97年から書き続けたweb日記を、このたびブログに移行。
デパート上の寿司屋で一杯。
金曜の夜は定時後にも仕事の予定があって結局会社を出たのは7時過ぎ。「鶴八」も「分店」も「しみづ」も、週末だし今から電話してもなあ。ということで、銀座に出てデパート上の寿司屋カウンタで一杯。あまり来ないチェインの寿司屋にフラッと来て、名も知られぬ客として一杯飲むのもたまには良いものだ。

大手寿司チェインの上位ブランドなのだが、確かに一応それなり。ちゃんと常連が居て、つけ場の店長と親しげに喋っている。真っ当な職人がやっている小体な江戸前の寿司店のほうが、若干勘定は高くともリターンはもっと大きいと思うけども人の選択はそれぞれだ。このチェインはNYCにもあり行ったことがあるが、新卒高校生を定期採用して職人育成しているのではないかな。

しかし、この店舗には暫く前からもう60絡みの年配職人が生え抜きの若い店長に使われている。ヒラメの皮のポン酢合えとか、ヒラメ卵の煮付けとか、ちょっとしたつまみを出して相手してくれたので、会話すると、銀座の名店で30年以上雇われ職人をやってたのだが、同じ店の古参職人とちょっと前に示し合わせて辞めてこの店に入ったのだと。我々が辞めると店は潰れると思ってましたけど、まあ潰れましたねと淡々と述べる。

その店はひょっとすると「奈可田」?と聞くと、その通りだった。ホテルの店はまだ維持しているようだが、昔からオーナーは鮨職人上がりではなかったようだし、接待用の高級店としても既に賞味期限を過ぎていたのだろう。1980年代初頭の山本益博「東京味のグランプリ」に取り上げられた寿司屋は、小さな個人店を除いてもう殆ど残っていない。寿司屋にも栄枯盛衰ありだなあ。

まあそんなデパート上の寿司屋には、トグロを巻いている大常連O氏は居ないし、酒を勧められることもなく好きにやって早く帰れると思ったのだが、この店によく来ているらしい隣の年配夫婦が酔っ払っており、「一人で寿司屋のカウンタで飲むなんて粋ですね」などと、あれこれ話かけてくる。デパート上の寿司屋で飲んでも別に格好良くも何もないのだが、一緒に飲みましょうよと、酒をどんどん勧められ、結局長居する事に。俺はいったい何やってるんだw

「新橋鶴八分店」訪問
火曜の夜は「新橋鶴八分店」。夕方に電話かけてると空いてるという。五十嵐親方に「大常連Oさんは来ないよな」と再度念を押したら「今日は本店の番です」と言ってたので安心して訪問。暖簾をくぐるとまだ早いのだがグラグラに酔っ払ったオッサンが帰るところ。開店から1時間程度でよくあんなに酔っ払えるよなあ(笑)

と思って店内を見るとカウンタ一番奥には、大常連O氏が座っている。話が違うじゃないか(笑) 本店と分店を交互に訪問してるとの事で、私がランダムにどちらかに行くとして出くわす確率は50%のはず。しかし何故いつ行っても遭うのかが分からんなあ。話が違うじゃないかと文句言うと、私の電話の後で予約が入ったんですと。ご本尊に聞いても、本店の順番だったのだが今日は満席だったと。そうかなあ。

お通しは炙った平貝。お酒は加賀鳶冷酒を貰って。本店の場合は注文したものがすぐに出て来るのだが分店でO氏と一緒だと、注文しても、「まあ、ゆっくりやって下さい」となかなか出て来ないし、その内に酔っ払ってくると、頼んで無いものが勝手に出て来る。これでは覚えられないよなあ(笑)

つまみはまず白身から。カレイを。肉厚で旨味あり。頼んで無いのにシマアジも切ってきた。これは天然だとか。確かにくどい脂が無くさっぱりした身で旨い。舌触りも違う。養殖もハマチと比べると成功している部類だし卸して直ぐだと目立たないが、やはり時間が経つと養殖臭が出るのだろう。

アワビ塩蒸しもなかなか大きいもの。しっかりと火を入れて水分を飛ばし、旨味と身肉の弾力に満ち、香りも良い「新橋鶴八」伝来の塩蒸しだ。大常連O氏とは、世田谷「小笹寿し」や、桜新町「喜与し」の話など。この人は実にあちこち寿司屋に行ってるので会話すると面白い。「喜与し」もよい店だったけどもう店を閉めてしまったと聞いたが。銀座「小笹」も良いけれどもあまりにも高いよね。

つまみは他に、立派な身のカツオ、トリ貝など。炙ったバチコも貰った。

あと、握りはアジは貰ったはず。他は何しろ勝手に出すから記憶がなあ(笑) いつも本店で頼んでる、中トロ、コハダ、穴子は出たのではないかと思うのだが。酢飯は本店伝来、米の甘味をしっかり感じる固めの炊き上げ。これは好きだなあ。途中でハマグリ出汁かと思うが小さなお椀が出た。

その後は、大常連O氏がカラオケに行こうとしきりに誘うので、しょうが無くお付き合い。行きつけのスナックがあると言うのでついて行くと、新橋界隈にはまだこんなレトロな所があるのかと驚く昭和初期から変わってないような店があるのだった。どこかにタイムトンネルがあって、そこを知らぬ間に潜ったのかねえ。なんだかんだで更に飲んで酩酊。結局タクシー帰宅。一体何やってるんだ(笑)


「新橋鶴八」訪問
水曜日は部下の歓迎会で結構飲んだのだが、木曜も夕方になるとやはり一杯やって帰るかという考えになってきたw 「分店」からは週末近辺は立て込んでいると携帯にメッセージ貰っている。それではと「新橋鶴八」に電話すると、空いているというのでそのまま入店。

カウンタ一番奥の席には座布団が引かれ、いつもの大常連O氏が。分店と本店を交互に行き来しているとのことだから、普通どちらかにで遭う確率は50%のはずだが、もっと高い確率で遭う。というよりも大抵いつでも遭う。いったいどうなってるんだ(笑)

O氏と私以外にはしばらく客がいなかったので、相撲の事やら若冲展の事など親方や女将さんも入れてあれこれ雑談。若冲展はNHKが気合い入れて宣伝し過ぎた感もあるし、元々東京都美術館というのは設計が良くないのか、何を展示していても大混雑だという印象がある。O氏によると日本には暇な爺さん婆さんが多すぎて、美術に興味なんか無くても暇つぶしに押し掛けてやがるんだとのこと。まあそうかもしれないけれども(笑)

冷酒を貰って、お通しは炙った平貝。香りがよい。最初に頼むのは白身に決まっているので、これだけは注文せずとも出てくる。この日はフッコ。小型のスズキであるが、房総産。乾いた感じの脂に独特の風味と旨味あり。海の上層を泳いでいるので水が綺麗なところでないとダメなのだと。

アワビ塩蒸しも立派なもの。この前「鮨竹」に一緒に行った「新橋鶴八最後の弟子」が、「鮨竹」の塩蒸しを食して、「これは塩蒸しじゃない」と呟いていたが、石丸親方もうちのやり方が本当の塩蒸しなんだと。実に風味と香り高く適度な歯ごたえがあるんだよねえ。この前分店に連れていったアメリカ人も感心していたっけ。

アジもつまみで。赤酢にくぐらせてから銀皮を剥ぐ。肉厚の身にネットリした脂が乗る。ハマグリもつまみで。酒飲んで疲れた肝臓に効く気がするなあ。

O氏は焼酎飲んで行けと勧めるのだが、丁重に断ってお茶に切り替えて握りを。この時点で既に入店から1時間以上経過。いつもよりあれこれO氏や親方と雑談している分滞在が長引いていることになる。

既に他に何組かお客がおり、お好みで握りを頼んでいる合間を縫っていつもの注文。まず中トロ2。コハダは片身づけの大きさだがネットリとした旨味は比類がない。穴子も段々と脂が乗ってきた。最後はカンピョウ巻。この日は気持ち酢飯がいつもより柔らかい気がしたが、それでも米の旨味を感じる具合は変わらない。寿司種も安定の旨さ。やはり寿司屋は自分が信頼できる通い慣れた親方の店が一番だ。




「新ばし しみづ」訪問
木曜の夜は「新ばし しみづ」。

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烏森神社界隈に近づくと祝日なのにずいぶん人出が。お祭なのだった。

予約時間ちょうどに到着したと思ったが、カウンタは私以外もう全員着席。早いねえ。

日本酒は気温上がったので冷たいのを。お通しはシラスおろし。何も告げずともいつも通りに始まる。GW中はずっと営業しており休みなしでこの週末の土日を営業し、来週月曜がお休みなんだそうだ。この日は築地市場の3連休最終日だが種札はそれなりに揃っており感心。アワビは札が下がって無かったが、ちゃんと出て来た(笑)

最初はカレイ。ホタルイカは茹でたものと沖漬けと。カツオ塩叩き。制作過程をなんとなく見ていると、サクをまず人数分切ってから鉄串を打ち、回りを炙り、その後で分けて塩を振る。軽く火を通すだけなので、最初に炙ってから切ると皮目の脂が溶けており包丁が滑るのだとか。土佐の叩き作りのように皮目が焦げるほど火を通さないものなあ。春カツオの爽やかな香りが塩で活きる。

アジはふっくらした脂あり。アワビは大きく切り付けてゴロリと。トリ貝はなかなか大きいもの。ガリは新生姜。この店のガリはかなり砂糖を控えてあり、相当酢がきついのだが、それでも新生姜になるとお客の消費量が増えるのだとか。まあお客の中には別に茶碗一杯貰って親の仇のように食べるのがいるからなあ(笑)

平貝は炙って。この前「鮨竹」で、正式名は「たいらぎ」だが関西での呼び名なので東京では「平貝」と呼ぶのが普通とトリビアを聞いた。清水親方が「四階どうでしたか」と聞くので訪問した時の雑談など。

甘鯛の蒸し物。上品な脂が出汁に溶けて身はトロトロ。

ウニとアオリイカを小皿に盛って。車海老炙り。頭は鬼殻を外した後で更に味噌の部分だけを切り出し、深く火を通して後で供する。漬け込みのハマグリもつまみで。

このあたりでお茶に切り替えて握りに。入店から45分。やはりこの程度のペースがよいなあ。

最初はトロリとした柔らかさのマグロ赤身。中トロと言ってもよい部位。二巻目は「筋間剥がしの身です」と言って供される。実にきめ細かい脂がビッシリ乗った柔らかく旨味のある身。旨味が強めの酢飯に溶け崩れて実に旨い。剥がすのが手がかかるとのこと。

コハダも強い〆。他の店ではお目にかかれないこの店独特のコハダは、ここの酢飯と合わさって完成する。アナゴは塩とツメで。最後はカンピョウ巻で〆。市場三連休の最終日でコンディションは厳しく、若干の影響を感じないでもないが、それでも全て一定の水準をクリアしている。連休の合間に素晴らしい寿司を堪能した。


