97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
世襲議員のからくり
このブログでも何度か感想を書いた、「官邸崩壊」の著者が書いた新刊、「世襲議員のからくり 」読了。新書なので気軽にすぐ読める。

第一章の「二世の投げ出しはなぜ続く」は、「お腹が痛い」、「あなたとは違うんです」と次々に政権を放り出した、安倍と福田、そして後継の麻生(すべて世襲議員)を取り上げて、世襲議員とはどんな人間かを探る。日本の国会議員の世襲率はおよそ半分。欧米に比べると突出して高いのだとか。

世襲議員は、子供の頃からずっと恵まれた環境にあり苦労知らず、約束されたレールをずっと走ってきた者達ばかり。「気位が高いが、他者の痛みが分からず、胆力がなく、頼りない」という総括は、確かにその通りのように思われる。

外務大臣だった父親の秘書官を勤めていた頃、勉強することはいくらでもあったはずなのに、秘書官室で漫画読んでゲームばかりしていたという安倍晋三の話は、「官邸崩壊」でも書かれていたが、この本でも、また同様のエピソードが語られる。まあ、そんな程度の人間だったんだなあ。

政治家の世襲を語る時に、必ず使われるキーワードは、「地盤」、「看板」、「カバン」。この「3バン」を引き継げるから、2世議員は有利なのだという。

特に「カバン(金)」についての著者の指摘は、以前週刊誌でも読んだが、実に興味深い。

事業や財産を、自分の子孫に継がせる時には、相続税法に規定があり、相続税が課せられる。しかし、政治資金団体の政治資金については、法律に明確な定めがなく、相続税の対象外。子息の政治団体への寄付を行うことにより、先代の政治資金をそのまま無税で相続できるのだという。

政治資金規正法には、この寄付への禁止規定が無いのであくまで合法。事業や財産を子供に継がせるよりも、政治資金を承継するほうがずっとコストが安い。政治家の座を承継しやすい理由のひとつがここにある。

金持ちはどこでも相続の件で困ってるだろうから、政治団体の寄付を仮装すれば、合法的に無税の相続ができることが知れ渡ると、結構悪知恵を働かす輩が出てくるのではないか。もっとも、国税庁も、本当の政治家には手を出さないにしても、実態の無い、政治資金寄付を仮装した相続は、否認することになるだろうが。

「地盤」、「看板」については、有権者が、「XXさんの息子なら信頼できる」、「XXさんの息子が立候補するなら応援しよう」と考えるのは自由であり(正しいかどうかは別として)、候補というより、有権者側の見識が問われる問題という気もする、

しかし、著者が示唆するように、「利権の構図を温存するには、余所者を入れないほうがよい」、「どうせお飾りだから担ぎやすい2世のほうが座りがよい」などの構図によって世襲議員が誕生しているのなら、ここにもまた、政治を巡る構造的な問題が内在しているということになるだろう。

政治が、飯を食う「稼業」、そして代々その席を伝えてゆく「家業」になってよいはずは無いと思うのだが、なかなか解決しがたい問題。自民党も民主党も、「世襲制限」について議論しているが、自分達の権益、利便を制限するようなことを、決めるはずもない。

今の議論は「地盤」の相続について、何らかの制限を加えようという考えが中心となっているように思えるが、相続税との公平性の観点からは、「カバン」の無税相続に対して、政治資金規正法で何らかの制限をかけてゆくほうが重要ではないのか。

しかし、著者によれば、これこそが、子供への世襲を考える政治家が、一番触れられたくないタブーだという。だとすると、これを規制するのもほぼ不可能ということになるのだが。

関連記事
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック