97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「小沢一郎 嫌われる伝説」
昨今のメディアで叩かれる、日本のトレンディーな嫌われ者というと、朝青龍、そして小沢一郎というところだろうか。

「小沢一郎 嫌われる伝説」読了。

題名だけ見ると、まるで小沢批判の書のようだが、この本は、長年、小沢の取材を続け小沢の信頼も得ているベテラン・ジャーナリストが、身近から見た小沢の素顔を描き、世間の批判に対して、また別の視点からの小沢像を提示する仕立て。どちらかというと小沢擁護派の本である。

ただ、金の問題については、不動産取得資金が自分の個人資産であったという最近の弁明が明らかになる前の段階で書かれているため、小沢擁護の各論に対しては、若干割り引いて聞く必要があるだろうか。

小沢一郎の思想信条というのは、与党の幹事長であった時と、野党になった時と、その都度の立場によってずいぶんと変遷があり、本書を読んでも、なかなか一筋縄で把握することが難しい。ただ、原理原則を尊ぶ政治家という視点から小沢の行動を解説しようとする著者の指摘は、確かに頷ける部分も多々あり。

皇太子の「雅子妃人格否定発言」について批判し、「何かあるなら内閣に言うべきこと」と語る部分は、つい先日の中国要人訪問を巡る宮内庁とのモメ事を思い出させた。ただ、小沢一郎のこの認識は、憲法に定める「天皇の国事行為に関する内閣の助言と承認」をかなり拡大解釈しており、まるで皇室が内閣に隷属して、やることなすことすべて承認を得なければならないかのように聞こえる。これは、明らかにおかしいと思うのだが。

この著者は、政治の内面を描いた漫画、「票田のトラクター」の原作者だったのだそうであるが、小沢一郎に限らず、まさに自分が政治活動のインサイダーとして体験しなければ書けなかったような内幕エピソードも多々書かれており、このあたりが実に面白い。

ただ、人間というのは、ちょっと離れてみたほうが、良いところも悪いところもよく分かる事がある。長年、小沢一郎を身近で見た著者の小沢の人物評や擁護論に、大多数の小沢批判を覆すほどの驚きが無いというのも事実。例えば、「私の田中角栄日記」などを読むと、田中角栄という人物には、なかなか良いところもあったんだなあ、と好感をいだく。ただ、この本を読んでも、小沢一郎のことは好きにならない。その辺りが、角栄と小沢一郎の大きな違いというか。

小沢一郎というのは、「知」の人でも「情」の人でもなく、「選挙と権力」の人だというあたりが、真実ではないかと思うのだが。



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