銀座「鮨竹」訪問記
日曜日は「新橋鶴八分店」親方とその友人、大常連O氏、新橋鶴八最後の弟子に私という何やらよく分からない混成軍で銀座「鮨竹」訪問。「鮨竹」に来るのも久しぶり。「分店」はGW中につき、昼だけ予約営業で夜はお休み。「新橋鶴八」は親方がGWの休みで旅行中とのこと。

予約は7時半。銀座5丁目で日曜に営業している店はそんなに多くないし、GWの途中とあって店の回りも歩いている人はまばら。予約の時間5分前に4階の扉を開けると既にメンバーは全員揃っている。早いね。

大常連O氏は既に日本酒飲んでおり、すぐに持ち込みの焼酎に切り替え。「鮨竹」は元々焼酎置いてないのだが理由聞くと、炭酸、サワー、ウーロン割やらロックなど飲み方があれこれあり、今の体制では対応しきれないので置いてない由。師匠店の「しみづ」が焼酎置いてない理由は明快で「焼酎飲む客はなかなか帰らないから」。大常連O氏シフトなのかな(笑)

三々五々に飲み物を注文。私はまず日本酒常温で。石川県の酒だったか。実に軽い飲み口の爽やかな酒。こんな酒が飲み過ぎて危ないんだ(笑)お通しは青菜のおひたし。

大常連O氏は、まずコハダの握り2貫くれとあれこれ注文多いが、私は店のおまかせでまずつまみから。

カレイは上品な旨味あり。アワビ塩蒸しは房総の結構大きいもの。最後の弟子君は「これは鶴八の塩蒸しと違う」と。そう、これは「しみづ」バージョンで「新橋鶴八」の仕事とはちょっと違う。「しみづ」は全体として「新橋鶴八」の仕事をベースとするも、独自の工夫や他の寿司屋の仕事を取り入れたハイブリッドな仕事も多い。マグロや塩蒸し、コハダの〆などは分かりやすく違う。「分店」が「新橋鶴八」伝来の仕事をほぼ忠実に承継しているのと路線が若干違うのだった。

カツオはネギを叩いた薬味で。平貝は炙って。トリ貝もつまみで。タコは桜煮。時期の良い時には「しみづ」同様に塩で仕上げるのだが、産卵時には桜煮にすると。他にもあれこれ聞くと、「鮨竹」も「しみづ」のコピーではなく、寿司種や仕事にもちゃんと独自性が出てきているのだった。

この辺りで、もう少しつまみを出すか握りにするかの選択があり、握りにしてもらう。

白身はカレイ昆布〆。赤身は事前に切り分け煮切りを塗り即席のづけに。この辺りも「新橋鶴八」とも「しみづ」とも違う。中トロも1貫。酢飯は前にも聞いたが、レシピは「しみづ」と同じとのこと。しかし何故か「しみづ」よりも若干マイルドに感じる。これは他の客にもよく言われるとのこと。米か、手酢の量か、握り方か、女性が握っているという先入観か、それとも他の条件が違うのか。酢飯も実に微妙で不思議なものだ。

コハダは片身づけ。強めに〆てある。甘鯛は水分を飛ばしてネットリとした旨味。大勢であれこれ勝手な事を言いながら食べたので、だいぶ失念した気がするが、アジ、茹で上げの車海老、ウニ、アナゴなど食べた記憶が。薄焼きの玉子は、芝海老のおぼろを混ぜてあるのだとか。私はこれで握り終了だったのだが、「新橋鶴八分店」親方が、もう一巡り握りを食べるというので、しばしお茶を飲みながら待つ。本当にほとんどお代わり頼んでいるのにはビックリ。

「鮨竹」を出てから、酒の入った全員でガヤガヤ喋りながら徒歩で、銀座から新橋「P.M.9」に移動。「P.M.9」でまたあれこれ騒ぎながら飲んだのですっかり酩酊。店を出るとちょうと「しみづ」も営業終了したところで、外に出て来た親方と女将さんにも出くわす。いやあ、面白かったなあ。

もう夜も更けており、新橋駅からタクシー帰宅。




「新ばし しみづ」訪問
連休初日の金曜は、飲み疲れが出てグダグダしていたが、夕方は久しぶりに「新ばし しみづ」。

お酒を常温で。お通しはしらすおろし。いつも通りつまみから。チェイサーに水を所望すると「今日はどうしたんですか」とびっくりされる。仕事が忙しく酒席も続いており、疲れが蓄積しているのだった。

まず白身はカレイ。肉厚で上品な旨味あり。アオリイカは細かく包丁が入りネットリした甘み。ホタルイカは茹でたのと沖漬けを両方。

房総の立派なアワビ塩蒸しは大ぶりに切ってゴロリと。凝縮した海の滋味。4月から解禁だがまだ4回くらいしか入荷が無いと。昔の店にはとてつもない大きさの貝殻が記念に飾ってあったが、清水親方は「もう昔の話になってしまいましたねえ」と。

今度、「分店」と銀座四階を訪問することや、寿司種の事など、親方と雑談しながらお酒もおかわり。

シマアジも舌触りよし。軽く回りを炙ったカツオ塩タタキ。爽やかな春のカツオの香り。平貝も炙って七味を添える。トリ貝はフレッシュな酸味あり。甘鯛の蒸し物が供される。出汁に溶ける甘鯛の旨味。ウニもつまみで。この辺りでお茶に切り替えて握りに。

まずは、シットリした肉質の中トロを2貫。固めの力強い酢飯にネットリした旨味が溶け崩れる。

コハダは片身づけ。天草の産だとか。熊本の流通もほぼ平常に戻ったようだ。産卵期で脂が抜けてきているが、ここの〆の仕事ではまだ旨味が充分ある。肉厚のアジは軽く酢に回してあるが、トロリとした旨味が酢飯にピッタリ。まったくの生よりも酢が入ったほうが好きだなあ。アナゴはあまり良く無い時期だが、それでも鶴八伝来のトロトロに。塩で1貫、ツメで1貫。〆には筋間のマグロの

満ち足りた気分で勘定を済ませ、女将さんに見送られながら「P.M.9」の扉を開ける。店内はお客無し。祝日はやはり暇なんだとか。

バーテンダーM氏とあれこれと雑談。最多来店記録氏が最近来てるかどうかなど確認しつつ、のんびりとまずマティーニを飲む。一杯で止めるつもりだったが、やはり調子が出て来てその後で、ハイランドのシングルモルト。フローラルで豪華な香り。〆はライフロイグ15年。いささか酩酊してタクシー帰宅。

今朝は何故か早く目が覚める。久しぶりに外をランニング。すっかり身体が鈍っておりすぐに息が上がるが、汗をかくのは気持ちがよい。さあ、連休は何をしようか。


「新橋鶴八分店」訪問
金曜日の夜は「新橋鶴八分店」。

会社を出る前に電話すると、五十嵐親方が出て空いているという。大常連O氏は来ないか確認すると「来ません」と。「本当だな、来たら帰るぞ」と言うと観念して、「実は来ます」と自白(笑) じゃあ行くの止めるわと言ったのだが、「来てくれ」と懇願するので、席が空いてるなら仕方ないかと行くことに。

入店したのはいつもより遅めの時間。やはりO氏がカウンタ一番奥、いつもの定位置で椅子に座布団引いてとぐろを巻いている。O氏がいるとあれこれ話をして面白いのだが、なにしろ滞在時間が長いので、店のほうが調整して、私が注文してるのに出さない、O氏としゃべって気をとられていると、注文してないものが勝手に出てくるなど、ペースが乱れて困るんだよなあ。

お通しはハマグリの柱。加賀鳶冷酒を注文。まだ何も注文していないのにつまみでカレイが出て来る。身肉にはなかなか良い旨味あり。カツオは注文したらちゃんと出て来た(笑)爽やかな春の香り。

塩蒸しは本日蝦夷アワビの入荷が無かったとのことで種札に無し。ただ、もうすぐ房総の物が出て来るだろう。注文したのはここまでで、後はO氏が何やかやと話しかけてくるので相手をしているうちに、いつの間にかあれこれ出て来る。本店の流儀と違うなあ。

このところ電話すると満席の場合も多いが、客の年齢層が本店よりも明らかに若くなってきた。開店当初は本店から流れてくる年配の客が多かったのだが、今やここで出くわす年配の客というとO氏くらい。新しい酒は新しい革袋に。客の世代交代が進まないと店が繁盛し続けることはできない。その点では実に結構な話なのであった。

シャコ、アジ、ミル貝の炙りなどまでは記憶あり。アジもふっくらとした身にだんだんと脂が乗ってきた。トリ貝は話題には出たが食したかなあ。

バチコ、塩ウニ、鯛酒盗の珍味三点盛りが出て来たのは記憶にあり。酒の肴が出て来るとまた酒が進んで大変なんだよなあ。途中で芋焼酎ロックに切り替え。握りもまたO氏と会話している間に勝手に出て来るのだが、ヅケ、中トロ、コハダ、アナゴなんかだったかなあ。米の粒の甘みを感じるふっくらした酢飯の具合は本店譲りで相変わらず結構だったのは覚えているのだが。

なんだかんだ2時間以上滞在して他の客は居なくなった。帰ろうとするとO氏がもう一軒行くと行って聞かない。しょうがないのでお付き合いして、新橋ディープなエリア、昭和の香りがする場末の小さなスナックで、カラオケを歌う。こんな店がまだ残ってますか。なんだか昔にタイムスリップしたみたいな夜。飲んだら飲んだで調子が上がり、すっかり酩酊してタクシー帰宅。いったい何やってるんでしょうか(笑)しばらく分店訪問は控えるか。


「新橋鶴八」訪問。
月曜日、定時ちょっと前に電話したら空いていたので「新橋鶴八」。入店してみると、アレ? 既に大常連O氏がカウンタ一番奥で座席に座布団引いて陣取り、トグロを巻いている。

「分店は満席だったろう」と聞くので、「いやいや、月曜はOさんは分店だと思ったので、最初にこっちに電話したら空いてたんですよ」と言うと、なんでも分店は本日5時からカウンタ満席で、大常連O氏も断られたとの事。大変な繁盛ですな(笑)

「分店」も最初は本店経由の客が多かったが、O氏によると最近は新しい客ばかりとのことで結構なお話。最近も電話すると大概満席。

冷酒を貰ってつまみから。お通しはハマグリの柱。まずヒラメ。そろそろカレイとの端境期だが肉厚でまだ旨味を保っている。塩蒸しもつまみで。

石丸親方と地震の事などあれこれ雑談。親方は佐賀出身だがもう地元には誰も居ない由。ここのコハダはこの時期、熊本の天草産なのだが、本日はやはり築地に入荷無かったと。この日は江戸前を仕入れたが、10枚しかなかったので明日はコハダはすぐ種切れですとのこと。日曜は暴風雨の如き風だったのでトリ貝なども築地にほとんど入荷無かったとのこと。確かに日曜のあの風で出漁したら漁師も遭難の危機だ。

