97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「アストロ・ボーイ」と鉄腕アトム
昨夜、ケーブルTVのオン・デマンド新着映画をチェックしてると、「Astro Boy」がラインアップされている。これは、手塚治虫の不朽の名作「鉄腕アトム」をアメリカでCGアニメ化した2009年の作品。日本では「ATOM」という名前で公開されたようだ。

ちょうど昨日、「「ゲゲゲの娘、レレレの娘、らららの娘」の感想をアップしたところだが、奇妙な偶然。さっそく4.99ドルで視聴することに。

科学技術が発展した未来。空中に浮かぶメトロ・シティが舞台。天才科学者である天馬博士は、不慮の事故で死んだ息子が忘れられず、その記憶を移植して、外見も息子にそっくりのロボットを製作する。しかし、博士は、自分が作り上げたこのロボット「アストロ・ボーイ(アトム)」を愛することができない。それはやはり自分の息子ではないから。

心を持ったロボットが、その創造者から拒絶されるという、物語の前提として内包された悲劇。もちろんオリジナルの「アトム」を踏襲しているのだが、この葛藤が物語に深い陰影を与えている。この種の設定はSFでは割とポピュラーで、そういえば、スピルバーグの「A.I.」でも扱われたテーマだ。

「アストロ・ボーイ」に命が吹き込まれる誕生の場面は、ちょっと昔の「フランケンシュタインの怪物」の誕生を思いださせるもの。あれも原作を反映してるのだろうか。

御茶の水博士は、アメリカに「鉄腕アトム」がコミックとして紹介された時から、「Dr. Elefun」と呼ばれてるらしい。「鼻」を示す「エレファント」を暗示した名前。今回のCGアニメでは、表情などが微妙に白人風になっており、時折アインシュタインを思い起こす。やはり手塚治虫は、あの鼻をユダヤ人のアイコンとして採用したのかねえ。

天馬博士の助手に手塚治虫そっくりのベレー帽かぶった男性が出てくるのは、いわゆるカメオ出演。ヒゲ親父もちゃんと出てきて、製作者はちゃんと手塚コミックを参考にしていることが分かる。

父親であり自らの創造主である天馬博士から拒絶されたアストロ・ボーイが、自らのアイデンティティを問う旅に出て、人やロボットを助けて活躍する。ストーリーは明快でメリハリもあり、CGアニメーションもよくできている。日本生まれのコミックが、何の違和感もなく、アメリカでSFアニメーションとして成立していることに感嘆。やはり大の映画好き、SF好きであった手塚治虫の原作が、実にしっかりしていたと言うべきだろう。

漫画家が一人で手作りする家内手工業的なやりかたから、人材を集めてプロダクションを設立し、アニメーション製作に乗り出した手塚治虫は、現在、世界を席巻し、「ANIME」と英語で普通に呼ばれるようになった日本アニメーションの父。もしもまだ存命で、このCG作品を見たならば、セル画で書かれた従来の古いTVアニメの限界を超越したCGの可能性に新たな創作意欲を掻き立てられ、自らもCGによる作品製作に没頭したのではないか。そんなことを考えたり。

アトムが生まれたのは、オリジナルの原作では2003年なのだそうだ。それから7年も経過してるのだが、エアカーも、空飛ぶロボットも、知性を持って話すロボットも、まったく実用化されてないどころか、実用化の可能性さえ見えてないのは、まことに残念な限りだなあ。


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