97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
助けを呼びに行く
元F1ドライバー片山右京が冬の富士山登山で遭難。本人だけは自力で下山したが、同行した2名はそのまま現場に残されているとのこと。最初は、本人が助けを呼びに下山したような報道だったが、後の記者会見では、片山右京が2人の死亡を見守った後で下山したようなニュアンスに。まあ、他の2名は、いずせにせよ生存は絶望的。なんとも痛ましい話である。

一般的に、山岳遭難の極限状況下で「助けを呼びに行く」というのは、ある意味、「動けない者を見捨てる」という決断を婉曲に表現したにすぎない。

エベレスト観光登山隊の大量遭難事故をあつかったノンフィクション、「空へ~エベレストの悲劇はなぜ起きたか~」にも、動けなくなった難波康子を、ガイドのベイドルマンが見捨てて行く場面がある。

実にむごい話であるが、誰かが助けを呼ばねば全員が死を待つばかり。「俺は彼らを見捨てるのではない。助けを呼びに行くのだ」そう心に言い聞かせなければ、とても動けなくなった者を置いて歩き去ることは出来ない。荒れ狂う雪山を席巻する死は、それが出来ない者を、高らかに笑いながら、あっけなく連れ去ってゆくだろう。

しかし、この難波康子と一緒に、一晩、雪洞に取り残されたベック・ウェザーズは、なんと次の日に自力で歩いて生還している。この経緯は、「死者として残されて~エヴェレスト零下51度からの生還~」に詳しい。

翌日到着した救助隊は、雪洞で凍り付いて虫の息のウェザースを発見するが、もう助からないとして放置。アメリカにも死亡の連絡が行くのだが、なんと彼はその後、救助隊のキャンプまで自力で帰ってきたのであった。それにしても恐ろしい体力。

しかし、山の遭難事故というのは、いつでも悲惨と奇妙な驚きに満ちている。

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