道路と熊本空港が完全復旧して天草の漁業も早く商売が復旧するように祈りたい。

アジもつまみで。ふっくらした肉厚。脂も段々と乗ってきた。漬け込みのハマグリも。

この辺りでお茶に切り替えて握りに。隣の大常連O氏は焼酎飲んで行けと言うのだが、月曜から深酒しては仕事にならない(笑)。

握りは中トロ。脂の多いほぼトロに近い部位。土曜に仕込んだという、熊本天草産のコハダ。ネットリした身肉の旨味あり。このネットリ具合が新橋鶴八独特の技で、米の旨味を感じるふっくらした酢飯に実によく合う。穴子、カンピョウ巻で〆。種はどれもズッシリした重厚な旨味。新橋鶴八でしか感じられない独特の満足感あり。

小雨模様なので、ほろ酔いでタクシー帰宅。

「新橋鶴八分店」訪問
3月は異動、引継やら歓送迎会、大相撲大阪場所遠征などで忙しく、寿司屋訪問も、北新地で「ほしやま」に寄った程度。

月曜は急に夜が空いたので、夕方、実に久々に「新橋鶴八分店」に電話。また満席かと思ったら「今日はガラガラです」との事。「大常連Oさんは予約入ってる?」と訪ねると「今のところ入ってません」との事。隣に座ると焼酎を勝手に注がれて酩酊してしまうので、「じゃあ、これ以降に電話があっても満席だと断ってよ」と頼んで予約完了。

店に着いたのは予約時間の5分前だったが、既に五十嵐親方が店の前に出ており出迎えてくれる。サービスよいな(笑)まだお客は誰もいないようだ。しかし店に入ると、アッ! 一番奥の席にいつもの座布団が引いてあるじゃないか。大常連O氏が来訪するサイン。「予約入ってないと言ったじゃない」と文句言うと、あの後で予約入ったんですとのこと。月曜は遭遇確率が高いんだよなあ。

加賀鳶冷酒を貰って、お通しはホタルイカ。3月が忙しくて来れなかった事などしゃべってると外を見ていた親方が「ほら、ご来店です」と。O氏が悠然と歩いてきた。隣の席、いつもの定位置に座ったので久しぶりにあれこれ「ほしやま」訪問の事など雑談。

まずカレイを切ってもらう。上品な旨味あり。次に塩蒸しを頼んだが、五十嵐親方は、「まあゆっくりやればいいじゃないですか」となかなか切ろうとしない。頼んだのをすぐに出さないし、こちらが注文してないのにO氏に出したのを勝手に出して来たりするので、何食べたか覚えられなくて困るんだよ(笑)

カツオは鹿児島だったか。脂はまだ薄く爽やかな香りだが、ネットリした旨みもあり。蝦夷アワビの塩蒸し。これも煎り付けたような凝縮した旨味あり。あと一か月もすれば房総のアワビが解禁だ。タコも何故か注文してないのに出てくる(笑) 新橋鶴八と流儀が違うなあ(笑)

ミル貝は注文して軽く炙ってもらう。これはO氏にも勝手に出して、「俺はこんなもの注文してないじゃないか」と文句つけられている。面白いなあ。

鯛酒盗などもつまみで。お酒は二杯で切り上げて、芋焼酎をロックで一杯。適当なところで握りに。中トロ、アジ、コハダ、小柱、アナゴなど。アナゴは一番悪い時期で脂が乗ったものが市場に無いのだとか。米の旨みを感じるふっくらした酢飯は新橋鶴八直伝。伊達に長いこと修行した訳ではなく、握りの技は確かで旨かった。他にも何か食べた気もするが思い出せないなあ。最近の食べログでやたら持ち上げられたレビューが掲載されている事など冷やかすと、本人も誰が書いたかはだいだい把握しているようだった。

自分で握りの写真をアップした「新橋鶴八分店」のInstagramページを見つけたので、聞いてみると、それを見て来店する客も徐々に増えているとか。SNS使って集客とは、今風の寿司屋として、なかなか努力してますな。この日は後から予約無しで1名入店したがあとはガラガラ。月曜から飲み過ぎても大変なので、適当な所で切り上げ。しかし入店から2時間くらい経っていた。1時間くらいで切り上げたいんだけどなあ。親方の見送り受けて店を出て、タクシー帰宅。

寿司本、「FOOD DICTIONARY 寿司 エイムック」を読んだ。
昨日の午後は銀座に出て、教文館書店であれこれ本を物色。寿司関係の本は気付いた時には買う事にしているので、たまたま見つけた、「FOOD DICTIONARY 寿司 エイムック」なるものを購入。食品やグルメ関係ではありがちだが、聞いた事の無い出版社だなあ(笑)



取敢えずページを開くと、まず3ページ目の本全体の目次には、「寿司の求道者 10人の仕事」とある。次の4ページ目からその特集が始まるのだが、その題名は、「寿司の求道者 9人の仕事」と。たった1ページで1名欠落(笑)

おそらく最後の段階で、店から突然の掲載拒否があったのだろうが、関わった編集者が真剣に仕事してないんだなあという、レベルの低さを感じさせる本。まあ、そもそも、グルメ本の編集レベルは全体に低いけれども。

そう思って目次を見直すと、確かに3ページ目の「10人」でも不自然な空白あり。ただ、その他の寿司種や仕事の紹介ページでは、銀座「青木」その他、掲載9店以外にあと2,3店が登場している。この内どれかが最後に掲載不可になったのかを考えるのも、なかなか興味を誘う。

編集としては、見た目のバランスとして、全体に活字のフォントが不必要に小さい気もするし、書名も何の訴求力も無い。編集者のセンスが大した事ないなと思わせる。まあ、もともと昨年に発行されたムック本に加筆して本にしただけで、執筆の単独責任者などはいないようだが。中身に関しても、それほど参考になる事項は無い。ただ全ページカラー写真満載なので、これはなかなか綺麗で面白い。

大阪北新地、「鮨ほしやま」訪問
先週末は、大相撲三月場所初日を見物に大阪遠征。土曜日お昼前の新幹線に乗り込む。大丸で「たいめいけん弁当」購入して車内で一杯。実にボリュームあるけど、ご飯や付け合わせのパスタなどは半分も要らないくらい。

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新大阪に到着してから、会場である大阪府立体育会館(エディオン・アリーナ)の場所を確認に御堂筋線でなんばまで。なんでこんな処に体育館がと思うような街中に建っている。

先週仕事がドタバタして事前予約を忘れており、ダメかなとは思ったが一応北新地「ほしやま」に電話。当日だったが8時までなら空いてるという。5時半に入店すれば余裕である。予約してからホテルにチェックインして時間調整にのんびり。

頃良い時間に北新地まで。ここを歩くといつも「大阪しぐれ」が脳内に流れる(笑)。「一つや二つじゃないの、古傷は。噂並木の堂島、堂島スズメ~」。

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店の前に定刻に到着。三階まで階段登って入店。丸坊主の若いのが荷物を預かりに出て来たので、お弟子さんが入ったのか星山氏に聞いてみると、バイトとのこと。丸坊主でバイトには見えない風貌だったのだが。しかし4月には料理学校出た新人を弟子に取るかもしれないとのことであった。やはり一人では仕事に限界あるからねえ。

1年半以上開いてしまったが、景気の事など聞きながら。星山氏は先日「しみづ」に行ったとの事。新橋鶴八分店に来ていた北新地「おおはた」の親方とは知り合いだそうである。

つまみからおまかせでお願いする。冷酒を所望すると、まず出されたのは山形の吟醸「男山」。癖のない淡麗な酒。お通しは、畑菜と油揚げのおひたし。

皿に更に載せて刺身がまず三品。甘鯛は皮目を軽く炙る。蛸は「しみづ」を見慣れていると割と小型のサイズ。赤貝は紐と共になかなか香り良し。塩とワサビは別の小皿に乗せて出される。

お酒をお代わりすると、今度出されたのは佐賀の「鍋島」だったか。爽やかな酸味を感じる。

金目鯛は、切りつけてから表面を軽く炙る。甘鯛も金目も水分が多いのでそれを飛ばす仕事が要るのだろう。立派な平貝も炙って切り分ける。貝類は炙ると甘味が増して結構。ただ、ちょっと炙ったものがちょっと多過ぎの気もするけど(笑)最後は子持ちヤリイカ。

ここまでつまみが供されると、握り用の焼き物の皿が置かれ、自然と握りの準備に。

「しみづ」は、白木のつけ台につまみも握りもそのまま出す江戸前スタイルだが、「まつもと」が祇園に店を出した時、それでは京都人に受け入れられないと客に言われて、つまみも握りも更に乗せて供するスタイルにしたそうであるが、それを継承しているのだろう。

下に氷を仕込んだ白木の種箱から、ヒラメ昆布〆、スミイカを出して切り付け、しばし俎板の上で温度を調整している。マグロ赤身も切り付け、軽く煮切りを塗ってこれも温度を戻して握りの準備。

老練の職人は冷蔵庫から種を出し、冷たいままで切り付けて握るのが当たり前だったが、寿司種の温度管理を工夫するのが普通になってきたのが十数年前に台頭してきた若手寿司職人達からだったのではないだろうか。「新ばし しみづ」がまだ新進気鋭の若手だった頃を思い出す。

酢飯は小さ目の木桶に入れ藁苞に包んで保温。こまめに奥から酢飯を補充する仕組み。

握りは小ぶりで「しみづ」に比べると比較的縦長の流線形。煮切りを引いて供する。これは「まつもと」譲りなのだろう。

まずヒラメ昆布〆。上品な旨味。スミイカもスカっとした独特の食感。どちらも酢飯の味が良く分かる種。酢飯は赤酢と塩だけで砂糖は使ってないとのことだが、固めに炊かれて粒が立ち、寿司種と共に噛みしめると一粒一粒が分かるような具合だが、これが実に美味い。今ほど強い酢飯に辿り着く前の「しみづ」の酢飯を思い出した。

煮切りを塗って数分置いた即席のマグロづけ、その後は中トロ。小型だというがそれでもシットリした旨味と滋味あり。

茹で上げの天然車海老は若干温度を下げてから、おぼろをかませて供する。包丁でふたつに切るほど大きい。甘味あり。

コハダは片身を2枚重ねて。ネットリとした身肉の旨さが酢飯にまた合う。 カスゴは柔らかく酢で〆た白身が口中でホロホロと溶け崩れる。アジも爽やかな春の脂。北寄貝は軽く炙ってから握る。これまた甘味が増して実に旨い。ウニは軍艦で。癖の無い旨味がサラリと口中で溶ける。良い時の築地「つかさ」もこんなウニを使ってたっけ。漬け込みのハマグリも古式を残す江戸前仕事。穴子は比較的小ぶりのものだが、炙ってから供する。煮つめに独特のコクがあってこれまた旨い。最後は玉子焼きを二切れ。これまたしばらく前に種箱から出して温度を馴染ませている。

