97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「連邦刑務所(プリズン)から生還した男」
「連邦刑務所(プリズン)から生還した男」読了。なぜ発注したか思い出せないが、軽い本でスイスイ読める。

本書は、極東会というテキヤ組織の幹部である吉村光男が10年を送ったアメリカ連邦刑務所での体験を語りおろしたノンフィクション。アメリカマフィアの大物に会わせると近づいてきた男達の誘いでハワイに渡った彼は、麻薬取引を持ちかけられ、断ろうとしているところを、突然部屋に乱入してきたFBIに逮捕される。現れた連中はすべてFBIの囮(おとり)であり、ヤクザの大物を逮捕しようとする捜査に引っかかってしまったのであった。

何の犯罪も犯していないとタカをくくっていた中村であるが、勝手知らないアメリカでの裁判、金だけ取ってアテにならない弁護士達、メンツにかけて有罪にしようとするFBIの訴追により、ヘタをすると懲役48年から終身刑もありうる状況に追い詰められる。結局、有罪を認めた上で、日本のヤクザについての情報を提供するという司法取引に応じて減刑。それでも11年以上の不定期刑を食らう。

アメリカでは刑務所によって警備レベルが違い、判決ではFCIという連邦矯正所が指定されていたのだが、なぜか実際に送られたのは、カリフォルニアのロンポックUSP。ここは、連邦刑務所の中でも最重罪の犯罪者が収容される最高警備の刑務所。終身刑や100年、200年といった重犯罪者がゴロゴロしているアメリカ連邦刑務所での暮らしが始まったのであった。

まあ、本人の言い分だけを中心に書いてるので、塀の中に落ちるまでの犯罪の事実関係には若干疑念も残るところではあるが、この連邦刑務所暮らしの実態が実に興味深い。

刑務所の中でも起こる殺人が頻繁に起こる。これは系統の違うマフィア達の争いがあるから。塀の中でも、麻薬でも武器でも自由に手に入る環境がそれを助長する。吉村自身も、金を払ってボディガードを雇っていたのだとか。

まあ、10年の服役を無事に過ごせたのは、吉村自身が、日本でも少年刑務所を始め、あちこちで10年以上臭い飯を食った筋金入りのアウトローであったことや、ヤクザ家業で身につけた、機を見るに敏なシノギのテクニックが役立ったことには間違いがない。

それにしても、外部との面会は自由、電話もかけられる、映画も上映され、日本の新聞や本も差し入れで手に入る、密造酒もあり、内部にはスーパーも、仕事もたいしてしなくてOK、刑務所内の移動も自由など、アメリカの連邦刑務所は、規則でがんじがらめに服役囚を縛る日本の刑務所とは天と地ほども差があるのにはビックリである。

まあ、若干の誇張もあるかもしれないが、仲良くなったイタリアン・マフィアの大ボス達が、刑務所移送される前に送別会開いてくれたなど、刑務所暮らしの細かいディテールが実に面白い。

同じ話の繰り返しも多く、文章も下手なのは、聞き書きした著者が、あまり推敲せずに書き飛ばしたものと思われる。発行者は筑摩書房だが、編集もちょっと程度が低いかもしれない。ただ、書かれている刑務所内の実態は、なかなか外にもれてこない話だけに、実に興味深かった。

余談ながら、1993年に彼が逮捕されたのは、FBIが監視カメラをセットして盗聴していた、ヒルトン・ハワイアン・ヴィレッジの18階スイートだったのだそうだが、どこのタワーだったのかね。

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