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97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
山口瞳 「男性自身 傑作選 中年篇」と「礼儀作法入門」
先日、「酒と肴と旅の空」を読んだ時、そういえば、山口瞳のエッセイを読み返したいなあ、と思い、Amazonで検索。

週刊新潮に、作者が没するまで連載されていた人気エッセイ「男性自身」は、ある程度作品が溜まる都度出版され、私も結構持っていたのだが、残念ながら、最近ではもう重版されていないようだ。

しかし、検索して出てきたいくつかの文庫本から、重松清が、山口瞳40代のエッセイから50本を選んだ名作選、「山口瞳「男性自身」傑作選 中年篇 」と、「礼儀作法入門」を発注。

先週届いたので、就寝前に、あちこちパラパラと拾い読みをしている。「傑作選 中年編」に収録されているのは、山口瞳40代の作。どれも短いエッセイで、順番を気にせず、どこからでも読み始めることができる。

「江分利満氏の優雅な生活」同様、山口瞳のこの頃のエッセイには、誰もがより良き未来を信じた、高度成長の時代、そしてそれに続く昭和の安定期のサラリーマン像が、鮮やかに捕らえられている気がする。今になってみれば、夢幻のようにも感じる牧歌的時代。この頃にサラリーマンやってたら、面白かっただろうなあ。

巻末に、重松清が司会者となって、歴代の編集者による山口瞳の思い出を語る大座談会が収録されているのだが、これまた、人間、山口瞳の知られざるエピソードを全員が陽気に語り、実に興味深いもの。山口瞳は旅行記も多々書いているのだが、同行した編集者が、仮名でずいぶん作品に出てくる。その珍道中ぶりには、面白く読ませるための脚色がずいぶん入ってるのだという。エッセイ書いても、根はやはり小説家だったのだ。

もう一冊の、「礼儀作法」入門は、山口瞳のロングセラー。私は関西出身だが、東京で働くようになった時、関東の美意識のひとつのスタンダードとして、山口瞳の著作をあれこれ読み、そこから影響を受けたのだった。これもその中の一冊。まあ、祝儀袋を使いこなすようには、到底なれなかったが(笑)。内容は今でもほとんど覚えている。

そういえば、これまた昔、入社式の行われる4月1日に、山口瞳の若者へのメッセージがサントリーの広告として毎年掲載され、一種の風物詩となっていた時代があった。このエッセイを読んで、懐かしくそんなことがを思い起こしたり。「新入社員諸君! この世の中、大変なんだ」という奴である。

独特の偏見や、古臭さを感じる部分もあるのだが、やはりそれが山口瞳の個性。随所に出てくる、高橋義孝から受けた薫陶の話なども懐かしい。こんな一本筋の通った江戸前の頑固ジジイは、もういなくなってしまったのではないか。

あちこち気分にまかせて読み返すと、そうだったなあと、これもそうだったなあ、と、ただ懐かしい気分がわいてくるのだった。

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