マグロも光り物も、築地から引いている由。甘鯛やタコ、貝等、一部は関西での調達もあるというのだが。

手の空いた時を見計らって「おおはた」や「鮨竹」の事など星山氏と雑談。今でも土日営業しており定休は火曜日とか。仕込みは一人でやっており夜のみの営業だが、弟子が来て戦力になったら昼の営業も出来るのでは。

この店も7月で開店4周年とか。星山氏もまだ若い。「新ばし しみづ」がまだ新進気鋭の若手だった頃を、色んな面で思い出す店。若手の寿司屋というのは、実に清々しくも気持が良いものだ。気分良く勘定済ませて、星山氏の見送りを受け、階段を下りて「大阪しぐれ」を口ずさみながら北新地の街を歩くのであった。





「新ばし しみづ」訪問
先週はなんだかんだで忙しい一週間だったが、金曜午後はようやく余裕ができ若干ゆったり。夕方、「新橋鶴八分店」に電話するかと思ったが、また満席じゃないかなあ、という予感あったのと、大常連O氏が何時ものようにトグロを巻いてる懸念あり、まず「「新ばし しみづ」に電話。すると空いているという。じゃあ「分店」にわざわざ行く必要無いなあ(笑)

遅い時間に一杯になる雰囲気だったので何時もより早めに入店。元々、飲んでつまんで握り食して1時間ちょっとあれば大丈夫。早く出してくれさえすれば1時間以内でもOKな客だからね(笑) 入店するとまだ先客は2人だけ。常温のお酒貰って始める。お通しは菜の花。

最初の白身はタイ。身肉はしっかりしており上品な旨味。タコも実に立派な身で香りもある。平貝は軽く炙って供する。

清水親方が「雀右衛門襲名公演には行くんですか?」と。歌舞伎にはご夫妻で以前から随分通っているのだ。女将さんは菊五郎休演をネットで見た話を。2月昼の部は、太閤記で出ずっぱりだったから疲れが溜まったのでは。親方は「飲み過ぎなんじゃないですか(笑)」と。しかし役者が舞台休むというのは相当な事だよね。

アジは淡路の産。魚体は小さいが上品な脂が乗っている。淡路のアジが良いのは久々だとか。昔、「松栄丸ブランド」とかあったよなあ。

トリ貝は果実を思わせる爽やかな甘味。赤貝も香り良し。漬け込みのハマグリも柔らかい旨味。

最近ネットで良く見る「鮨あらい」について聞いてみると、昔から知り合いで、先週もこの店に来たのだとか。「あそこは赤酢と白酢と二種類酢飯用意してますよ」と清水親方が言う。この店ではそうしないのか試みに聞いてみると、酢飯にも好き嫌いあるだろうが、やはり絞って一本にしないと店の芯が決まってないようで嫌なのだとか。それはその通り。その酢飯が嫌いな客は離れて行くだろうが、それはそれで仕方がない。

極端なことを言うと、酢飯を何種類も用意しておき、客に選ばせて、「俺はマグロに酢飯の1番」とか「私はスミイカに酢飯の4番」とか頼むのが究極の「お好み」なのだろうが、そこまで行くと「客が親方を食いに来る」江戸前の小体な名店のスタイルでは無くなってしまう。複数酢飯の使い分けは、むしろロボットがシャリ玉作る回転寿司の差別化に効果あるのではと思うけど。まあ、回転にはそんなに違い分かる客は来ないから差別化には役立たないか(笑)

白魚とヤリイカゲソにオリーブオイルかけたつまみ。白魚の旨味と油の香りが素晴らしい。今年の白魚は出るのが早かったので、終わりも早いらしい。「天麩羅なかがわ」でも素晴らしいのを食したから、今年はもうよいかな。

ヒゲダラの蒸し煮は、実に上品な旨味。甘鯛を捕る時に上がってくる「外道」だと。関西の料理屋では昔から使ってるらしい。刺身というより火を通したほうが旨いようだ。

ヤリイカ煮付、イカとウニ盛り合わせでつまみ終了。ちょっとのんびりやったのでこの時点で入店から45分くらいかな。お茶を貰って握りに。マグロは中トロ。身肉はシットリしてほどよい脂が乗っている。島根だとか。コハダは一匹丸漬けのサイズ、しかし肉厚で旨味あり。穴子は実にトロトロと柔らかく鶴八系の旨味そのもの。最後はカンピョウ巻で〆。

入店してから店を出るまで、全て「しみづ」に来たなあと、しみじみ感じるもてなしとつまみに握り。寿司屋の新規開拓も良いが、何処かに人気出た新店が出たというと駆けつけて威張って、また新しい店がどこぞに出来たというとまた駆けつけて常連面するというのも、結構疲れるのではないかな。個人的には慣れた店で何時もの如く静かにやるのが一番だが。


「新ばし しみづ」訪問
水曜日は会社を定時に出て、歌舞伎座「二月大歌舞伎」夜の部「籠釣瓶」を再び観に行く計画を立てていた。定時退社したとしても、幕見に並ぶ時間は無い。仕方ないので勿体無いが事前に一等席のチケットを手配。戻りがあって花道横のよい席が空いていた。定時に出てタクシーに飛び乗れば、「源太勘當」は間に合わないが、余裕で「籠釣瓶」には間に合うはずだったのだが。

しかし、4時から始まった打ち合わせが終わらないという事態発生。人事や予算に関係する大事な話だったので、私だけ中座する訳にもゆかず、そのまま打ち合わせを継続して終わったのが6時20分。もう既に演目は始まっている。チケットを無駄にしてしまった。

仕方ないのでどこかで一杯やって帰るかと「分店」に電話するも満席。困るね。ダメモトで「新ばし しみづ」に電話するとなんと空いていた。当日に夕方に電話して席が空いているとは、珍しくも素晴らしい。もう「分店」通うの止めて、「しみづ」一本に帰還するかな(笑)

常温のお酒を貰って何時も通り始めてもらう。お通しは菜の花。

ヒラメは生の身と昆布〆。タコも歯応あり噛みしめると旨味がある。白魚とイカゲソのオリーブオイル合え。入り口近くに座ったので、制作過程をつぶさに見ていたが、なかなか面白い。

他に切ってもらったのは、サヨリ、アジ、サバ、ハマグリ、ミル貝、赤貝ヒモなど。アゴタラの蒸し物が出てくる。アゴタラとはあまり聞いたことがないが、癖の無い上品な白身で美味い。

カウンタが満席になるのは8時からのようで、先客が皆帰ったので、清水親方と、大阪場所に相撲観に行く話や、新橋鶴八の事などあれこれ雑談。しかし二人連れが「◯◯さんの7時の予約ですけど」と来店し「予約は8時ですよ」と言われる混乱あり。やはり客と店で待ち合わせする時には時間を何度も確認しとかないといけませんな。

握りは何時もの通り。中トロ、コハダ、穴子、各2。最後はカンピョウ巻。どれも間違いの無い「しみづ」の味。

「新橋鶴八」訪問
木曜夜は「新橋鶴八」。火曜に大常連O氏と「分店」で出くわした訳だから、本店と交互に行ってるとすると、今日は「分店」のはず(笑) ニュー新橋ビル二階に上がって外から「分店」を望見すると、一番奥の席に座布団が敷かれている。「よしよし今日は分店なんだ」ということで本店に入店。

まず冷酒を。お通しは塩蒸しアワビの周りの切れっ端部分。初めて貰ったが、味が濃くてなかなか旨いなあ。

「一昨日は分店で飲まされて大変だったでしょ」と石丸親方が笑う。なぜ知ってるのかと思ったら、昨日大常連O氏がここに来て語ってたとのこと。そうか、何食べたかあんまり覚えてないのは、やはり大常連O氏に飲まされたせいなんだ。困ったもんだよ。

つまみはまず肉厚のヒラメ。旨味あり。塩蒸しのアワビはなかなか立派な大きさ。アジは軽く酢にくぐらせてから切る。脂はまだ薄いが爽やかな旨味。サヨリは真っ白に脂が乗っている。そろそろ卵を持つので今が盛りとのこと。皮は串に巻いて炙る。漬け込みのハマグリもつまみで。肝臓に効く気がする(笑)どれも鶴八独特のしっかりした旨みのある種揃い。

他の客が注文した鉄火巻を観ていたが、やはりマグロの盛りが凄い。よくあれで巻けると感心するほど。比較するとやはり「分店」のほうがマグロの盛りが悪いね。

適当なところでお茶に切り替えて、握りに。やはり握りはお茶で食さないと、飲み続けていると翌日に響く。まず中トロ2。脂が乗って酢飯に溶け崩れる。コハダは肉厚の身だが、独特のネットリした〆。美味いなあ。アナゴも2貫。軽く温めるのだが、まさにとろけるほどのトロトロ具合。最後はカンピョウ巻。仕事した種は相変わらず、いぶし銀の如きずっしりした安定感あり。素晴らしかった。

冷酒を3杯飲んでつまみと握りを食し、入店から勘定済ませて店を出るまで1時間15分。まあだいたいこれが一番よいペースかな。


「新橋鶴八分店」訪問。
火曜の夜は会社帰りに「新橋鶴八分店」に。最近、満席が多いので、午前中に電話しておいた。本当は会社出てから電話してフラッと寄れる寿司屋が理想なんだが。

入店すると先客は1名だが、アッ!カウンタ一番奥に大常連O氏用の座布団が。「Oさんはここにはいつも月曜に来るんじゃなかったっけ。今日は本当は本店に行く日だよなあ」と五十嵐親方に確認していると、噂をすれば影でご本人登場。「一階で声かけたのに無視したじゃないか」と言われたが、予約の時間にちょっと時間に遅れてたので急いでいたのであった(笑)。

O氏ご本尊になぜ今日はこちらなのか問うと、時々シフト変えるんだとのこと。今日は居ないからさっさと帰ろうと思ってたのになあ。

とりあえず、あれこれ雑談しながら冷酒を。加賀鳶。お通しはハマグリの柱。青柳の小柱とは違い、歯応えがあってハマグリの風味がする。

前回の訪問時に、握りは何食べたか確認すると、五十嵐親方は、「鉄火巻きも出したじゃないですか」と言う。なんでもO氏とO氏の知り合いと私で一人前を分けたというのだが、記憶に無いなあ(笑)。本店の鉄火巻きに比べると、分店のマグロの盛りが悪いんじゃないかと言うと「そんな事ないですよ」と言うのだが、そうかなあ。

