97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
「祇園さゝ木の特等席」
「加藤和彦 ラスト・メッセージ」の中で、好きな料理屋について聞かれた加藤和彦は、鰻、蕎麦、寿司以外で和食を食べるなら京都しか行かない、「京都は山ほど知ってるから」と答える。

その中で好きなところはどこですか と問われて、「祇園佐々木だよ。日本では一番だな」とサラリと語ったのが印象に残っていた。なんでも、「瓢亭」にも、ここの主人や菊乃井の当主、フレンチのシェフ達と連れ立って、定期的に訪問してたのだとか。

この話が妙に記憶に残り、Amazonで別の本を検索していた折にたまたま関連図書で出てきた、「祇園さゝ木の特等席」を発注。昨日到着したので一気に読了。行ったこともない店だし、行く予定も無いのだが、これが実に面白い。

カウンタがメインの和食店。夜は全員一斉に6時半からのスタートで一回転のみ。料理内容はすべて店主のおまかせ。値段も時価。一ヶ月前から受け付ける予約は、電話受付開始と共にたちまち満席。ここ数年は連日満席で、先日はミシュラン関西版でも星を獲得したのだという。それにしても凄い話。

第一章は「さゝ木劇場」と題して、取材者がこの店を訪問した時に、どんな食材がどのように出されたかのドキュメント。丹精な京料理というよりも、「美味いもの」をドカンと演出と共に出す、エンターテインメント型の和食店。良くも悪くも、裕福な常連達のサロンなのだが、それにしても、この店は素晴らしい成功を収めている。

客の心を掴む工夫というのは、この本の取材でも随所に感じられるが、おそらくそれでもこの本は、ここの主人の手の内のほんの僅かしか明らかにできていないのではという印象。「鮨屋の人間力」を読んだ時にも思ったが、成功する料理人というのは、やはり頭がよい。それは、学校のテストでよい点を取る力ではなく、人間を観察して、心の機微を掴み、他者とのインタラクティヴなやり取りを通じて、そこに入ってゆく才覚と言えばよいだろうか。

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