う道はありません。彼らもそれを知っています。彼らの人類への貢献をたたえ、心の平安を祈りたいと思います」というのであるが、それにしても、縁起でもないことまで周到に準備してたものである。使う機会なくてよかったなあ(笑)

冷戦下の軍拡競争が背景にあったとはいえ、アポロ計画というのは、アメリカに集まった全世界の知性と、アメリカの強大な国力に支えられた、実に偉大なプロジェクトであった。しかし、とうの昔に計画は終了し、おそらくもう当分は、人類が地球以外の天体に立つ機会は来ないだろう。

いや、アメリカの地盤沈下、地球温暖化、資源の枯渇問題なども考え合わせると、もう永遠にそんな機会は巡ってこないのかもしれない。地球は我々のものになったが、宇宙は我々のものにはならないのだ。SFが描いた、人類の恒星間旅行なんてものは、所詮はかない夢として終わってしまうと考えると、なんだか実に寂しい気もしてくるのだった。
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