店は予約無しの客も入ってきて、結構な賑わいに。

O氏と雑談しながら弟子は取らないのかと聞くと、自分から「使って下さい」と入門してくる未経験者でないと嫌なのだという。そんなの今時居るのかな(笑)ただ、ご本人の「新橋鶴八」入門の経緯は、飲食店で働きたいと漠然とは思っていたが「神田鶴八鮨ばなし」を読んで感心したご両親が「新橋鶴八」に連絡取って修行しろと勧めてくれたのだとか。自分だって自分の意志で入門した訳ではないじゃないか(笑)石丸親方によると、「息子は何時一人前になれますか」とご両親からも常に聞かれており、分店としての独立を勧めたのもそれがあったからだと。

まずつまみを。肉厚のヒラメは1.8キロ青森産。旨味あり。塩蒸しは香りがよい。シャコ、サヨリ、タコなども適当にもらう。種札にはもうカツオが。ブリが今期は良くないので代わりに入れたとのこと。握りも何か食したはずだが、隣に大常連O氏がいて、あれこれ雑談して飲み過ぎたため、あまり記憶が無いのであった。

本店では必ず握りに移行する時にはお茶に切り替え、頼むのはいつも同じものだが、分店でO氏と一緒の時は、日本酒の後で焼酎飲むし、そもそもなかなかO氏が帰らないのを知ってる親方がそれに合わせたペースでのんびりとやるので、結局私も巻き添え食ってなかなか帰れない事に(笑) しかも頼んでない握りがO氏と一緒に出て来たりするから、余計に覚えられない。まあ飲み過ぎなければよいのだけども。


久々に「新橋鶴八分店」訪問。
月曜の夜は「新橋鶴八分店」。タイミングが合わず今年初めての訪問。

午前中に電話したら仕込み中だったのか電話には誰も出なかったが、ナンバー表示で分かったと見えて、五十嵐親方から、「安心してください、空いてますよ」と「とにかく明るい安村」の如き携帯メッセージが到着。

時刻通りにニュー新橋ビルに行くと、まだ他のお客が来てなかったとみえて、五十嵐親方自ら店の前でお出迎え。月曜日はいつも大常連O氏が来る日で一番奥の席にはいつもの座布団が置かれている。この日は知り合いが来るとのことで、隣に座るのは免れて、相手する手間が省けてちょっと助かった(笑)。

まだ「アド街」効果があるのか、新しいお客さんも増えたとのこと。「満席ばかりで予約取れないとネットで叩かれているぞ」と脅かしておいた(笑) 私自身も、「さわ田」や「あら輝」は一頃熱心に通ったが、満席が続くようになり、ずいぶん前から予約取るのがなんだか急に面倒になって、通うのを止めてしまったものなあ。そして、一度長く空くと敷居が高くなって、もう行けなくなるのだ。

店の繁盛は結構な話なんだけど、予約を断ることが多くなると、せっかくついた客が諦めて去って行く。特定の常連だけ贔屓しても、また他の客は去って行く。本当は弟子を入れてお昼も営業したほうがよいと思うが、それはそれで固定費が増える。商売というのはなかなか難しいものである。

冷酒を貰って切って貰う。お通しは鯛の酒盗。ヒラメはなかなか旨みあり。シマアジもプルンとした触感がよい。塩蒸しが珍しく置いてある。よいアワビがあれば作るとのこと。まあ春になれば伊豆やら房総やらが解禁になってくる。

大常連O氏が到着し、その知り合いも来店したので、「新橋鶴八」の暖簾の行方など、あれこれ雑談。弟子の格から言うと「しみづ」が継ぐのがよいんじゃないかというと、五十嵐親方は、「新橋鶴八伝来の仕事をそっくり受け継いでいるのはうちの方じゃないですか」と主張するのだが。しみづが継いだら系統が変わる訳だから、もう「分店」という訳にはゆかない。その際は「ニュー新橋鶴八」に改名するよう、強く勧めておいた(笑)

タコ、サヨリもつまみで。サヨリの皮は串に巻いて炙って供される。アナゴの白焼きは、一夜干ししたアナゴを炙るのだとか。煮上げたのは握り用でつまみ用に仕込んでいるとのこと。これはこれで香ばしくて美味い。その他、イカを軽くつけ焼きにしたつまみなど。

急に立て込んできたのでそろそろ帰らねば。握りは、中トロ、コハダ、アナゴ、カンピョウ巻など。酢飯は新橋鶴八伝来、米の甘味を残すふっくらした旨み。他にも握りは何か出たとは思うのだが、冷酒の後で芋焼酎ロックを飲んでいたので、ちょっと思い出せないのだった。



「新ばし しみづ」訪問。
金曜日お昼前に「新橋鶴八分店」に電話。しかし本日は満席とのこと。「アド街」効果がまだ続いてるのか(笑)。「昨日はずいぶん空いてたんですが」と言うのだが、木曜はマンション管理組合の用事で帰宅しないといけなかった。巡り合わせが悪い時は悪い。もうこのまま訪問できないまま年が終わったりして(笑)

しかし「新ばし しみづ」に電話すると席が空いていた。善き哉。会社帰りに入店。

カウンタには既に何組か先客あり。お酒を常温で貰って始めてもらう。お通しは菜の花。

白身では、ヒラメがそろそろ産卵期で厳しくなり、今日置いてあるのはホウボウだとのこと。時折端境期にお目にかかる白身。若干の癖を感じる時もあるが、この日の個体は、瑞々しい身に上品な旨味あり。身肉のしっかりしたタコは塩で。香りよし。

白魚とヤリイカゲソは、軽く火を通し温かいオリーブオイルで合える。実に旨い。天麩羅の白魚は立春頃からというが、今年は早いのだとか。築地の天麩羅でも多分もう使ってますよと清水親方。

サバもそろそろラストスパートだと。まだ中心に生っぽさを残す軽めの〆だが旨味あり。白子ポン酢はほっとする温かき旨味。アジが種札に。軽く酢を聞かせてあるが、もう脂が乗り出している。赤貝、漬け込みのハマグリ。サヨリもそろそろ産卵期に入る頃だろうか。細切りにして生姜醤油で和えた一皿。ヤリイカ煮付けもつまみで。濃厚なツメが子持ちの身によく合う。

この辺りでお茶に切り替えて握りに。お弟子さんも女将さんも気働きよくテキパキ動いて、立て込んでいてもまったくストレスを感じないのがこの店の素晴らしいところ。

マグロは脂の具合を変えて2貫。きめ細かい脂とシットリした旨味。この店の強い酢飯に実によく合う。肉厚のコハダは、生臭さを飛ばした強めの〆。赤酢の強い酢飯とのコンビネーションはどこの店にも無い「しみづ」だけのもの。アナゴは塩とツメと1貫ずつ。このトロトロのアナゴの豊穣を知ったら、プリプリの爽煮にしたメソッコを珍重するのが愚に思える。ま、勿論好き好きですが(笑)最後はカンピョウ巻で〆。

最初から最後まで、「しみづ」に来たという安定した満足感あり。

勘定済ませて、「P.M.9」寄るか迷ったが飲み疲れもあるので見送り。女将さんの見送りを受けて店を後に。タクシー帰宅。

「新橋鶴八」訪問。
金曜日は長い会議や外出もあって結構疲れた。夕方になって、さて今夜はどこで一杯やろうかと思案。以前ならまず、築地「つかさ」に電話してたのだがと、癒しがたい喪失感あり。

「分店」は木、金と満席ですと携帯にメッセージ入ってたっけ。ということで「新橋鶴八」本店に電話。なにやら慣れないバイトの女性が電話を取って、たどたどしい調子で予約を取る。電話番号まで聞かれてしまった(笑) 7時に満席になるのでそこまでならとの事。元々寿司屋では長居しないほうなので、6時前に入れば、飲んでつまんで握りを食して余裕で大丈夫だろう。

入店するとカウンタにはまだ一組。なんでも7時に一斉に客が来て、奥の座敷も一杯になるのだとか。最近は、鉄火巻きの注文も多く、やはり「アド街」効果が続いているのかもしれないとのこと。

カウンタ一番奥の席には座布団が敷かれている。大常連O氏の指定席(笑) 親方によると分店から、「今日はこちらは満席なのでどうしてもそちらで入れてくれませんか」と懇願されて、しかたないので補助席入れて席作ったとの事。大常連O氏が無理に入ったおかげで補助席に追いやられた客がいる訳で、まさに禍福は糾える縄の如しですな(笑)

お酒は菊正の冷酒。お通しはマグロヅケの切り落とし。築地市場移転の事など石丸親方と雑談しながらまずつまみから。肉厚のヒラメは身が活かっており脂も乗っている。ここの醤油も煮切りではない甘み無いスッキリした風味で好きだなあ。

そうこうしているうちに大常連O氏が登場。考えてみると今年はまだ分店に行ってないから、隣に座るのは今年初めてか。「最近、分店に来ないじゃないか」と言うのだが、あっちも「アド街」効果か結構新規の客で早い時間から混んでる事が多いらしい。ただTVで新規客が詰めかけると、常連になろうとしてた人が予約取れずに離れたりするから、そこにもまた商売の難しさがある。

まだお客は少ないので親方と大常連O氏とあれこれ雑談。親方は、あと2年ほどしたらこの店はキッパリ締めて引退すると言う。「神保町だって引退は結局だいぶ遅くなったらしいじゃない」と聞いたが、「私はこういう事は頑固なんで一度決めたら変えないんです」と笑う。それは困るよなあ。

今の店と「新橋鶴八」の名前をどうするかは考え中とのこと。今いる「新橋鶴八最後の弟子」に「あなたが店をブランド料込みで買い取ったら? まあ1億円も払えば大丈夫だ」と無責任にけしかける(笑)「暖簾代はきちんとしないと税務署がうるさい場合があるよ」、「この店を誰かに譲ったら「分店」が「本店」になるのかな」、「まあのれんだけ交換すればよいんでは」、「しみづも新橋鶴八継ぎたいという話もあるんですよ」、「だとしたら分店は系統が変わるから、「ニュー新橋鶴八」にすべきだ」などと、何を言ってるか分からない無責任な雑談など。

つまみは、その後、香り良い塩蒸し。ブリはビッシリと脂が乗るが爽やかな噛み心地。漬け込みのシャコとハマグリもつまみで。この辺りでお茶に切り替えて握りに。隣のO氏はジックリやるつもりのようで、7時にドッと客が来たら全部後回しにされるので、事前につまみを在庫発注している。

握りのほうは、脂がビッシリのマグロ、コハダ、アナゴ、カンピョウ巻といつも通り。米の旨味を感じるふっくらした酢飯。7時の客が早めに到着しだしたので適当な所で勘定を。「まだいいじゃないか」と大常連O氏は呑気に言うのだが、既に店の外には入店待つ客が。7時数分前に店を出た。タクシー帰宅。


「新ばし しみづ」訪問。
水曜日は会社を出るのがちょっと遅くなった。外に出てから「新橋鶴八分店」に電話するとバイトの女性が出て、「1席だけなら空いております」という。しかしつけ場が親方一人なのに満席だと時間がかかってしかたない。ではまた今度と断る(笑) 単に「お席ご用意できます」とだけ返事されてたら、ウッカリそのまま行ってたところだった。正直な店でよろしい(笑)

ダメモトで「新ばし しみづ」に電話すると、なんと空いていた。ちょっと混んでるような気配だが、こちらはお弟子さんも2名いるので満席でもストレスは感じないはず。

入店すると、やはりほぼ満席。しかし、開店早々に入店した一巡目が終わり、次が入ってくるちょうど幕間のような時間。入口側の爺様二人は既に食べ終わってお茶を飲んでいたのだが、二人ともタブレット出して車の写真を見ながら長々と雑談。「すきやばし」なら「もう帰ってくれ」と怒鳴られるだろうが、「しみづ」は辛抱強く席を立つのを待っている。しかしさすがに次のお客の時間が迫ってきたので、「すみません、もうそろそろ」と爺様に声をかける。常連だったとみえて、支度して帰るのは早かった。

お酒を常温で貰い、いつも通り何も言わずとも見計らってつまみが供される。お通しは菜の花。

まずヒラメ。品の良い脂に旨味あり。タイ昆布〆はしっかり昆布の旨味が乗る。タコは塩で。牡蠣の塩辛風。酒によく合うが味わってみると結構塩味はしっかりついている。

白魚とヤリイカゲソのオリーブオイル合えは春の香り。温かいオリーブオイルが香ばしくも旨い。サバはしっかり〆られ脂が甘い。赤貝、子持ちヤリイカ煮付け。白子ポン酢もつまみで。つまみにはもう春の彩り。白魚が天麩羅で供されるのは立春から桜が咲くまでと、以前築地「なかがわ」で教えて貰ったが、立春過ぎたら、そろそろ春の山菜と白魚を食しに「なかがわ」にも行かないと。

お茶を貰って握りに。マグロは2貫とも脂のある部位。熟成しているが、若干脂乗り過ぎかな。コハダは片身づけ。肉厚のコハダは厳しく〆られてここの酢飯にしっかりと合う。アナゴは塩とツメで。「肝臓も疲れてるでしょう」と親方が笑ってハマグリ出汁の椀がが出てくる。確かに正月以来から飲み過ぎかもしれない。最後はカンピョウ巻。満ち足りた気分で店を出てタクシー帰宅。


西大島「與兵衛」訪問
大相撲初場所千秋楽。琴奨菊の初優勝。表彰式も全て見て、最後の神送りの儀式までいてから両国国技館を出ると6時半近くになっていた。そこから西大島まで。

今年初の「與兵衛」。入店して、本年もよろしくと挨拶。ちょうど両国国技館で琴奨菊の優勝を見て来た帰りなんだと話すと親方は、「日本人優勝させるために何か調整とかあったんじゃないの」と。いやいや、調整して優勝できるんだったら、稀勢の里を勝たせてるっての(笑) 何回か稀勢の里にもう一度チャンス与えるかのようなラッキーな物言いもあったけど、もう一丁やっても、稀勢の里は同じ事繰り返して負けて、全然勝てなかったの(笑) 下馬評にもなかった琴奨菊が優勝する事こそ、大相撲が真剣勝負だという面白いところなんだよ。

カウンタにはこの店で何度もお会いした某氏が一人。今夜の客は二人だけのようだ。

今日は珍しく空いてるねと親方に聞くと、「いつもこんな程度ですよ」と言うのだが、先週末は貸し切りで満席だったじゃないか(笑)なんでも1月は、結構貸し切りが多かったとのこと。

河岸での仕入れの話など雑談しながら始めてもらう。よい仲卸と付き合わないと良い物は引けない。しかし「取っときました」と奥から出て来た時に、要らなくてもつい見栄を張って買ってしまうとのこと。「要らないのに買ってくるんですよ」と奥さんがボヤくのだが、まあそんなものなんでしょうな。

本日の大吟醸を貰って、最初は牡蠣のスープ。肉厚の牡蠣、濃い旨味が素晴らしい。

最初はお通しの一皿。海老頭、ホタテ煮浸し、白子、シャコ漬け込み、中トロ炙りづけ、スミイカゲソ。酒が進む。十四代、そして九平次に切り替え。

築地「つかさ」閉店の話をすると、親方は「そういえば最近河岸で会ってなかったけど」とビックリしていた。そうだよなあ。

適当な所で握りに。

握りは、まず赤身のヅケ。ネットリした赤身。スミイカも軽いヅケに。ヒラメはまず一味をアクセントにした甘酢ヅケ。その後で濃厚な胡麻醤油ヅケ。硬めの酢飯が口中で米の甘味を感じさせながら種と一緒にほぐれる絶妙な握り具合。

海老は甘酢に潜らせおぼろを噛ませて。シマアジはヅケにした後皮目を香ばしく焼霜にして、薄切り3枚をつける。これがまた旨い。北寄貝も軽く茹でて甘酢に潜らせる。爽やかな甘味。

ここから光り物が連続で。サヨリは小型だが何枚かをつける。コハダも大ぶりではないが旨味あり。サバもネットリと。ハマグリとアナゴは独特のコクを感じるツメで。最後は卵焼きを貰って〆。

来店した有名ハリウッドスターに何枚も色紙出した某有名寿司屋の話やら、近くに来たのにいくら携帯で教えても店になかなかたどり着かなかった客の話や、親方が通っている整体の先生の珍妙な話など、あれこれの話題で実に面白かった。

勘定をすませて年賀の手ぬぐいを貰い、満ち足りた気分でタクシー帰宅。
「新橋鶴八」本年初訪問
木曜の夜は「新橋鶴八」。当日夕方に電話したら、すぐにお弟子さんが出て「大丈夫です」と。入店してみると、奥の座敷では既に宴会が始まっており、カウンタにも既に3組のお客さんが入っている。

席に着いて親方、女将さんと「おめでとうございます、本年もよろしく」と挨拶。年末は30日まで営業したので正月休みは長めに取り、7日の本日が本年の営業初日。毎年、魚が揃わないからと、初競りからちょっと間を置いて開店してたっけ。

まず菊正宗の冷酒。お通しはスミイカ下足。まずはつまみを切ってもらう。最初はヒラメ。肉厚で旨味あり。握りの注文がどんどん入るのでつけ場は忙しいが、親方はちゃんと目配りしてくれているので、注文するのにストレスは無い。

塩蒸しは香り高く旨味が濃い。ブリもつまみで。一番脂の乗った腹の部分を切りつける。ビッシリと脂があるが天然物独特のサッパリした旨味。お酒をお代わりして、漬け込みのハマグリ、シャコもつまみで。

お隣に「分店」でも何度か顔を合わせた常連氏が来たので、あれこれ雑談しながら、お茶を貰い握りに。

まず中トロ2。トロにも近い脂のある身。コハダも2。何時もながらネットリした旨味。サッパリした米の甘みが仄かに薫る酢飯もまた旨い。アナゴも2。柔らかく煮上がったアナゴには水飴のような濃いツメ。これがまた独特。小ぶりのメソッコをプリプリの食感が残る爽煮にしたのが最高という人もいるが、個人的にはちっともそう思わない。鶴八系のほうがずっと旨いと思うがなあ。ま、好き好きですが(笑)

最後はカンピョウ巻で〆。先客が注文した際、もう残り少なかったので大丈夫かと思ったが、親方は「まだあるんですよ」と新しいのを出してきた。「分店のもこちらで作ってますから」との由。

通い慣れた店で、いつもの素晴らしい寿司を味わう充実感。

帰りに「分店」覗いて、五十嵐親方と、既にとぐろを巻いている大常連O氏に手を振り「本年もよろしく」と挨拶。O氏は「座って飲んでけよ」と言うのだが、もうカウンタは満席で座る所ないよ(笑)新年初の「PM9」に行くかと烏森神社に向かうと、「久」の親方にも会い、今年もよろしくと挨拶。

「P.M.9」では、バーテンダーM氏とも新年の挨拶。ドライ・マティーニを飲むうち、最多来店記録F氏が隣に。本日は「しみづ」だったとのこと。新年を祝いであれこれ雑談していると、「しみづ」の女将さんがF氏の忘れ物を届けに来て、こちらも新年のご挨拶。3日は店に出てなかったからねえ。「新年3日には「しみづ」で初寿司だったし、この日で、一気に烏森界隈への挨拶は全て完了したという効率的な夜であった。


「新ばし しみづ」で本年の初寿司
本日お昼はいつもの「新ばし しみづ」にて本年の「寿司初め」。短い年末年始に毎日飲み続けていたので、疲れはピーク。しかし明日からもう仕事か。

お屠蘇代わりにシャンペンがグラスで供される。カウンタは満席。新年おめでとうございますと親方と挨拶して、一斉に始まる。メニューも正月編成。

最初は瀬戸内の焼きアナゴを入れた茶碗蒸し。上品な出汁が旨い。関西では雑煮や茶碗蒸しには焼きアナゴが必須だから実に懐かしい気がする。その後常温のお酒を一本のみ頼む。

まず刺身はヒラメ。上質な脂。タコも分厚い身肉に旨味あり。大根に挟んだ自家製のカラスミ、シャコ煮浸し、牡蠣塩辛風が載せられた一皿。カラスミは大ぶりでかなり時間をかけて干しで熟成させているとのこと。回りを軽く炙って。ネットリとした旨味は比類が無い。ツブ貝は刺身で供される。独特の爽やかな潮の風味あり。

ブリは切り身を炙り辛子添えで。漬け込みのハマグリと赤貝は刺身で供される。最後に、甘鯛の蒸し物。ネギを叩いた薬味を乗せて。ネットリした身の脂が甘い。

ここからお茶を貰っていつも通りの握りに。中トロを2。シットリした身肉に旨味が充実。コハダも2。アナゴは塩とツメで。カンピョウ巻で〆。塩も酢も強い独特の酢飯に合った仕事。お年賀のてぬぐい頂いて、本年もよろしくと挨拶してホロ酔いで店を出た。


「新ばし しみづ」で本年の寿司納め
昨夜は年末恒例、寿司納めに「新ばし しみづ」。5時半の開店に入店したがカウンタは満席。商売繁盛だねえ。

席について常温のお酒を頼むと、清水親方が「今日、河岸で「つかさ」さんに会いましたよ」と。高橋親方は、大病で入院しており店を閉めたが、病気が治ったら再起すると語っていた由。

清水親方によると人相も変わり、急に老け込んだ印象だったと。11月初旬に店を訪問した際には、そこまでの印象無かったのだけれど。しかし本人が再起すると言っているのなら、私はそれを信じよう。店の住所宛に手紙出しておいたのだが、受け取ったとも伝言あり。復活の時は連絡貰えるとよいのだが。

お通しはなめこおろし。いつも通りつまみがおまかせで供される。ヒラメは深い旨みあり。タコはしっかりした身肉に滋味あり。牡蠣塩辛。サヨリは細造りで。ブリ炙りは辛子が添えられる。白子ポン酢も癖のない旨み。ミル貝と青柳。漬け込みのハマグリ。

アド街の影響か、「しみづ」でも鶴八流の鉄火巻注文が増えたことなど親方と雑談。せっかくだから出演したらよかったのにねえ。

お茶に切り替えて握りを。マグロは大間。どちらも脂のある部位を2貫。シットリして深い旨みあり。コハダは厚い身肉をいつも通りの厳しい〆でここの酢飯に素晴らしく合う。アナゴは塩とツメで各1。最後はカンピョウ巻で〆。いつも通り安定の旨さ。今年はあまり訪問できなかったが、来年はもっと通わないと。

勘定すませて「P.M.9」に。普通ならマティーニやらシングルモルトなど貰うのだが、「新橋鶴八分店」から「寄ってくれ」と携帯にメッセージ貰っており、寿司は食わないがあとで顔だけ出すことにしている。軽めにジン・リッキーを一杯。年末の景気の事など雑談していると携帯に「分店」から、席が空いて大常連O氏も待ってるのですぐ来いと連絡あり。忙しいな。よい年をと挨拶して「分店」に。

ニュー新橋ビルに移動すると既に大常連O氏が席で飲んでいる。もう寿司は要らないので、小柱をつまみに芋焼酎ロックを貰ってあれこれ雑談。

O氏が、もっと飲めよと片口に注いだ焼酎をこちらのグラスに注いでくるので、こちらも片口に焼酎を注いで貰い、まあそう言わずに先輩もどうぞと注いで逆襲。トイレに立った留守にも注いでおく。そうすると、こちらがトイレに立った時には逆襲で注がれている。

そのうちにすっかり酩酊。寿司も食わずに寿司屋で何やってるんだろうなあ(-。-;

大常連O氏も、飲みつつもつまみのあとは握りも食していたのだが、終わりのほうで出されたハマグリのお椀をひっくり返して、これがズボンにかかり大惨事に。

やはり飲み過ぎてはいかんなあと、もって他山の石として、一年を教訓で締めくくるような出来事であった(笑)

はて、しかし勘定払ったっけ(笑)

「新ばし しみづ」訪問
今週の火曜日、当日予約で「新ばし しみづ」訪問。

清水親方は誰から聞いたか「つかささんには、あれから連絡つかないですか?」と心配する。「つかさ」の高橋親方とはマグロを引いていたフジタ水産が同じで、清水ご夫妻で休みの日に「つかさ」を訪問したと聞いたこともあった。フジタ水産の藤田社長も閉店は知らなかった由。そもそも藤田社長にメールで教えてもらって通い出した店だから妙な気分。河岸の仲卸に来店する時間が随分遅くなっていたとは聞いた。

「新橋鶴八30周年」で伝説の師岡親方にお会いして以降、なんだかちょっと「憑き物が落ちた」ような達成感があって、このところ寿司屋通いの回数全般が減ってたところにもってきて、最近は「新橋鶴八分店」ばかり行って応援してたからなあ。勿論、寿司屋は大勢の顧客ベースがあって初めて「ゴーイング・コンサーン」として成り立つ訳で、私如きの来店頻度など何の関係も無いのだが、やはり、もっと行っておくべきだったと幽かな苦い自責に近い念を抱きながら、お酒は常温、お通しのなめこおろしを食するのだった。

「高橋親方は叩き上げの職人で、人当たりもよかったけど、簡単に弱音を吐くような男でもなかったんだよなあ」と述懐すると、清水親方は「私なんかすぐに弱音吐きますよ」と冗談めかして。しかし前回膝で入院して一月以上店休んだ時だって、その期間の事前の予約は取らずに空けていたらしいが、入院なんて話は聞いてなかったから、実は同じような感覚あると思うけれども。

「アド街」の事を話すと、師匠の「新橋鶴八」本店や分店、「久」が出るなんて知らなかったとのこと。「しみづ」も出たら「新橋鶴八」系の店が勢ぞろいしたのにと残念がると、そんな事なら出演したのに、弟子の摩宙君がロクに話を聞かずに勝手に断りやがったんですよと、また面白い事を言う(笑)

つまみはまずヒラメ、上質な脂、旨みあり。昆布〆も。昆布の旨みが白身に当たるとなんだかしみじみするなあ。タコは歯応えある旨み。サヨリ、牡蠣塩辛風。徳利が岩石風で重いので、なんだかどれだけ残量があるか不明なのだが、適当なところでお代わりを。

サバはネットリとなるくらいの〆。赤貝も爽やかな磯の香。漬け込みのハマグリを貰い、最後はスミイカと赤ウニをぐい呑みに盛り合わせて。

このあたりでお茶に切り替えて握りに。まず赤身、そして中トロ。どちらもシットリした柔らかい旨み。強い赤酢の酢飯ともピッタリ。コハダは厳しい〆。新橋鶴八のネットリした〆よりも、更に先へ行く。だがこの強い酢飯には実によく合う。寿司に慣れ、酢飯の違いが判る人ならば、このコンビネーションに素晴らしいマッチングを感じるだろう。

アナゴは柔らかい煮上げだが、脂よりも旨みのほうが印象的。カンピョウ巻も〆にふさわしい味。やはり鶴八系では最後は鉄火巻ではなく、カンピョウ巻だよなあと思う次第。いやいや、勿論好き好きなのですがw



「新橋鶴八分店」訪問
火曜日の夜は「新橋鶴橋分店」。「アド街」烏森編に出た店をひやかそうシリーズ完結編だ。

電話したらバイトの女性が出て、7時に満席になるのでそれまでならと言われたが、考えてみるとむしろ遅くならなくて結構な話だ(笑) 「しみづ」でも「新橋鶴八」でも酒飲んでつまみから握りまで一通りで普通1時間ちょっとしか滞在しない。「分店」で長居するのが例外なんだよなあ。

いつもより早めに入店。本日は7時から常連客の予約で貸切なんだそうで。本店の親方が貸切はダメだとあれだけ言ってるのにしょうがないなあ(笑)

冷酒加賀鳶を貰って早々に始める。お通しは鯛の酒盗。しみじみ旨いね。まずヒラメ。よく旨味が乗っている。そしてブリ。もう佐渡の辺りだとか。腹のブロックしか仕入れないとのことだが、ビッシリ脂の乗った腹身はスッキリした天然の脂で品の良い旨味あり。

「アド街」の影響を聞くに、「本店」は結構新規の客が増えているとのこと。そういえば前回行った時も明らかにTV見て来たと思しいオヤジがいたものなあ。「分店」のほうは新しい客はそんなにいないというのだが、営業中にも結構電話が鳴る。そしてフラッと本店を覗いて満席で「分店」を覗く客がまた多いのだった。こんな日に限って7時から貸切満席だものねえ。

種札には無いが塩蒸しが出てくる。本日の客から注文があって仕込んだとのこと。蝦夷アワビは塩蒸しにすると特有の磯の香りが出る。これが嫌で分店では使わないとのことだが、しかし風味と思えばこれでも十分旨い。しかしどちらかというとつまみ物だ。

サバは当日〆たもので中心部にはまだ赤身を残す、関西で言う「きずし」のような〆具合。甘い脂がよく乗っている。漬け込みのシャコもつまみで。本店よりも若干軽い仕上がり。つまみにはこれくらいがよいかも。

この辺りで握りに。まずマグロは漬けと中トロ。この日の酢飯は、米の甘味を残しつつ硬めに風味よく仕上がっており寿司種との調和がよろしい。コハダは2貫。鶴八伝来、ネットリした旨味あり。アナゴも鶴八系独特。旨いなあ。最後は小柱の軍艦。小柱と海苔の風味が良く合う。

この辺りで切り上げ。7時ジャストだ。年末は30日まで営業とか。あと一回くらい来れるかなと年末の予定を勘案しながらタクシー帰宅。

築地「鮨つかさ」の思い出
築地の「鮨つかさ」を初訪問したのは、過去ブログを見ると、2003年の5月。もう10年以上も前。

そもそもは、気鋭のマグロ問屋フジタ水産の藤田さんと「しみづ」とのご縁で知り合いになり、よい店を紹介しますとメールで教えて貰ったのが初訪問に至る経緯。藤田さんご自身もこの店にはよく来られており、何度もこの店でお会いした。後にこの店の看板になるマグロ脳天の身スモークは、藤田さんの協力もあって当時新規開発中だったもの。最終的には素晴らしい仕事となって結実。

途中で私自身のアメリカ駐在で5年ばかり間が空いたのだが、一時帰国した際には必ず寄っていた。この店で知り合い、顔を合わすとあれこれ話をするようになったお客さんも多い。「與兵衛」や「しみづ」でもお会いするお客さんもいたりしたのだが。

図らずも最後の訪問になってしまった11月。高橋親方と「與兵衛」の話に。ちょうど私がアメリカ駐在から帰国する頃、高橋親方が築地のつま屋で勘定していると後ろから「與兵衛」の鈴木親方が来て、「おい、堀内さんこんどアメリカから帰ってくるぞ」と教えてもらったんですよと、笑いながら思い出話になったっけ。寿司屋同士で、結構顧客情報の交換してるんだなあ(笑)

「つかさ」では、以前、年末には湯呑みを作ってお歳暮に配ってきた。私も幾つか貰って持っている。懐かしいので引っ張りだしてきた。

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このうち幾つかは店でお茶出す時にも使われていた。一番の「名作」は、下の写真の湯呑みで、底に「鮨司」とだけ書いてあるのだが、なかなか品がよく、店でも結構使われていた。この湯呑みは私自身が家で芋焼酎のお湯割りを飲む時に愛用している。これからも大事にしよう。

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今となっては、「つかさ」を思い出す縁になるのはこの湯呑みだけか。あのスッキリした酢飯と丁寧な仕事をした寿司種のコンビネーション、マグロ脳天スモークや鉄火巻きにはもう出会えないのだろうか。あまりにも残念。どこかでまた復活して出会える時があるのではと期待しているのだが。親方だってまだ50代半ばでこれから円熟を迎える職人だったのだし。


築地「鮨つかさ」は本当に閉店したのか。
最初に「アレ?」と思ったのは火曜日の夜。

久々に寄ろうかと築地の「鮨つかさ」に電話した時。「お客様の都合で通話ができなくなっています」とNTTのアナウンスが流れて電話は不通。店の電話でそんな事は普通ありえないのだが。

いったいどうしたのかと心配していたのだが、今日になって、12月2日の段階でこのブログの過去日記にコメントが寄せられていた事に気づく。管理者のみ表示になってたのでうっかり見過ごしていた。

コメント寄せて頂いたのは「つかさ」に以前からよく行かれていた方で、やはり12月になった段階で電話しても通じず、心配になって近所の方に問い合わせたところ、年内で閉店だと知らされたとの事。なんだか事情がありそうなのだが、それは分からないまま。

前回この店を訪問したのは11月4日。いつも勘定は1万5千円弱くらいなのだが、この日は、「海老もマグロ脳天スモークも切らしていましたので割引です」と勘定は1万円だけ。幾らなんでも安すぎるよと言ったのだが、その頃には何か心に決めた事があったのだろうか。

店の景気はいつも気にかけていて、毎回雑談していたのだが、お客も結構入っていたと思ったけれど。ただ、確かに最近、見送りに店外まで出て来てもらっても、どこか心ここにあらずという雰囲気があった。この店でお知り合いになったお客さんも何人もいるのだが、もうお会いする機会はないのだろうか。

11月は出張ばかりで、一度も訪問できなかったのが今になっては悔やまれる。一度くらい訪問してたら、親方から直接何か話が聞けただろうか。

やはり気になって、本日は会社帰りに店の前まで行ってみた。そう、確かに店は定休日ではないのに閉まっている。扉には何の張り紙も無し。いったいどうしたんだ。

ひどいよ、高橋親方。サヨナラの一言も無しに店を閉めてしまうなんて。

私は彼の携帯番号すら知らなかった。

幾度と無く通い慣れた大好きな店は、人の気配無く真っ暗で静まりかえっている。

なんだか思いがけずに涙が出て来たので、急いで店の前を立ち去った。


「新橋鶴八」訪問
月曜の夜は、先週末の「アド街ック天国」ネタで一杯飲もうと「新橋鶴八」に電話。お弟子さんが出て意外にあっさり「空いております」と即答。

入店してみると、カウンタにはまだ誰もお客がおらず店内はガラガラ。「「アド街」効果で予約殺到で入れないかと思ってたんだけど」と冗談言うと、「そんなことありませんよ」と石丸親方が笑う。

もう年だし自分の店をTVに出て宣伝するつもりはなかったのだが、「分店」を放映に出してくれるなら、と条件をつけて取材許可したのだとか。弟子にとっては親方は親同然というが、石丸親方の暖かい人間味がうかがえる実に素晴らしい話だ。

「分店」では、本店から譲り受けたアナゴの煮汁が映ったのだが、アナゴを引きザルで煮るところやツメを仕上げるところがないと何の事か分からないのではと石丸親方。まあ鶴八系の事を知ってる人なら、ああこれこれと思うだろうけどもね。

しかしマグロ鉄火巻2700円はインパクトあり、河岸でも仕入れているマグロ屋からう「ちの名前も宣伝で出してくれたらよかったのに」と言われた由。マグロはほとんど原価に近い価格で出しているはずで、鉄火巻は出血大サービス品。あのTV観た客がやってきて鉄火巻だけ頼んで帰られると採算が合わないよねえ。

そんな話をしているところに見知らぬ親父が一人で来店。おまかせは無いのかと聞いたから明らかに一見客。「札が下がってるものからご注文ください」と言われて最初に「鉄火巻」と注文するので、「本当にTV観た客が来たよ」とばかり親方と顔を見合わせた。やはり効果はそれなりにあるもんですな。この客は他には昆布〆注文したくらいだったから、本当に冗談で話した通りで、採算合わなかったと思うけど(笑)

お酒は冷酒。お通しはハマグリの貝柱づけ。つまみはまずヒラメ。肉厚の旨味ある身。塩蒸しも。房総のアワビの季節は夏だが、三陸より以北の蝦夷アワビはこれからが旬とは親方談。確かに水分飛ばして旨味を炒り付けるようなこちらの仕事では蝦夷アワビも十分旨い。ブリは佐渡。「いいブリでしょう」と石丸親方。脂が乗った腹の身だがサラリとした旨味でしっかりとした身なのだ。ハマグリもつまみで。

握りは冗談で「鉄火巻」を所望しようかと思ったが、やはりいつも通り。中トロ、コハダ、アナゴそれぞれ2貫。最後はカンピョウ巻。米の旨味を残すふっくらした酢飯。コハダはネットリ、アナゴはトロトロ。最後のカンピョウ巻も酢飯の風味が引きたつ。鶴八系の至福ですな。

「新ばし しみづ」訪問。
土曜日の夜は「新ばし しみづ」。11月は出張ばかりでほとんど寿司屋に寄れてなかったので実に久しぶり。

当日の昼前に電話したが、既に早い時間は満席。第一陣が帰るくらいの時間を指定されて入店。カウンタの一番奥が一席だけ空いていた。

隣の一人客を挟んで最多来店記録F氏が居て、既に握りは終盤の模様。間のお客さんが帰った後にちょっと雑談。清水親方によると、前回で通算来店記録1900回を達成し、今回が1901回目の来店なのだと。偉大な記録だが、本当に数えたのかな(笑)

しかし年間最多来店記録樹立の時は200回を優に超えていたから、それくらいの回数に達しても確かに不思議ではない。こんな恐ろしい客が、別に威張らずに普通に静かに横に座っている事実を知るなら、どこの店であれ「常連でござい」とふんぞり返って偉そうにしてる輩の事が哀れに思えてくるから不思議だ。

お酒だけ常温を頼むと、後はいつも通り見計らってつまみから供される。お通しはナメコおろし。

まずヒラメ。上質な脂と旨み。タコは身がしっかりしてゼラチン質が一杯。サヨリは細切りにして小鉢で供される。牡蠣の塩辛風は冬の滋味にあふれる。

お酒をおかわり。軽めの〆のサバは脂が乗り身肉がトロリと甘い。赤貝は香り良し。漬け込みのハマグリ。ブリは炙って辛子で。白子ポン酢も冬場には実に良い。イカとウニでつまみ終了。、

ここからはお茶に切り替えて握りで。次々とテンポよく供される。まずマグロは赤身。熟成してしっとり柔らかい身肉は旨み充実。中トロは更にトロリとした旨み。ここの強い酢飯にぴったり。コハダも〆が強いがここの酢飯とのバランスは最高だ。アナゴは本来は最盛期ではないのだが、脂がのって本当にトロトロと身肉が酢飯に溶け崩れる。最後はカンピョウ巻で〆。

お酒を大きい銚子で二本飲んで、つまみも一通り食して、お茶でいつも通りの握りを食べて勘定までジャスト1時間。最近「分店」でダラダラ居る事に慣れていたが、やはり寿司屋はあまり長居する場所ではない。またこの店でサッと食べて帰る「寿司力」を鍛え直さないと(笑)年内にまだ何回か来れるだろう。

帰宅して「アド街ック天国」新橋烏森編を見る。先週の予告編で「新橋鶴八」の鉄火巻が映っていたが、「分店」にも取材が来たと。「しみづ」は取材依頼があったが店内撮影は断ったとまでは聞いていた。ランキングではまず「久」が。アジフライは確かに素晴らしいが、海老フライのほうが好きだなあ。

よく見ると「P.M.9」も映っている。このロケの時私は「P.M.9」店内で飲んでおり、なんだか外が明るいがTVの撮影かなとバーテンダーM氏と雑談中。新人が外に見に行って、「アド街」が「久」さん撮影してますよと知らせてくれたのだった。「新橋鶴八」も「分店」もちゃんと登場。カウンタで師弟対談したのも収録したと聞いたが、それはボツになった模様。「しみづ」は店内撮影を断ったから、やはり番組的には紹介しづらかったのだろうなあ。

「新橋鶴八分店」訪問
水曜の夜、「笹田」からの帰り道、iPhoneに「新橋鶴八分店」から電話がかかってきた。「暇だから来てくれ」という電話なら残念ながらご期待には添えないなあと電話に出るとバイトの女性。以前私が連れていったアメリカ人2名が急に来店したのだが、何言ってるか分からないので電話に出てくれとのこと。確かにアメリカの社内弁護士がこちらに出張中で、火曜の昼も昼食一緒にしたのだが「分店」に行くなんて聞いてないぞ。日本語もしゃべれないのに、何勝手に私の行きつけの寿司屋に行ってるんだ(笑)

電話に出さして話をすると、明日アメリカに帰る最後の夜なので、前回来た思い出の寿司屋に寄ろうと来たのだという。おまかせでよいというので、その旨を店に伝えて電話を切る。そのまま帰るつもりだったが、一応ちゃんとやってるか確認だけしておくかと「分店」にその足で向かう。

入店してみるとアメリカ人二人はちょうどカウンタについてビールで乾杯している最中。「君らは本当に冒険好きだな」と声を掛けると、「日本はもう慣れてるからどこでも行けるんだ」と妙な自慢。席が空いてたら隣に座って焼酎でも一杯飲んで付き合うかと思ってたがテーブルまで満席。親方に後はおまかせで適当にやってくれとお願いして店を出た。

と言う訳で、翌日の木曜に私自身が「新橋鶴八分店」に。入店すると、アッ! 一番奥の席には大常連O氏専用の座布団が敷かれている。昨日も来てたからいくらなんでも今日は来てないと思ったのだが。「仲良しですから隣に席取っときました」と親方。別に仲良しじゃないんだよ(笑)

昨夜のアメリカ人は無事食事して帰ったかと問うと、周りの英語しゃべれるお客さんが通訳してくれて何も問題無かったとのこと。勘定もサービスしておきましたと。まあ、そこまでよくしてやる必要なかったのだが、日本人の度量とホスピタリティをアメリカ人に証明した夜でしたな(笑)

ということで、まず一杯。お酒は加賀鳶だと思ったら、山形正宗という酒であった。後で加賀鳶と飲み比べてみると山形のほうが若干甘口で米の旨味が濃い印象。

お通しは立派な小柱。最初はヒラメ。肉厚で旨味が乗っており旨い。親方と雑談しているうちに大常連O氏が登場。昨日の話など、あれこれ雑談しながらのんびりと。

ブリは富山。脂がのっているが天然独特のさっぱりした旨味。ミル貝は軽く炙って。貝柱も共に。軽く火を通すと甘味が増す。サバも脂と旨味が乗ってきた。漬け込みハマグリもつまみで。

握りは、昆布〆、中トロ、コハダ、アナゴ。後は大常連O氏が横に居て、なんだかんだあれこれ雑談し、芋焼酎のロックに変えると、自分の焼酎をこちらにガンガン注いでくるので酩酊し、最後のほうはあまり記憶にないのであった。

今週12日放送のアド街の予告編に「新橋鶴八」本店で鉄火巻きを出すところが映ってた話をすると、分店にも取材があり、カウンタで石丸親方と子弟対談するところも撮影していったとのこと。果たして使われるかどうか。「しみづ」にも取材が来たが店内撮影は断ったとのこと。「久」は店内撮影していったとのことだったが、「新橋鶴八」系を取材では網羅したようだ。しかしだいぶボツになるんでは(笑)